曝気システムを追加しよう

 さて、濾過システムがほぼほぼ完成し、ザリを飼育する上での準備が整いました。前回のお約束通り「いよいよここで個体を投入しよう」ということになるのですが、ごめんなさい! 実はここで、いくつかの要素を付け足しておいた方がよいことに気づいてしまったのです(苦笑)。これから申し上げる部分については、濾過システムなどとは異なり、少なくとも「入れておかないと飼育ができない」というようなものではありません。ただ、何といっても「1から始める」というのがコンセプトですので、より幅広い観点から、より万全な形を目指すため、あえて触れておくことにした次第です。



 これが、前回までのところで仕上がってきた水槽の全景です。一見、万全の仕上がりのようにも見えますね。もちろん、この段階で個体を入れたとしても、とりあえずは問題ありません。
 しかし、よぉーく見てみると、一般的な金魚や熱帯魚の飼育用水槽ならばともかく、こと「ザリガニを飼う」という視点で見てみると、明らかに”欠けているもの”が2点ほど見つかるはずですよね? ある程度の飼育経験をお持ちの方であれば、すぐにピンと来るハズですが、それはズバリ! エアレーションと塩ビ管・・・です。ここでは、まず、エアレーションの方について考えてみることにしましょう。
 ザリガニという生き物自体は、溶存酸素量に対し特にセンシティヴな生き物だ・・・というワケではありません。アメザリなどの強健種に至っては、むしろ「こうした要素に対してはタフな生き物だ」と言っても過言ではないでしょう。今回、上部濾過システムを採用することで、ソコソコの酸素量は確保できているハズですから、そういう意味から考えれば、さらなる曝気システムの追加は必要ないかも知れません。しかし、ザリガニ飼育において”何が大切か?”ということを考えれば、それは今さら申し上げるまでもなく”逃走を防ぐ”ということですよね。そのためにも「エアレーションを施すことによって水中の溶存酸素量を常に充分以上な状態にしておき、個体が上の方に向かって上がって行く可能性をより低いものにしておくこと」は非常に効果的でもあるのです。なお、もし上部濾過システムがない場合、このような状態で飼育すると、個体は酸欠の状態となり、死んでしまいます。こうした場合には「エアレーションが必須」ということになりましょう。



 今回は、投げ込み式フィルターを用意してみました。もちろん、濾過自体は上部フィルターで行なっていますので、ここは別に硬質素材のエアストーンでも構わないのですが、とりあえず余っていた(苦笑)のと、せっかくならば少しでも”役割”を担わせよう・・・ということで、これを選んでみました。
 投げ込み式フィルターは、観賞魚飼育ですと”ド定番”の商品ですから、各社から様々な商品が出ています。水作の「水作エイト」やコトブキの「ろかドーム」あたりが有名ですよね。今回は、同じく定番商品であるGEXの「ロカボーイ」を選びました。もちろん、ここの選択については好みでいいと思います。
 ただし、ザリガニ飼育においては、基本的にスポンジフィルターを使用しません。少しでも濾過を利かせたい・・・というお気持ちは理解できなくもありませんが、もしスポンジフィルターを使わざるを得ないほど濾過能力が低いのであれば、根本的なメインの濾過システムを変更すべきでしょう。





 基本的には「送気」が目的ですので、ここで濾材として何を入れるかについては、特に大きな問題ではないのですが、ザリガニ飼育という点で、あえて特徴を出そうと考えてみた結果、ここにはサンゴ砂を入れてみることにしました。もちろん、フツーの大磯砂でもまったく問題ありませんし、特に何か特別な濾材を使わなければならないこともありませんが、やはり、水にある程度の硬さを持たせる方が有利なので、手軽にこれを実現できるサンゴ砂は本当に便利です。前回、上部濾過で投入した大粒のサンゴ砂を使ってみることにしましょう。
 なお、確かに使い勝手のいいサンゴ砂ですが、中には、底床のブレンド素材として直接水槽内にぶち込んでしまうキーパーの方もいらっしゃいます。決して禁じ手ではありませんが、やはり齧られたりすることもありますし、珪砂のように鉱石ではありませんから、徐々に溶けてしまい、管理が難しい部分もありましょう。また、珪砂と比較して硬度が上がり過ぎてしまう部分もあります。やはり、硬度を維持する底床材としては珪砂をチョイスする方が無難なようですね。



 フィルターが準備できれば、いよいよ水槽内へとセットします。「どこへセットしなければいけないか?」という点に関しては、あまり神経質にならなくてもよいでしょう。基本的には、定石通り「上部濾過の出水口から離れたところ」ということで考えてみました。流木などの景観を大切にしたいのであれば、奥まったところに配置するのも悪くありません。
 ただ、この写真で、1つだけ気をつけて見ておいていただきたい部分があります。それはフィルターに繋がるエアホースが、一般的な観賞魚飼育のそれに比べて、かなり長めに引かれているということ・・・。これには、ザリガニ飼育ならではの、ちゃんとした理由があるのです。もちろん、目分量で適当にホースを切って繋いでいるわけではありません。




 セットしたら、さっそくポンプのスイッチを入れて、送気を始めてみましょう。イイ感じでエアレーションができてますでしょうか? これは、ザリ飼育だけに限ったことではありませんが、吸水口近くにエアレーションを施す場合、吸水口にエアーが掛からないようにするのが鉄則です。
 また、ホースが水槽外に出て行く部分の目貼りは万全かどうかも、この時点で充分に確認しておくようにしましょう。ザリ飼育において”隙間”は命取り・・・です。


 曝気システムを稼働させた後の水槽全景は、こんな感じです。え?「やっぱりホースが長過ぎて見てくれが悪い」ですって? 確かに、美観的な観点からいえば、ここまでホースが長いのはよろしくありませんよね。できれば吸水口の後ろあたりに隠しつつ、ビシッと伸ばして配置したいところですが、ザリガニの場合、エアホースはあえてダランとさせて投入する方が、個体の脱走を防ぐためには安全なのです。たかがエアホースと侮りがちですが、個体は、実に上手にこれを伝って上って行ってしまうものです。いくら水槽上部のホース出口を目貼りしたところで、100%安全だとは言い切れません。これも、多くの経験者たちが苦い想いをしてきた上で培われてきた「ザリ飼育ならではのお約束」の1つだといえるでしょう。