水槽に底砂を敷こう
流木に続いて底床材も準備できました。細かいアイテムは、順を追ってセットして行くとして、水槽内の基本的な要素は、これで1通り揃いましたね! それではいよいよこれらを水槽に投入し、水を張る工程へと入って行きましょう。
まず、最初に底床材を投入します。今回は、大磯砂を使いますので、これをザバザバと入れて行きましょう。ここでは、前項で洗ったままの状態で投入します。
ただ、以前、別の生物を飼育するために使っていた底床材などを用いる場合、予期せぬトラブルを避けるために洗浄後、一度数日間の天日干しさせてから投入するという手順を踏む場合もあります。これは、水洗いなどでは充分に除去しきれない病原菌などを消滅させるためで、より丁寧な、万全な方法だといえるでしょう。一般的な熱帯魚の飼育などで、特に、魚病などが発生してしまった水槽などでは、これを行なうのが必須だとされています。
もちろん、天日干しですべての病原菌やトラブル要因が除去されるわけではありませんから、過信は禁物です。確かに、日光による紫外線消毒には大きな効果があるとされていますが、それでも、すべての病原菌を殺すことはできませんし、ザリガニにとって最も恐ろしいとされるザリガニかび病の原因菌 Aphanomyces astasi の場合、こんな程度の策を講じるだけでは、ほとんど効果がないといえましょう。あくまで「予期せぬトラブルを避けるため」であり、そのために万全を期すためであれば、洗った底床材を数日間日光に晒すのもアリ・・・ということなのです。
大磯砂を全部投入したら、右の写真のように、手でゆっくりと均して行きましょう。この時、手が汚れることを避けるために、水槽用スコップなどで均すこともあるとは思いますが、やはり、ザリ・キーパーであれば、ここはあえて「手」で均してもらいたいところです。
もちろん、これはある種の「根性論」「精神論」ではなく、自らの手を使うことで、よりしっかりと底床の状況を把握しておくことが、ザリ飼育にとっては非常に重要だからです。粒の大きさ、均一さ、丸さなど、触感から得られる情報には様々なものがあります。これを、知識だけでなく感覚として自らの身体に叩き込んで行くことも、スキルアップの上では欠かすことができません。そして、こういう段階で得られる様々なヒントが、後になって生きてくることも、決して珍しいことではないのです。
均し終わったら、一度横から眺めてみましょう。完全なフラットにする必要はありませんし、注水の段階でどうしても底状は荒れてしまうものですので、あまり神経質になる必要はありませんが、流木投入後のバランスをきちんと見極めるためにも、一応、フラットな状態になっているかどうかはチェックするようにします。
大磯砂を均したら、次に、仕立てておいた流木を投入して行きましょう。もちろん、ただ投入するだけではいけません。シェルターとして一番効果があり、なおかつ個体が齧りやすい部分が接地面にならないよう配慮しながら、1つ1つ置いて行く形をとります。上方から、そして側面から何度も眺め、こうした条件をチェックしながら置いて行きましょう。
流木を全部置いたら、改めて上方と側面からレイアウトをチェックします。この時に気をつけるのは、流木1つ1つの条件ではなく、水槽内全体のエリア構成です。収容を予定している個体すべてが充分に身を隠すことができる待避エリアと、摂餌がしやすく、場合によっては脱皮や交尾が充分に行なえる活動エリアとが明確に分けられているかどうかをきちんとチェックしなければいけません。水槽は、確かに観賞して楽しむものではありますが、こうしたエリア構成が不充分な状況ですと、いずれその水槽内では、必ず何らかのトラブルが発生します。ザリガニは、基本的に自らの生存テリトリーを設けて生活する生き物ですから、まず、何をおいても、この部分の配慮を忘れないようにしましょう。
なお、水槽内でのエリア構成ですが、脱皮や交尾でのトラブルを回避することを考えると、水槽の大きさに関係なく、活動エリアは複数設けるのが常道です。
セットが終われば、濾過装置を載せて、完了!
正面から見た様子が、右の写真です。今回は120センチ水槽ということで、全体的に余裕があるのは当然のことですが、大きな流木を中心に、左右を40センチ級の流木で扇形にレイアウトを組みました。右上の写真と見比べていただけるとおわかりの通り、流木周辺の待避エリアに加えて、水槽後方側部に各1ヶ所ずつの活動エリアを設けてあります。これにより、前面の広大な活動エリアに加えて、脱皮や交尾も比較的トラブルなく行なえるよう配慮してみました。
水槽の内部について、大まかな部分は基本的に完了! 今度は、濾過装置関係の準備に入りましょう。