濾過槽を立ち上げよう(1)

 目的に合わせた濾材の選定が完了すれば、いよいよそれらをセットアップし、濾過槽自体の機能を立ち上げて行かねばなりません。もちろん、生物濾過という要素が存在している以上、濾過槽が順調に機能して行くためには、応分の時間が必要ですし、いくつかの段階を踏んで立ち上げて行く必要もあります。ですから、こうした時間的な部分も充分に踏まえた上で、実際に濾過槽を立ち上げて行くことにしましょう。



 ひと口に「飼育水の濾過」といっても、そこには、目に見える汚れを濾し取る「物理濾過」と、一般的に「水の傷み」と言われる、目には見えない汚れを、主にバクテリア類などの力によって取り除く(化学的に毒性の低い物質へと変化させる)「生物濾過」という、大きく2つの機能がある・・・ということは前項で触れました。もちろん、濾過自体のシステムでいえば、それ以外にも吸着濾過などを始めとした様々なシステムが存在するのですが、観賞魚飼育においては、少なくとも物理濾過・生物濾過の2システムを確実かつ順調に機能させることが何より大切です。これを実現させるために、それぞれの濾過エリアをきちんと区分し、双方にとって障害のないようにセットアップしましょう。
 最近では、各メーカーでもこうした部分への工夫を凝らした製品が発売されていますが、今回は、濾過槽自体が大きいこともあり、このようにコンテナ状にセッティングされ、3つのエリアが組めるような状態になっていました。こうした工夫は本当に嬉しいことです。



 当然のことながら、最初のエリアは「物理濾過」のエリアにします。水槽から揚がってきた水を、まずここに流し込んで、目に見える汚れを濾し取ります。とかく「濾過」というと、つい生物濾過や吸着濾過に目が行きがちですし、こうした原理やシステムを得意気に語ることがベテラン・アクアリストであるかのような風潮もありますが、前項でも触れました通り、ザリガニはその体構造上、他の水生生物と比較して物理濾過の必要性が高い生き物です。場合によっては、生物濾過のエリアを少々削ってでも、きちんと物理濾過を機能させねばなりません。極端な言い方をすれば、物理濾過を完全に利かすこと自体が、濾過を利かすことだといっても過言ではないのです。
 濾過マットに関しては、写真のようにケチらず、ギッシリと敷き詰めて、中を通る飼育水が必ずこのエリアを通過するようにしましょう。「濾材にフタをするためにマットを敷く」というイメージではなく「マットの層に水をくぐらせる」というイメージです。



 次のエリアには、ゼオライトをセットすることにしましょうね!

え? マジで使うの・・・? ハイ! 使います!

ベテランのみなさん、そう怪訝そうな表情はなさらないで下さいね(苦笑)。

 ゼオライトは、袋から取り出したばかりですと、このような状態です。とてもではありませんがそのまま使用することなどできません。きちんと洗ってからセッティングしましょう。





 綺麗に洗ったゼオライトは、コンテナにセットしましょう。1つ目と2つ目のコンテナが、これで準備できました。


 準備できたら、コンテナを濾過槽にセットしましょう。これで、第1段階は完了! いよいよお待ちかねの注水に入ります。

 え? 3つ目のコンテナは・・・?

 大丈夫! ここは、あえて空のままにしておきます。もちろん、それにも理由があるワケですが、その理由は徐々に・・・ということで。