judge-3   喧嘩の「レベル」を見極める




写真:底砂をどかし、流木下に「お気に入りのスペース」を用意したブルーマロン。これからは、基本的にここが生活の中心となる。

〜正しいジャッジのための必須事項〜
Point-1 ちょっとした小競り合いでもって収容している各個体の力関係や優劣状況を把握しておく
Point-2 喧嘩の回数が減った「見せかけ上の平和状態」は、必ずとも「安心できる状態」ではない



・・・ということは?
 喧嘩が避けられないのであれば、我々キーパーとしては、それを最低限度に食い止める努力をしなければなりません。このために唯一ともいうべき解決手段は、やはり単独飼育しかないのですが、水槽本数の都合上、すぐには隔離できない場合もありますし、繁殖期には、メス個体を複数収容する必要に迫られる場合もあるものです(単純に繁殖だけを考えれば、1:1繁殖よりも1:複数繁殖の方が方法的に上策ですしね!)。そこで、個体同士の動きを丹念にチェックしておき、収容している個体の優劣関係はもちろん、弱い個体がどこまで乗り切れるかを把握しておく必要はあるはずです。
 さて、ある程度の小競り合いが続き、互いの「優劣関係」ができてきますと、喧嘩の回数は目に見えて減ってきます。これがハッキリすることで、繁殖期間程度であれば、乗り切れることも少なくありません。水槽の両隅などというように、ある程度の距離を保ちながら、生き延びることも不可能ではありません。
 もっとも「喧嘩の回数が減ったから、問題は解決した」「喧嘩の回数が減ったから、水槽内が安心できる状態になった」と考えるのは早計です。喧嘩の回数が減っているのは「どちらかが必ず逃げているから」であり、これはその個体に対し、非常に強いストレスを与えていることになります。こうした弱い個体が逃げ込み、リラックスして過ごせる相応のエリアがあれば問題もないのですが、そうしたエリアが充分に確保できていないとなれば、個体の寿命を大きく縮める原因になります。こういう「リラックスして過ごせるエリア」こそが、摂餌や脱皮、さらには繁殖活動などを行う重要な場になることが多いからです。
 喧嘩がひどいようであればもちろんですが、そうでない場合であっても、「その個体の姿が見えているうちは餌を食べようとしない」など、明らかに優劣関係に起因するストレスが見えているようであれば、最終的には単独飼育か、セパレーター隔離などといった単独飼育に近い状況を用意する方がよいでしょう。マロンなど、一部のセンシティブな種においては、セパレーター隔離だけですと不充分な場合もあります。喧嘩だけでなく、脱皮を我慢してしまうケースさえあるようですから、こういう部分でケチってはいけません。




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