底床の「厚さ」は、実際どうなの?
底床の厚さについては、以前の項目でも色々と取り上げてきましたし、今さら「厚い方がよい、薄い方がよい」的な説明は不要ですが、実際、「より薄く」とは説明されていても、それが一体、どれくらいの薄さを指し示しているのか・・・という点で、ビジュアル的な部分から具体的な説明がなされているケースは、そう多くないと思います。今回、せっかくこうして新しい水槽をセットアップしているワケですから、まさに絶好のタイミングですね。そこでここでは、前項で触れた「だいたい底面全体が隠れる程度(底面から1〜2cmくらい)の量」という点ついても、写真を撮って解説してみることにしましょう。
本編でも「だいたい底面が隠れる程度」という説明をしてありますが、その「隠れる程度」に敷いた感じというのが、左側の写真になります。小さい写真で見づらい部分は本当に申し訳ないのですが、よくご覧になっていただけますとおわかりの通り、ところどころ黒い底面が見えています。粒の大きさにもよりますが、「勢いよく注水したら、あっという間に底面が丸見えになってしまう」くらいの感じ・・・だといえましょう。
ザリガニ飼育における「換水」とは、水を換えるという意味合い以上に「底床の汚れを除去する」という目的が重視されます。底床を不潔にしたままいくら水換えをしたところで、ザリガニの生存環境を向上させるいう点では、ほとんど意味をなしません。底床は、そういう意味で、何よりも「清潔に保ちやすい」という条件が優先されるものなのです。これは、ザリガニ飼育における底床の意味合いが、他の一般的な観賞魚飼育のそれと大きく異なる部分なのではないでしょうか。
カーテンが写り込んでしまって見づらいのは本当に申し訳ないのですが、底床を敷いただけの状況を写したのが、右の写真です。正面斜め上からみて、ほとんど厚さがないのがご理解いただけることでしょう。見栄えという点で、もう少し厚く敷きたいというキーパーの気持ちも、決して理解できないわけではありません。しかし、何よりも大切なことは、収容する個体をトラブルなく飼育するために、マイナス要因は1つでも排除して行こうということです。見栄えという点を除けば、これくらいの厚さで、飼育に支障が出ることはありません。むしろ、換水を行なうたびに、汚れを蓄積させず着実に除去できるという点で、ザリガニにとって最も好環境であるといってもよいでしょう。
「これじゃ、換水のたびに毎回底床均しをしないといけないし・・・」という声が聞こえてくるかも知れませんが、ザリガニからすれば、むしろ換水のたびに底床均しをするくらいでちょうどよいのです。底床を清潔に保てるかどうかの違いは、飼育開始からしばらく経過してから、徐々に徐々に個体のコンディションの違いとなって現れてきます。バーンスポットだらけの胸脚を引きずる個体を眺めてガッカリする前に、こういう部分の「ちょっとした気遣い」を大切にしたいものです。