購入編1・流木購入の”基礎”




写真:筒流木の中に身を隠すアメザリ亜成体。なかなか思うように使ってくれない筒流木だが、
こうして個体が身を隠してくれるシーンに出くわすと、喜びもひとしおだ。




 単に「飾り」という意味だけでなく、時には隠れ家になり、時には食材になるという流木は、ザリガニの飼育に携わる上で、決して外すことのできない大きな要素の1つです。ですから、上手く飼いこなすという観点からみれば、いかに”好適な流木”を手に入れられるか・・・ということは、本当に大きな問題だといえましょう。しかし、形状などにおいて適切な選び方や知識は入手できたとしても、いざ実際に入手するとなると、これまた簡単に行く問題ではありません。そこで、このページでは、こうした流木の「購入方法」について具体的に考えてみたいと思います。まずは、その”基礎”からです。

「まとめ買い」がベストとは限らない
 佐倉では、(私自身がズボラな上に、流木の消費量自体が多い・・・ということもあり)流木は基本的に、まとめ買いをしています。古くから懇意にしていただいている問屋さんが何軒かあるので、減り具合を見ながら年に1〜2度、あらかじめ状況を伝えておいて、コンテナで輸入されてきた時に声を掛けていただき、まとめて選び、譲っていただく・・・という方法がずっと続いています。アク抜きなどの仕立ては自ら行なわないといけない手間はありますが、持ち帰った流木はそのまま空き水槽などに漬け込んでおいて、必要になった時に適切なものを取り出して使えばよいのですから、さほど大きな障害にはなりません。
 しかし、そうしたやり方がベストな方法か・・・といえば、必ずしもそうでないように思います。また、こうしたまとめ買いや、そのような入手ルートを持っている立場の人間が、一般的なアクアリストよりも有利になるか・・・というと、そうでないどころか、むしろ逆になるケースも多いのではないかとすら思えてなりません。
 実際に1度でもそうした入手方法をされた経験をお持ちの方なら実感されていることと思いますが、素材面でも形状面でも「ザリガニ向け」として本当に適した理想的な流木・・・というのは非常に限られており、少なくとも「大量チェック=好適品入手率アップ」という図式は全く成り立ちません。実際、こうしたパターンですと入荷した流木すべてがザリガニにとって適切だとはいえない素材であることもありますし、本当に理想的な流木を選ぼうとしても、1コンテナ丸ごと漁ってみても、せいぜい数本出てくるかどうか・・・というのが現状でしょう。ここが、生体の”先抜き”とは大きく異なるところです。
 また、ザリガニ飼育の場合、一般的な流木購入のお客さんと比較すると選ぶ観点や基準が全く異なっていますし、用途としても特殊なためか、普通のお客さんが選ばないような形状のもの(要するに”売れ残り”)の中にこそ、私たちが探し求めるようなものが含まれているケースは、日常的にあり得る話です。これも、ザリ・キーパーのみなさんなら、大きく頷けるところでしょう。
 そのためか、わざわざ問屋レベルにまで人脈を広げずとも、一般的なショップで販売されているものの中に「これ!」というようなピカイチのモノが見つかることが多く、そういう意味では「狭く深く」という探し方よりも、「広く浅く」という探し方をした方が、遥かに有利です。佐倉で、ずっと”まとめ買い”をしてきているのは「よい流木を入手するために、その方がよいから」ではなく、単に「まとめて量を動かす分、幾分かでも安く買えるから」ということと、「いちいちショップを回って探すのは面倒臭いから」という、ある種のズボラさ(苦笑)によるものです。流木に限っては、まとめ買いをするよりも、日ごろからショップを回ってアンテナを張っておく方が確実によいものを手に入れることができるはずです。観賞魚業界っぽい話をするならば、少なくとも流木に関しては、「1つのルートで2000本の中から抜くより、5つのルートで200本の中から10回抜く」方が、当たりに出会う確率は高い・・・ということですね! 自らの恥をさらすようですが、これは100%間違いないことであり、また本当に大切なことだといえましょう。

