水槽を搬入しよう
設置場所も決まり、電源確保にも大まかなメドが立ちました。「さぁ! さっそく水槽を運び込んで、お目当てのザリガニを連れてこよっかなぁ・・・!」と意気込みたいところですが、今回は、何をおいても全く基礎からの水槽セッティングです。個体の姿はおろか、具体的な「ザリガニならでは」の項目も、まだまだほとんど出てきていませんが、飼育は何よりも基本が大切! 慌てずじっくりと、1ステップずつ進めて行きましょう。それでは、さっそく水槽を運び込んで行きます。
水槽設置の前に、まずは水槽台から搬入します。水槽は、もちろん地置きでも構わないのですが、下部のスペースを有効に生かしたり、観察の目線を合わせたりするためにも、何らかの水槽台はあった方がいいですよね。水槽台には、アングル型のものやキャビネット型のものなど、様々なものがありますが、設置する予定の水槽本数や機能的な問題を充分に考えて選びましょう。ホンネで言えば、本数をガッチリ稼げるアングル台の方が嬉しいのですが、家の中まで水槽ズラリ・・・では、家庭不和の原因にもなります(苦笑)ので、今回はキャビネットでガマン、ガマン。
水槽台を使わない場合、(特に45センチクラスくらいまでの小型水槽の場合などは)たとえば靴箱とかタンス、戸棚や机などの上に設置するケースも時折耳にします。決していけないわけではありませんが、万が一の水漏れや水ハネのことは、充分想定した上で設置場所を決めましょう。後の項で詳しく解説しますが、ザリガニ飼育は、基本的にフル・アクアリウム(水量満量)で行なうものです。換水時や、ちょっとしたトラブルなどで、書類や衣類などが水びたし・・・にでもなってしまうと、色々な意味で大変ですぜ!
さて、この写真をご覧になって「ん?」と思われたみなさん。もしかして、気づかれちゃいましたか?
今回、ある業者さんのご厚意により、ホームページ上でのセッティング講座に役立てて欲しいということで、キャビネット付きの120センチ中古水槽一式をいただいて来ちゃいました。たかがザリガニを120センチ水槽で飼う・・・なんて、やっぱり頭のどこかが狂っているのかも知れませんが(苦笑)。やっぱり、持つべきは「仲間」です。なお、水槽の大きさは別として、基本的な濾過方式さえ一緒であれば大まかなセッティングの手順は同じです。
水槽の大きさについてですが、基本的には各々の設置環境に合わせた大きさをチョイスすればよいでしょう。ただ、一般的に水の安定度は、水量に比例するものです。また、テリトリー意識の強いザリガニを飼育する場合、底面積の広さと収容個体数の関係は充分に考慮する必要があります。全く経験のない方であったり、アメザリなどの大きさの種を2〜3匹は収容したい・・・とお考えのようであれば、基本的には60センチ水槽クラスを軸に選んで行くようにしましょう。水槽サイズが小さくなればなるほど、水の安定度や個体間トラブルなどのリスクを背負わなければいけません。
水槽台を設置したら、いよいよ水槽本体の搬入です。水槽は、底砂を敷いて注水すると、結構な重さになります。左右や奥行きなどは、この段階できちんと確認しておきましょう。また、水平チェックも念入りにしておきます。
使う水槽の素材ですが、ガラス製にするかアクリル製にするかは、それぞれの好みでよいでしょう。ただ、ザリガニ飼育の場合、底床の汚れにはかなり頻繁な対応が必要になります。換水のたびに、底砂を掻き回すような作業を行なわなければなりません。そのため、底砂を敷く場合、アクリル水槽ですと、長いこと使う間に横4面の下部に、かなり細かい擦り傷がついてしまうものです。何年か使ったアクリル水槽を水抜きして、中身を全部取り除いて乾かしたりした経験をお持ちの方であればわかると思いますが、観察面の下、数センチくらいのところがうっすら曇ってしまうくらい、細かい傷がついてしまいます。アクリル水槽は、同サイズのガラス水槽に比べれば非常に軽量ですし、細かい擦り傷だけであれば飼育に影響はありませんが、こういう「見た目」を気にするようであれば、素材はガラスの方がよいでしょう。
120センチ水槽、しかも曲げガラス・・・。やっぱ、ザリガニ飼育にはもったいなさ過ぎるかも知れません・・・ね(苦笑)。
飼育自体に必須というわけではありませんが、水槽背面にはバックスクリーンは取り付けておいた方がよいでしょう。特に体色面に重きを置いてザリガニの飼育をする場合には、その状況を細かく、また正確に把握して行くためにも必要です。
最近は、カラフルなカラーリングのものや水草写真など、どちらかといえばイメージ重視のバックスクリーンも数多く売られていますが、体色や成長度合いなどをきちんとチェックして行きたい場合などは、基本的に単色、特に黒色のスクリーンを選ぶのが一般的です。必須材料ではない・・・ということで、つい、ケチりたくなる気持ちもわからなくはありませんが、1000円札1枚でお釣りが来る程度の投資ですし、こういうところに掛けるお金をケチると、後で痛い目に遭うこともあるのです。初級者水槽セットの中には、紙製のものが入っている場合もありますが、水が染み込むと汚れが目立ったり、ガラス面にこびりついてしまったりする場合もあります。ケチらず、フィルム製のものを使う方がよいでしょう。
一旦、水槽を台から外して、天地左右のサイズに気を配りながら丹念に貼り付けて行きましょう。
セロテープやビニールテープなどを使っても大丈夫ですが、特に角部や上面部は、水が掛かったりすると剥がれやすいですし、水槽が大きくなればなるほど、剥がれた際の補修も手間が掛かりますので、できれば水に強い接着素材を用いて丹念に貼って行くようにします。
スクリーンを貼り終えたら、もう一度水槽台の上に戻して確認します。上部、正面、斜め上方、斜め側方それぞれからきちんとチェックしましょう。問題ないようであれば、とりあえず水槽本体の準備は完了です。