judge-1  喧嘩は「起こるのが普通」




写真:お気に入りの塩ビ管に、デーンと陣取るアメザリ白ヒゲ個体

〜正しいジャッジのための必須事項〜
Point-1 テリトリー意識の強い生物であるザリガニにとって、喧嘩は「普通」の行為である
Point-2 どちらかが退避行動をとらなかったり、とれなかったりした場合、喧嘩に発展する



・・・ということは?
 まず最初に申し上げておきますが、ザリガニという生物は、極めてテリトリー意識の強い生物です。また、彼らは「群れ」を作って生活する習慣を持っておらず、基本的には単独で行動するのが普通です。確かに冬場などは、巣穴を丹念にチェックしてみますと、(特にアメザリなどの場合)ペアで入っていることもあるのですが、これとて、年中常に連れ添っているかというと、そうとも言い切れません。だとすれば、個体と個体が接近するのは、少なくとも彼らにとってみれば「異常事態」なのです。特に、繁殖期でない場合や、繁殖に関係ない同性個体同士の場合にもなりますと「非常事態」と称した方がいいかも知れません。
 自然界に棲息しているザリガニは、その生物的な立場から見ても、常日頃、決してふんだんな餌を摂取しているわけではありません。また、爬行性(這って歩く)という、その体格的性質上、広大な領域を迅速・自在に動き回ることもできません。そこで彼らは、各々の強さに応じた広さの生活領域を持ち、そのエリアをベースにして摂餌・繁殖などといった生活しているのです。水槽飼育下の個体の場合、飼育を始めてしばらく経ちますと、水槽内にそれなりの広さがあるにも関わらず、いつの間にか「お気に入りの場所」を作り、何なければそこにばかり居着いてしまうことが多いのも、そのためです。高度な動物と異なり、何かを用いてそれを主張したり認知させたりといった手段までは持ち合わせていないようですが、そのエリアに踏み込まれてしまった場合、状況に応じて退避または防御の行動をとるのが普通です。
 これらの行動のうち「防御」の行動をとった際に発生するのが喧嘩です。また、繁殖期間中の異性個体同士においても、その呼吸が上手く合わなかった場合、メス個体は強烈な拒否反応を示すことがありますので、これも喧嘩と同じ形であるといえます。確かにキーパーの立場から見れば、困ったことには違いありませんが、こうした意味から考えれば、ザリガニにとって喧嘩とは、極めて自然であり、普通の行動であることが理解できましょう。




もどる