流木を漬け込もう

 ザリガニのための水槽を立ち上げる際、時系列的に見て最も早く手を付けて行かねばならないのは、場所選びとか水槽選びとかではなく、実は「流木の準備」なのです。これは、流木を「シェルター兼飼料」と位置づけるザリガニ飼育ならではのことかも知れませんね。



 まずは、水槽の大きさに合わせて、使う流木を調達してきます。水槽のレイアウトに関しては、他のコーナーでも触れていますし、ここでも後の項目で触れる予定でいますが、待避スペースと行動スペースをきちんと色分けすることが重要ですので、水槽内一杯に流木を投入する必要はありません。
 ザリガニにとっての流木は、シェルターにもなり、なおかつ栄養源にもなるという非常に大切なものです。ここが、一般的な観賞魚水槽における流木の存在意義と最も異なる部分です。ですから、形状も、そうした要素を充分に考慮して選びましょう。適度に模様が入っていて隠れやすく、かじりやすい形状のものを探すようにします(詳細は「ザリガニ餌図鑑」コーナー内で公開されている「出たMONO勝負・流木編」をご覧下さい)。
 素材に関しては、食用という点から考えると、マングローブ・ルーツ系が最も適しています。ショップなどへ行きますと、よく「アク抜き」と表記された流木が売られていますが、ザリ飼育の場合、基本的にアク抜きは自分で行なうと考えるのが原則です。




 流木は、漬け込みを始める前に、1つ1つチェックして行きましょう。目視できる大きなゴミなどは、ここで取り除きます。
「以前、使っていた流木だから、アク抜きしなくても大丈夫!」と甘く見てはいけません。使い回しの流木の場合、「塩吹き」といって、右の写真のように白いミネラル成分が表面に付着している場合もあるからです。この白い物質は、ほとんどが飼育水中に溶け込んでいたミネラル分ですので、必ずしも有毒というわけではないのですが、投入後の水質変化をあまり激しいものにしないためには、きちんと洗っておくことが大切です。


 使い回しの流木も、新しく調達した流木も、まずはゴシゴシ洗ってしまいます。個体が齧ることも考えて、かなり強めに洗うようにしましょう。
 ザリ用として望ましい流木ほど、その表面は凹凸が激しいので、できれば写真のような毛足の長いブラシ系のタワシで洗うと効果的です。


 洗い終わった流木は、バケツやトロ舟など、大きな容器にブチ込んで、水を注ぎます。これで、漬け込み準備は完了! 比重が軽く、浮いてしまう流木がある場合には、写真のようにレンガなどで押さえておきましょう。
 今回は、使う流木の量も多いので、プラスチックの衣裳ケースを使いました。水を満タンに入れると、多少形が歪むのは難点ですが、これがまた、結構使い道があるものでして・・・(苦笑)。
 ちなみに、ザリ飼育の場合、基本的には絶対にアク抜き剤を使いません。最低でも1週間以上は時間を掛けて、ゆっくりとアクを抜くようにしましょう。「時系列的に見て最も早く手を付けて行かねばならない」としたのは、こうした理由があるからです。ある程度の水槽本数を抱えるキーパーさんになりますと、いざという時の水槽本数変更やセッティング変更に備え、常時何本かの予備流木を用意し、こうした「アク抜き用容器」に漬け込んでいる方も少なくありません。