深迷怪ザリガニ事典・や行



やけてる(焼けてる)
バーンスポット病(焦点病)が多く発生している個体のこと。またはその状態。バーンスポット病は、初期段階のものであれば脱皮などでクリアさせることが可能だが、進行してしまうと外殻を溶かし、中の新しい殻と癒着してしまうため、脱皮が上手く行かず、死んでしまうことが多い。主として輸入後のストックミス、または粗悪な環境での長期ストックに起因するので、ショップで個体を購入する際には、こうした個体を避けることが賢明。

用例・・・「今回入っているマロンは、焼けてるのばっかりだったよ」


ゆうえいし(遊泳肢)
ザリガニの腹部(食用という観点でいえば、実際に我々が食べる部分)にある肢。キーパー内では「腹肢」という名称の方が一般的であろう。遊泳性のエビなどでは、この箇所を使って泳ぐので、学術上こうした名称になっているが、ザリの場合、緊急退避などの理由で「泳ぐ」場合は、尾扇及び尾扇肢で大きく水をかいて泳ぐ(逃げる)ことが多いので、少なくとも「泳ぐ」という要素では、遊泳性のエビほど役に立っていないのも事実。むしろ、メスが卵を抱く時にここを使うため、そういう部分で話題になることが多いといえる。パラスタシダエ科など一部の種では、最初から一部の遊泳肢が欠落しているものもあり、種判定(同定)の判断基準項目として用いられることも少なくない。


ゆちゃくしょうがい(癒着障害)
脱皮失敗の主な原因の1つで、古い甲殻と新しい甲殻がくっついてしまい、その部分が引っかかってしまう障害。飼育個体の場合、大半が進行したバーンスポット病(焦点病)による。病変箇所が尾扇部や脚部などであれば抜けきれる場合もなくはないが、頭胸甲部や腹節部などになると、まともに脱ぐことすらできないことも多い。バーンスポットを放置した場合の「成れの果て」でもあり、キーパーにとっては、自分の管理力不足を突きつけられる事例でもある。


ゆにゅうぶろっく(輸入ブロック)
様々な理由により、輸入(先方から見れば輸出)個体の量や性別・状態などに対して意図的制限を加えること。ザリガニの場合、最も有名なのはフロリダ・ブルーで、輸出前の段階で、大半のメス個体が抜き去られているため、少なくとも日本では、実質上、オス個体しか入手することができない。自己繁殖による販売量低下を防ぐためか、あるいは税関・検疫対策であろうと推察されている。


よーろぴあん・ぶるー(ヨーロピアン・ブルー)
平成5年から7年ころにかけて断続的に輸入されていたヤビーの1血統。元々はインボイスネームであり、種を表す名前ではない。厳密にいうと「青の強い血統」を指す言葉ではなく「青再現性の高い血統」を指す。ごくごく一部のキーパー間だけで異様な信奉を集めているが、実際には大したものではない。血統を残している本人が断言するくらいだから、間違いはない(苦笑)。


よこづけぱーてーしょん(横付けパーテーション)
繁殖時などに、水槽内の底面積を確保し、稚ザリ同士のトラブルを回避するために、仕切り板などを横向きにセットするという技法。稚ザリネットなどと併用しながら、穴あきボードを使用するのが一般的だが、ボードの大きさの関係で、ある程度以上の大きさの水槽でないとメンテナンスが大変になるという難点がある。また、ボードが大きすぎると、水循環に悪影響が出てしまうという問題点もあるため、実際にこの方式を用いるのは、90センチクラス以上の水槽であると考えた方がよいだろう。


よみちがえ(読み違え)
繁殖後、個体の資質、特に体色面で選り抜いた個体が、想定していたものと違った形、または資質を持った個体に成長すること。マロンと比較すると、ヤビーやレッドクロウなどで発生しやすいといわれている。たいていのケースは「成長するに従って、体色がくすんできてしまった」というものだが、これは、多くの種に当てはまる普通の成長過程であり、異常なものとして捉えたり、B級個体扱いをする方が「異常」である。



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