ポンプ回りを整備しよう

 水槽内の基本アイテムについて準備ができれば、いよいよ濾過槽セッティングに進んだ上で、すぐにでも注水したいところです。ただ、ザリガニ飼育の場合、濾過槽のセッティングに入る前に、1つ、どうしても確認して対処しておきたい部分があるのです。まさに「ザリガニ飼育」ならではの注意点というべき、この要素・・・。ここでは、それについて見ておくことにしましょう。



 この写真を見ただけで「!」と来た人は、もしかしたら「経験者」かも知れませんね(笑)。初めての方からすれば、一体何の写真なのか予想できない可能性もあるのではないでしょうか?
 これは、濾過槽の中でも、揚水ポンプを収納するハウジング内部を撮影したものです。今回は、上部濾過システムを採用しているわけですが、この場合、水槽内の水は、一旦、このポンプによって揚水され、濾過槽内へと取り込まれます。
 もちろん、問題は「ポンプの存在」自体ではありません。写真の中央部に見られる2つの切り欠き、電源シールドとエア系ホース類の取り込み口です。普通の熱帯魚飼育であれば、気に留めることすらない切り欠きですが、こうした切り欠きこそ個体の脱走経路になってしまうのです。濾過のシステムがどうであるかという部分とは一切関係なく、まず、こうした要素をきちんと踏まえておくことは、本当に重要なことです。




 本来であれば、プラ板などで塞いでしまうことがベストなのでしょうが、状況の変化によっては、将来的にヒーティング・システムやエアー・セッティングの増減があることも想定しておかねばなりません。そこで、一般的には、頑丈なテープ類で留めて塞ぐのが一般的です。
 もし、建設関係用の耐水テープ類が入手できるようであればベストですが、家庭用としては「布テープ」が最適です。セロファンテープやクラフトテープの場合、換水時の水濡れなどで脆くなりやすいため、適当とは言いにくい部分もあります。シールドやホース類は予めセットした上で、写真のようにキッチリと塞いでしまいましょう。



 ひと通り切り欠きを塞いだ上で、もう一度濾過槽内全体をチェックしてみましょう。水の流れを考えれば、出水口付近に関してはさほど心配しなくてもよいのですが、こうしたハウジング内や濾過槽自体を支える躯体部分などについては、厳密にチェックしておきます。

 ザリガニは、考えもつかないような僅かな隙間からも平気で脱走するものです。独り歩き開始後、数回脱皮してしまうと、ちょっとしたエアホースを伝って、信じられないような小さい穴からも抜け出てしまうものです。脱走経路を予めキチンと塞いでおくことは、ザリガニ飼育を成功させる上で、まさに基本の「キ」だといえましょう。



 濾過槽の方を確認したら、念のために吸水ストレーナー回りについても、確認しておきましょう。
 差し込み口付近に隙間はないか? 脱走しやすい状況になっていないか? 濾材をセットし、水を回し始める前に、こうした部分を充分にチェックしておくことは本当に大切です。水槽は、水を張ることで急激に重くなります。ちょっとした調節にも大きな労力が必要となりましょうから、特にこうしたチェックは、水を張る前にキチンと行なうことが大切なのです。