最終更新日 平成14年12月22日
様々な立場にいた様々の人たちが、様々な表情をしながら、様々な想いでもって見送った南海ホークス最期の姿・・・。そんな多くの想いの数々は、今もなお、一人一人の心に刻み込まれ、生き続けていることと思いますが、中には、それを文字に記して残された方々もいらっしゃいます。ここでは、そうした「想い」がいっぱいに綴られた書籍の数々を御紹介いたしましょう。
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ホークス讃歌
万代 隆 著
オール出版・1989年
南海身売りの翌春、まだ新生ダイエーホークスが始動する直前に出版された本で、南海身売り時、共同通信大阪支社運動部の記者であった万代隆氏が、南海ホークス50年の歴史を振り返りながら、一新聞記者の視点というよりも、心から南海ホークスを愛する一ファンとして、その経緯から背景までを、丹念な取材をもとにして、じっくりと掘り下げています。
副題に「大阪から福岡へのメッセージ」とあるように、筆者のホークスに対する想いは、大切な愛娘を嫁がせる親の心境に近いものがありましょうか。文中にちりばめられたホークスに対する筆者の想いに、1つ1つ頷きながら読んでしまう本です。
〜珠玉の一節〜
「これほどまでとは思わなかった。福岡に去った南海ホークスへの未練が、思慕に近いものであることを知り、消えたものの重みを痛切に感じている。返してもらえるものなら返してほしい。帰ってきてくれるものなら帰ってきてほしい。それが夢のような叫びであることを知りつつも、まだ惜別の情断ち難く、無念の春を迎えたファンは多いだろう。」
さらば!南海ホークス
別冊 週刊ベースボール・冬期号
ベースボール・マガジン社・1988年
週刊ベースボールが総力をあげて編集した、南海の「記録」であり「鎮魂歌」であるこの一冊。往年の名選手から10.15大阪のシーンまで、ファンなら涙流さずにはいられない写真の数々が登場します。写真だけでなく、記事の方も肉厚。年度ごとにトピックスを設け、古くからのファンにも、そして当時を知らないファンにも、親切でわかりやすい説明がされています。巻末の全試合データや全登録選手データも必見!
南海ホークスには、これだけ素晴らしい別冊が発売されたにも関わらず、同じ年に身売りされた阪急ブレーブスに対しては、他社のものも含め、こうした別冊のような惜別本があまり発行されませんでした。このことを「可哀想」と思うべきか「羨ましい」と思うべきか、いずれにしても複雑な心境です。この本を飾る写真や記事の数々を、すべて「予定稿」と表現するにはあまりにも空しいのですが、身売りから数カ月でこんなに素晴らしい本など編めるはずがありませんから、やっぱり、南海の身売りだけは「既定路線」だったと考えるべきなのかも知れません。
〜珠玉の一節〜
「過去に身売りもたくさんあった。球場取り毀しも何度もあったが、この日(10.15)のように感動的なゲームをしたのはなかったのじゃないか。それだけに、フィナーレのひとつひとつが涙なくして見られない。いい歳のおっさんが、みな「うさぎの目」だ「なくなる」「去る」とは、こんな悲しいことなのか。」(寄稿「グッドバイ南海、サヨナラ大阪球場」より)
今後も続々登場予定! どうぞお楽しみに!