実験経過(アメザリ編) | |
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第1水槽 通常投餌(途中から変更)の個体 | 第2水槽 餌質コントロールの個体 |
採集直後の個体(6月2日) | |
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解説: 両者とも、採集できた中では最も小さい個体で、いわゆる「昨年の秋仔」という、生後半年くらいのものです。第1水槽の個体が全長約4センチ、第2水槽の個体は、それより心持ち大きい5センチ弱・・・といったところでしょうか? いずれも、泥質の水底で安全に生きて行けるよう、底質に合わせた褐色を身にまとっていますが、第1水槽の個体の方が、少々濃い褐色であることがわかります。なお、第2水槽の個体は、左側第5胸脚が、途中から欠損しています。 | |
いよいよ実験開始(6月3日) | |
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解説: 水槽に収容して、ひと晩おいた段階での個体の様子です。第2水槽の方はともかく、第1水槽の方は、個体の体色が若干明るくなっていることがおわかりいただけますでしょうか? これは、水槽の底質が大磯砂だからで、ザリガニは、(カメレオンほどではありませんが)このように、周りの色に合わせて僅かながらも体色を変えることが可能なのです。従って、この段階での体色変化は、実験でのものとは一切関係ありません。 | |
脱皮したぞ!(6月7日) | |
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解説:
環境の変化に対応させるためか、スタート4日目にして、両方の個体が一斉に脱皮しました。ここでは、変化の見られた第二水槽の個体を取り上げてみましょう。変化と申しても、こちらが期待した「色の薄化」ではなく、通常の成長過程で見られる体色変化で、御覧の通り、胸脚先端に、アメザリ特有の赤色が発現し始めています。アメザリを稚ザリの段階から飼育した経験をお持ちの方であれば御存知かと思いますが、アメザリの場合、発色は頭胸甲や腹節などよりも、胸脚などの方が早く出てくるのが通例です。春仔が大きくなる9月ごろに採集へ出ますと「ハサミだけが赤いザリ」によく出くわすものです。 なお、今回の脱皮では、第1水槽の個体には脱皮殻をそのまま放置して食べさせ、第2個体の方は、直ちに取り除いてしまいました。これは、古い脱皮殻に含まれているカロチノイドを、個体に再摂取させないためです。この後、それぞれの個体がどう変化して行くか、本当に楽しみです。 | |
大きな変化だ!(6月27日) | |
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解説:
今回の実験での目に見える変化が、とうとう出てきました。実験開始から25日目、ついに第2水槽の個体が、脱皮によって大きく体色を変化させてきたのです。通常の成長過程では考えられない薄青色の体色が出始めているのがわかりますでしょうか? 本来、この部分は、赤黒い色が乗り始める部分ですから、明らかに違う状態へと変わってきています。7日付の写真(上)と、ぜひ見比べてみて下さい。頭胸甲部分の明褐色は完全になくなってしまいましたから、とても同じ個体であるとは思えませんよね。 一方、途中から餌コントロールに切り替えた第1水槽の個体ですが、こちらも、全般的に薄めの体色へと変わりつつあります(頭胸甲側面などは、かなり薄化してきていますよね)。普通、ザリガニの体色変化は、脱皮を契機にガラリと変わることが多いのですが、餌でコントロールした場合、(第2水槽の個体のように、脱皮で大きく変わるのはもちろんですが)このように、少しずつ、ゆっくりと変わって行くことがわかります。変化は緩やかですが、スタート段階の写真と比較すると、全然違いますよ。 | |
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解説: 脱皮から約20時間が経過し、多少落ち着いてきた時点での体色をチェックしてみました。個体もかなり神経質になっているようで、塩ビ管からなかなか出てきませんが、こうして第1胸脚部をじっくり観察してみますと、かなりハッキリと青い色が出てきているのがわかります。なお、脱皮殻についてですが、今回も脱皮確認後、即座に取り除いてありますので、古い殻に含まれていたカロチノイドは、再摂取できない状態になっています。この後、この色がどうなって行くのか、興味深いところですね。 | |
緑色に変わったぞ!(7月11日) | |
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解説: 第2水槽の個体に引き続き、第1水槽の個体も2回目の脱皮です。第2水槽の個体と同じく、薄い青色へと変化してくれれば予定通りだったのですが、脱皮後の新しい体色を見てビックリ仰天! 青色どころか、ほんのりと緑色になっており、しかも全身が斑模様になってしまっています。ヤビーの老成個体を思わせるくすんだグリーン、そして、全身を覆う斑紋は、とてもアメリカザリガニには見えません。確かに、アメザリの稚ザリには、これに近い褐色個体もいなくはありませんが、脱皮前で、すでに若干の赤みがあったことを考えると、明らかにイレギュラーな変化を見せていることは間違いないでしょう。この個体は、途中まできちんとした餌を与えていた・・・ということも、こうした状況に至る原因のひとつとして考えてよいのかも知れませんが、こうした形での体色変化が、決して単純な要素によって推移しているわけではない・・・ということも、同時に物語っているように思えます。一方、第2水槽の個体ですが、こちらはすっかり青色が落ち着いてきました。ここまで青がしっかり出てしまいますと「これは、アメザリ青個体です」と言っても、信じられてしまうかも知れませんね。 | |
