濾過槽を立ち上げよう(4)
濾過という要素も、とうとうパート4まで来てしまいました。いい加減、つまらぬ濾過の話に辟易とされていらっしゃる方も多いかと思いますが、長々と付き合わされ、本当におつかれさまでした! これが最後のパートになりますので、ご安心を(笑)。このパートでは、最後まで「?」のまま放置されていた2番目のブロックにも、いよいよ解決のメスを入れて行き、「ザリガニ水槽」としての濾過槽を完成させることにしましょう。
さて、前回のパートで作り上げたこのセッティングですが、ザリガニ飼育の濾過槽として見た時、一体「何が余計で何が足りない」のでしょうか? ザリガニという生き物を、より深く知って行くためにも、ここはじっくりと考えてみたいところです。
種にもよりますが、多くのザリガニ類は、基本的に中性から弱アルカリ性の水質に適応します。もちろん、多少であればpH7.0を割り込んでも何ら問題はなく、特にアメリカザリガニ科やミナミザリガニ科の一部には、そうした水域に棲息している種が確認されていますが、それだからといって「弱酸性の方が好ましい」「弱酸性でないと飼えない」などというのは、極めて短絡的で乱暴な考え方だといえるでしょう。もちろん、その程度は種によって若干の違いこそありますが、ある程度のミネラル分を維持できる水を準備することは、ザリガニを安定的に飼いこなす上での基本でもあるのです。だとすれば、この濾過槽には、「この時点で取り除くべきもの」があり、「これから先、なければならないもの」がない・・・ということになりますね。
ここの時点で「お役御免」になるもの・・・。それは、そう! 2番目のコンテナに入れられていたゼオライトです。
アンモニアなどの急激な増加によるパイロットフィッシュへの負担軽減と、時間差でセットした3番目のコンテナへのバクテリア供給という2つの大きな目的を担い、濾過槽の中で約3週間に渡って頑張ってくれた功労に感謝しつつ、ここでこの素材を取り出しましょう。
取り出したゼオライトは、これ以降のザリガニ飼育には特に必要ありませんが、塩水にじっくり漬け込んでから乾かし、別の飼育に再利用するのもいいでしょうし、さらに細かく砕いて土に混ぜ、植物栽培に活かすなど、利用方法はたくさんあります。
キッチリと物理濾過が効いていれば、ここで生物濾過のシステムをセットしてもよいのですが、繰り返し申し上げているように、ザリガニ飼育は物理濾過がカンペキであってナンボの世界・・・。今回、空いた2番目のコンテナには、物理濾過と生物濾過の双方をこなせる役割を担ってもらうことにしましょう。もちろん、濾材も「これでなくてはならない」というものはありませんが、最初に水がくぐる生物濾過エリアは、ウールなどで汚れが充分に濾しきれなかった水が通ることも多いので、ゴシゴシと洗ってしまって問題ない素材を選ぶことがベターです。そういう意味でいえば、安価でゴシゴシ洗っても粒が壊れにくい大磯砂なども好適ですね。もちろん、フツーの大磯砂でもまったく問題ありませんが、今回は、旧友でもあるショップ店員さんのお薦めに従い、ちょっと奮発してこんな商品を選んでみました。
以前のパートで触れたのと同じく、濾材である大磯砂は充分にすすいだ上で、袋に入れてコンテナにセットしましょう。最近の安価な大磯砂は、海水の塩分などが残りっぱなしのものも多いようですから、セットする前にきっちりと洗うことは大切です。万全を期すため、水の流入口にはウールをセットし、少しでも汚れを濾し取れるようにします。
袋が2つになっていることに疑問を感じる方がいるかも知れませんが、これは、ここで使う大磯を2つに分けたからです。このように、濾材を細かく区分しておけば、洗浄のタイミングをずらすことができますので、定着するバクテリアへのマイナスインパクトを最小限に食い止めることが可能となるのです。こうした「観賞魚飼育の知恵」も、上手に活用したいものですね。
余計なものを取り除けば、あとは「足りないもの」を付け加えるだけ・・・。ということで、用意しておきながら今まで使っていなかった素材を投入します。そう! サンゴ砂ですね!
サンゴ砂に関しては、できるだけ綺麗な状態の水を通す方がよいのはもちろん、炭酸カルシウムが溶けた水がダイレクトに水槽内へ取り込まれる方がベターなので、今回は、落水口の上部にセットすることにしました。もちろん、「絶対にここへセットしないとダメ!」・・・というワケではありませんが、設置場所はどうあれ、基本的には、濾過に関する水の流れの最終段階にセットするようにしたいものです。
これで、いよいよ濾過槽のセッティングが完了しました。あとは、この段階で多少強めの換水を掛けた後、1週間程度水を回して馴染ませれば完成・・・です。これが終われば、いよいよ飼育個体導入! ワクワクしてきました。