裏磐梯で、超お上品な「ザリガニサラダ」を食す!

 福島県の裏磐梯といえば、北海道から持ち込まれたとされるウチダザリガニの棲息拡大が大きな環境問題となっているところです。閑静で、大自然が作り出した風光明媚な観光地でもある裏磐梯で、私たちの愛するザリガニたちが「駆除すべき厄介者」になってしまっているのは、本当に悲しいことですね。人間の都合と欲望によって、本来、いるはずのない所に連れてこられ、放されてしまったザリガニたち・・・。そんな中、こうしたザリガニを「超お上品に、しかも美味しく食べさせてくれる場所がある」という情報を聞いて、さっそく出掛けてみました。



 これが、今回の「主役(素材?)」であるウチダザリガニです。特定外来生物規制法による指定を受ける前までは、比較的どこのショップでも目にできたアスタシダエ科の中型種ですね! 中型種といっても、成長すればアメザリより2回り以上は大きくなります。稚ザリ〜亜成体のころまでは、よく、ニホンザリガニと間違えられてしまいますが、よく見るとわかる通り、エッジの利いた外観の雰囲気は、まさに「ガイジン」の風格タップリですよね! こんな素敵な「外人」さんを、心ない人々のモラルなき放流によって「害人」にしてしまった・・・。本当に悲しいことです。
 ちなみにこのザリガニ、元々、日本に持ち込まれた目的は「国民の新しいタンパク源にするため」でした。ここが、ウシガエルの餌として持ち込まれたアメリカザリガニと大きく違うところ。つまり、元から「人間が食べるため」に持ち込まれたザリガニなのです。となれば、味も期待できる・・・ってワケですね!

 明治21年の磐梯山大噴火による山体崩壊によって形作られた裏磐梯の湖沼は、檜原湖、秋元湖、小野川湖、曽原湖という4大湖の他に、大小さまざまな池や沼が点在しています。近年、これらの水域でウチダザリガニの勢力が爆発的に拡大しており、問題になっていますが、その中でも最も棲息密度が高いといわれているのが、この「小野川湖」です。
 継続的な棲息調査によれば、この地区で最初にウチダザリガニが持ち込まれ、放流されたのも、この小野川湖であろうといわれています。

 さぁ、それではさっそくお目当てのレストランに向かって行きましょう。

 今回出掛ける、お目当てのレストランは、裏磐梯4湖の中でも最も小さく、裏磐梯中心地区から最も奥まったところにある曽原湖のほとりで営業している、欧風料理の「農園レストラン・サラダピクニック」さんです。元々閑静な裏磐梯ですが、その中でも特に閑静で、落ち着いた「大人のリゾート地」の一角に建つ、本当におしゃれなレストランです。テラス席の周囲には、様々な野菜畑やハーブ畑が・・・。ここの畑で育てられたみずみずしい野菜たちを中心に、採れたての新鮮な大地の恵みを味わえます。ウチのカミサンと裏磐梯へ出掛ける時には、隣接するハーブ園「バンディア」とともに、マスト立寄スポットってワケ(笑)。

 曽原湖の脇を抜けて、数多くのペンションが建ち並ぶ、通称「ハーブ通り」を進んで行くと、通り沿い左手に入口があります。開店時間間近になると、そこに立つのが、こんなメニュー看板! 季節によって入れ替わる3〜4種のメイン料理と、同じく3種類程度の創作サラダ・・・。見えますか? このサラダ「B」が、今回の目的でもある「小野川湖産ザリガニのサラダ」の定位置です。それじゃ、さっそくオーダーしてみましょう。

 もちろん、店内でも食べることができるのですが、陽射しが暖かい日は、野菜畑に面したテラス席がオススメ! 高原の爽やかな空気と限りない開放感とに、ゆったりと心満たされます。

待つことしばし・・・。運ばれた来たのが、これ!
小野川湖産ザリガニのサラダ  です!

 シャキシャキ新鮮な採れたて野菜の上に、デーンと乗っかったボイルのウチダザリガニ・・・。生きている時は濃茶〜濃緑褐色の体色が、ボイルすることで鮮烈な赤色へと変身します。す、すっげー! 超美味しそう!

 さっそく食べちゃいたい気分をちょっと抑えて、中身をチェックしましょう。尾扇と腹節の部分がむしられた後、クルッと反対向きにされ、皿代わりに・・・。グッドアイディアです。身は、新鮮なキュウリなどと合えてマヨネーズ風の調味料で味付け。身がピカピカに透明で、本当に新鮮そうなのがわかりますね。

 サラダには自家製ラズベリーソースがあしらわれていますが、お好みで、同じく自家製ドレッシングもかけて食べることができます。軟らかい酸味が、こちらも美味なワケで・・・。
 ちなみに、第1胸脚に持たせているのは、ナスタチウムの花。そう! エディブルフラワーなんですね。こんな静かな山奥の湖畔で、エディブルフラワーのあしらわれたサラダを食べるなんて、もう、それだけ心が豊かになっちゃうものです! ついでにこの花、テラス席の目の前にある畑から摘んだもの・・・。新鮮なはずです。

 身の部分を食べ終えて、ちょっと引っくり返してみると、第1胸脚前節にもしっかり切り欠きが・・・。ウチダの場合、特にオスの成体はこの部分が非常に大きくなるため、個体によっては、このように切り欠きをつけて中の身を取り出し、食べることができます。「ザリガニ」と聞いて一般の人がイメージするような泥臭さは全く感じず、カニというよりもイセエビに近い食感を楽しめます。なんでエビ好きな日本人が、こんなに美味いザリガニを食べないのか、本当にわからないなぁ・・・。

 結局、あっという間に完食! もちろん、新鮮野菜も美味しくいただきました。

 このレストランで提供されているザリガニは、レストランから車で5分ほど離れたところにある「裏磐梯釣り堀センター」のご主人、佐藤豊治さんが、小野川湖で漁獲した個体を主として使っているとのこと。私も、何度かお話をお伺いしましたが、この佐藤さんという方は、裏磐梯の漁業対象生体に関しては、まさに「生き字引」のような方でして、あちこちで色々な取材を重ねて行くと、どういうワケか最後は情報源が、この佐藤さんに行き着いてしまう・・・というくらいの凄い方です。

 ちなみに、この釣り堀センターには、バスやコイなどの他に「ウチダザリガニ釣り」専用の池もあるんですよ(写真奥)。当然、施設からの持ち出しは禁止ですが、手軽にウチダザリガニ釣りを経験したい方には、本当に楽しめるスポットです。アメザリとは違った「大物釣りの醍醐味」を感じられる・・・かも!