ついに青個体へ変身だ!(8月12日) | |
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解説: 3回目の脱皮で、双方の個体とも、とうとう青い体色へと変化してきました。実験開始時の写真と見比べると、とてもこの2匹が、用水路から捕まえてきた通常色個体であるとは思えませんよね。ただ、こうして観察すると、同じ青体色でも、第1水槽の個体(左側)と第2水槽の個体(右側)とでは、微妙に異なることがわかります。第2水槽の個体の方が、脱皮直後からかなりしっかりとした青が出ており、しかも外殻は厚そうに感じます。これは、脱皮の状態や脱皮した場所にも何か関連性があるのでは・・・? と思い、双方とも脱皮直後の状態を、その脱皮場所がわかるように撮影してみました。水槽の端部でこっそり脱いだ第1水槽の個体と比較し、ド真ん中で、しかも完全に底砂をどかし、理想的なスペースを作って脱皮した第2水槽の個体・・・。基本的には、第2水槽(右側)の方が、脱皮としてはいい環境で行われたことになります。この回では、脱皮後の立ち直りも第2水槽の個体が速かったので、やはりこうした部分は、大きな要素なのではなかろうか・・・と思います。飼育に当たっては、意識的にこういう環境を用意してあげられるかどうかという部分が、長期飼育の可否には大きく関係してきますものね! | |
かなり白っぽくなって来たぞぉ!(9月16日) | |
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解説: 4回目の脱皮も、第1水槽・第2水槽同時でした。これは「餌を与えて脱皮の準備をさせ、換水という作業によって、それをゴーさせる」というパターンで完全に脱皮コントロールができていたことを意味します。ある種の「強制脱皮」ではありますが、こうした形で個体の脱皮をコントロールできるようになれば、使用水槽の都合などによって、ペアごとに繁殖時期などを前後させたり・・・といったテクも可能となりましょう。さて、個体についてですが、青味はより薄くなり、かなり白色へ近づいてきました。ただ、これに合わせ、双方の個体とも、かなり外殻が薄くなってきてしまっていることがわかります。第1・第2水槽の個体とも、すでに自分の態勢を保持できる(つまり、歩き回れる)くらいまで外殻が固まっているにも関わらず、心臓などの内臓部分が、ほとんど透けて見えている状態です。もはや「健康な状態」には程遠く、決して「安全」な状態ではありません。場合によっては、ただちに実験を中止し、適切な栄養分を与えないと、そのまま死んでしまうこともあります。ギリギリの状態ですので、しっかりと観察し、適切な判断を下すようにしましょう。 | |
ついに、ついに・・・(11月4日) | |
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解説: 5回目の脱皮で、ついに純白の個体が出てきました。6月の実験スタートから丸々5カ月・・・。長かったですなぁ。まとめのところでも少し触れましたが、ここまで時間が掛かってしまった理由として最も大きいのは、やはり、投餌頻度を「3日に1回」ペースに抑えたことと、必要以上に水温を上げなかったこと・・・にあろうかと思います。水温を上げ、ガンガン餌を与える(つまり、新陳代謝をもっと活発にする)ことで、もっと早い変化過程をたどることは間違いありませんが、当然、それだけ個体に掛かる負担やリスクも増大するわけですから、個人的には、これくらい時間を掛けた形でよかったのかなぁ・・・と思っています。いずれにしても、こうして純白のアメザリができたわけですからね! | |
実験中及び実験後の注意点 | |
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この実験は、ザリガニが必要とする栄養分の一部を意図的に遮断するものです。ですから、実験が進むに連れて、ザリガニの状態は悪くなりやすくなります。たとえば、左の写真は、5回目の脱皮から約2週間ほど経過した段階での尾扇の状態ですが、脱皮後たった2週間で、ここまでバーンスポットが出、そして欠損箇所が出始めるなど、通常の状態であれば考えられません。そして右側の写真ですが、だいぶ外殻が薄くなっていることは理解できるとして、眼部斜め下の部分に、小さいバーンスポットができていることがわかります。通常の場合、こういうところに発生するケースは決して多くないので、それだけ「罹りやすく、冒されやすい」状態にあると言えましょう。実験の結果が出て、実験者全員で状況を確認できたら、できるだけ早めにビタミンAを含む餌を与え、元に戻してやりましょう。植物質主体の観賞魚用飼料や、栄養食品として有名な「クロレラ錠」などを投入すると、効率よく体色を戻すことが可能です。 |