吸水ストレーナーの「短足化」
ある程度の本数以上、水槽を扱った経験をお持ちの方であれば、本編の記事中にある写真をご覧になって「あれ?」と思われた方も多いのではないかと思います。そう! この吸水ストレーナー、足が非常に短いですよね? この調節、脱走を完全に防止するほどの効果はありませんが、より危険度を低くするためには、やっておいて損はない工夫の1つでもあります。
通常、準備されているストレーナーをそのまま繋いでセットすると、左側の写真の長さとなります。今回、底砂は薄めに敷いてありますが、それでも底面からストレーナー部までは5センチありません。ちょっとした大きさの個体であれば、すぐによじ上れるくらいの高さ・・・だといえましょう。これでは「どうぞ!よじ上って下さい」と言っているのと同じです。もちろん、いくら短くしたところで、個体は、テイルフリップなどの動作で簡単にストレーナー上部へ辿り着くことができます。特に複数飼育の場合、一般的にテイルフリップは完全な退避行動ですから、よけいに逃走のリスクは高いはずです。それでも、よじ上る可能性のある要素は1つでも潰しておくのがよいことは、申し上げるまでもありません。
実際に測ってみて、ある程度の目星をつけてからカットすることも悪くありませんが、基本的には揚水に支障が出ない範囲で、できるだけ足を短くしてしまう方が、脱走防止という点では、より安全です。糸ノコなどを使ってもよいですし、中型サイズまでのストレーナーであれば、写真のように大型カッターなどでも簡単に切ることが可能です。こういうパーツは、一度短くしてしまうと、新品パーツを購入する以外、元に戻すことはできないため、ついつい躊躇してしまうものですが、収容個体の脱走リスクを少しでも軽減させる意味でも、勇気を奮って、一気にスパッと切ってしまいましょう。
綺麗にカットしたら、長さが適当かどうか確かめておきましょう。右の写真のようにジョイントさせる上で必要最低限の長さがあれば充分です。奥に写っているように、切り離した残りのストレーナーの方がよほど長いワケでして・・・。
繰り返しになりますが、このようにストレーナーを短くしたからといって、脱走が100%防止できるわけではありません。しかし、実際に飼育してみるとわかる通り、収容している個体は意外なほど簡単に、そして積極的にこうした「脱走口」を見つけ、動くものです。エアーホースやサーモスタット用のシールドなど、ビックリするくらい細いものでも、簡単に上ってしまうくらいですから、ストレーナーくらいの太さがあれば、充分に上れてしまいます。特に、複数飼育の状況であったり繁殖期だったりすると、余計にこうした行動は頻発しやすいといえましょう。少しでも、1つでも、こうした「可能性」を潰しておくことは、個体を安全に飼育する上で非常に大切なことなのです。