ザリガニ飼育用流木とアク抜き剤

 年に数回、キーパーの方から「飼育には流木がよいというので、買ってきて入れてみたのだが、何時間かしたら突然ザリガニが苦しみだして、半日も経たずに死んでしまった。わざわざ観賞魚用のローズウッドを選び、しかも、きちんとアク抜きもしたのに、どうして?」というような、流木投入後のトラブルに関するお尋ねをいただきます。

 ひと口に「流木」といっても、その由来は様々で、ザリガニにダメージを与える原因も、実の様々なものがあります。木材そのものの成分に原因があったり、付着している何らかの成分が問題だったりするからです。
 しかし、たとえば材料が針葉樹系の素材であったりした場合や、その変化が急激なものであった場合などを除けば、基本的に木材そのものの成分によってザリガニに致命的ダメージを与える可能性は、そうそう高くありません。つまり、観賞魚用としてきちんとしたルートで入荷し、販売されている流木である限り、その「アク」のせいで致命的ダメージを負う可能性は低い・・・ということになるのです。
 そうなると、何が問題か・・・ということになるのですが、現状、最も可能性が高いものとして考えれているのが「アク抜き剤」です。市販のアク抜き剤には様々なものがありますが、一般的に知られているのが、いわゆる「重曹系」のアク抜き剤です。
 重曹は、炭酸水素ナトリウムの通称で、「重炭酸ソーダ」とも呼ばれる弱アルカリ性の物質です。洗浄、漂白、脱臭など様々な用途に役立つことから、観賞魚の世界に限らず。工業用から医療用まで幅広く利用されていますが、特に食用、医療用などに用いられる天然重曹以外ですと、一般的に石灰石と塩化ナトリウムにアンモニアを加えて反応させたり、炭酸ガスと苛性ソーダを合成させたりした、いわゆる「人工合成重曹」が用いられます。安価な一部の製品の匂いを嗅ぐと、軽い刺激臭がするのは、残存塩化アンモニアの影響であるともいわれています。
 もちろん、すべての原因が、この残存アンモニアにあるとまでは断言できませんが、数ある突然死事例を分析してみる限り、水槽内の美観と時間短縮のためにアク抜き剤を利用したという点が概ね共通しているため、基本的にはザリガニ用の流木を準備する限り、時間的なロスは覚悟してでも、アク抜き剤ナシでアク抜きに臨むべきである・・・と考えた方がよいでしょう。
 右の写真は、まとめ買いで安く仕入れたローズウッドを持ち帰り、電ノコでスパッと切り、断面を見たものですが、表面だけから見る限り「数日間、漬け込んでおけば大丈夫だろう」と思われるような流木でも、こうしてみるとほとんど一般乾燥木と変わらない状態のものもあります。事実、この流木は、約半年間漬け込んだ上で使用しました。
 ザリガニにとって最高の素材にするためには、慌てず、時間を掛けてじっくりと「ザリ用流木」に仕立て上げて行くことが大事だといえるでしょう。