「狙い」を定める
 よい流木を探すために大切なことは、まず,何をおいても”狙い目”を絞ることが大切です。基本的に1つとして同じものはない流木ですから、ただただ漠然と探し歩いているだけでは、決して”理想の1本”を見つけてることはできません。また、その目的によっても”理想の1本”は全く変わってしまうものですし・・・。
 ですから、実際に探し回る前に「今回は、こうした流木を見つけたい!」という部分を明確にしておきましょう。特に、以下の点については事前にきちんと考え、自分の中でしっかりと決めておくようにします。
 目的もなく、ただボンヤリと眺めていて、凹凸がハッキリしていたり、模様の入り方が綺麗な流木を見つけたりすると、つい、手を伸ばしそうになってしまう気もわからなくはありませんが、ザリガニ飼育の場合、水槽レイアウトによっては、この模様の入り方が逆に大きな障害となってしまうことも少なくありません。見てくれを重視するあまり、活動スペースを充分に確保できなくなる・・・などの状況になってしまっては、まさに本末転倒です。決して”見てくれ本位”とは限らないのがザリガニ飼育ですから、模様を必要以上に気にする必要はないでしょう。そのためにも「どういう意図で使うことを考えて探しているのか?」ということを、きちんと踏まえて探すことの方が重要です。
 また、ザリガニ飼育の場合、一般的な流木購入のお客さんと比較すると、選ぶ観点や基準などが全く異なっていますし、用途としても特殊なためか、普通のお客さんが選ばないような形状のものの中に、私たちが探し求めるようなものが含まれているケースは日常的にあります。そのためか、ショップでも比較的売れ残っているものの中に「ピカイチ」モノが見つかることが多く、そういう意味では「狭く深く」という探し方よりも、「広く浅く」という探し方をした方が、遥かに有利だといえましょう。流木に限っては、まとめ買いをするよりも、日ごろからショップを回ってアンテナを張っておく、あるいは、常にこうしたことを意識の片隅におきながらショップ巡りをする方が確実によいものを手に入れることができるはずです。

ショップを覗いてみよう
 それでは、そうした部分を考慮した上で、実際に流木探しへと出掛けてみることにしましょう。
 まず、流木を選ぶショップですが、基本的には、定期的に流木を仕入れていて、やはり、常にある程度の本数を抱えているところが中心になります。流木自体は、量販店やホームセンターを含め、観賞魚用品を扱うところであれば、たいていどこのショップでも購入できますが、ある程度よいものを選びたいのであれば、やはり、相応の量を在庫しているところでないと選びようがありません。

  

  


 今まで撮り貯めてあった写真の他に、今回、旧友のいるショップの何軒かに声を掛けて、いわゆる”流木売り場”の写真を撮らせていただきました。売り方は様々ですが、ショップの中には、こうやって”流木コーナー”を設けてあるところも多く、ある程度の本数が売れた段階で、適宜補充しながら販売しているのが一般的です。まずは、そういうショップを押さえておきましょう。まさに「ショップ巡り=流木探し」の感覚が大切なのです。


商品名に左右されずに、材質の状態を確かめよう
 色々と見て回り、サイズや形状などの部分で「これ!」というような感じの流木を見つけたら、実際に手に取って、まず、材質などの基本的な状態を確かめるようにしましょう。もちろんそれは「アク抜き済みか、そうでないか?」というような意味での”状態”ではありません。「どんな木か?」という部分まで含めた、流木の最も基本的な部分での”状態”のことです。
右の写真は、同じお店で、いずれも”マングローブウッド”という商品名で販売されている流木です。このショップさんは、非常に広い仕入れルートをお持ちのため、流木も様々な業者さんを通じて仕入れられてきますが、こうやって並べてみると、商品名は同じでも、全く異なる木質であることは一目瞭然ですね! もちろん、この違いがアク抜きの有無による違いでないことも充分に理解できると思います。
 1990年代ごろまでは、流木に対して、わざわざ特別に商品名をつけて価値化することなど、あり得ないことでした。流木は、あくまで「流木」であって、あえてこれらを分けるとしても、それはアク抜きが済んでいるかいないか・・・ということに対してくらいでした。かなりこだわりのあるショップでも、せいぜいマングローブ・ルーツ、ローズウッド、サバンナウッド・・・程度の素材分けが精一杯であり、素材や品質によって細かく区分することは、逆にショップ側の方がいやがっていたのです。そのころは、卸業者さんから送られてくるファックスにも、そこまで細かい区分はなされていませんでしたし、今でも、流木販売の箱が2つしか用意されていないショップがあるのは、そのころの名残であるともいえます。こうした動きが激変したのは、2000年代初頭ころから現れ始めた ”アクアガーデニング”というジャンルの台頭でした。
 このジャンルでは、それまでの「魚も泳ぐ水草水槽」という概念を大きく覆す様々な要素が付加されて行きました。”水景”というコンセプトの下、単に水草と底砂のみに頼らず、木や石などを巧みに組み合わせた壮大かつ繊細なレイアウトが重視されたのです。必然的に、それまでの流木にも、様々なニーズが求められようになると同時に”陰の添え物”から、レイアウト全体の出来を左右する”重要なアイテム”へと大出世したわけです。
 その結果、21世紀に突入してから10年間ほどの間に、様々なメーカーから、様々な名称を冠した流木が一気に出回るようになりました。これはこれで、ザリガニ・キーパーにとっては非常にありがたいことでもあったのですが、同時に「商品名=素材名」という図式は、完全に崩れ去ってしまったのです。

それでは、どういうショップで、どういう選び方をすればいいのか・・・について、次項で具体的に考えてみることにしましょう。




もどる