水槽設置場所の選定

 無事、家族のお許しも得られました。そこで、いよいよ水槽のセッティングがスタートします。さっそくショップに出掛けて水槽や道具類を買い込んで来たいところですが、実は、その前にきちんとやっておかねばならないことがあります。そう!水槽設置場所の吟味と選定ですね。何だか拍子抜けしてしまうくらい当たり前のことですが、ザリガニ飼育に限らず、すべての水生生物飼育において、その水槽自体の善し悪しは、中身だけでは判断できません。管理のしやすさや環境の善し悪しといった水槽外部の環境も、水槽の中身と同じくらい大きな要素となります。これからザリガニと長く付き合って行くために、これは本当に大切なことなんですね!



 まず、ザリガニ水槽の設置場所として望ましい、というか、必要最低限の「条件」を挙げてみましょう。

 その他にも、たとえば「人の出入りがあまり激しくない」「光量、水温その他を水槽本意でコントロールできる」・・・など、望ましい条件は挙げればキリがありませんが、ごく普通の家庭環境で、こうした条件をすべて満たすのは正直なところ困難です。また、そういう環境を実現させるために室内のレイアウトまで変えてしまうことにでもなれば、ご家族の理解も得られにくくなることでしょう。ですから、ここではあくまで「水」「光」「電気」の3点から、室内のレイアウトを変えることのない範囲内で、最も望ましい場所を探すことにしました。


 家の中をあれこれ歩き回って検討することしばし・・・。いくつかの候補の中から、今回、水槽設置場所として最終的に決めたのが、右の写真のスペースです。
 ここは、いわゆる「リビング」になりますが、水槽設置を想定している場所の左隣には、大きな南向きの窓があり、その窓のすぐ外に撒水栓があるので、水の供給は問題ナシ、おまけに、飼育水はそのまま庭に排水できるので、水回りは問題ありません。また、窓の外には縁側があり、長ヒサシが出ているので、水槽に直射日光が当たることもありません。それなりの明るさも得られるし、光量の点でも問題ありませんね。


 電源は、ちょうどよい具合に、カーテン脇に設置されていたので、今回は、これをそのまま使うことにしましょう。意外と見落としがちですが、水槽の設置という流れの中で、電源という問題は非常に重要なんですね! 
 電源に関し、一番注意しなければならないのは、やはり水周りの近くにあることによる冠水や、タコ足配線、接触部の汚れなどによる漏電やショートに起因する火災です。ザリガニのお家のせいで自分のお家が燃えたら、悔やんでも悔やみきれませんものね。
 このコンセントの写真を、見るべき人が見れば、家自体の新しさがどれくらいかバレてしまいます(苦笑)が、水槽をセットする前に、ある程度ホコリを取り除くなど、綺麗にしておくことは本当に大切です。
 また、もしご家族のご理解を得られて、室内に新たなコンセントを設置できる状態であるなら、設置場所はこのような床面ギリギリではなく、高い位置に作る方が理想的です。これにより、水槽からの「伝い水」による漏電を防げるからで、電気工事のおじさんに「クーラー用の電源位置で」とお願いするようにしましょう。この方法ですと、コンセントから下に向かって伸びるコードが丸見えになってしまうため、室内の美観という点では多少問題もありますが、コンセントのチェックや漏電防止という点では、一番安全性の高い方法でもあるともいえます。




 綺麗に片付けて、大まかなスペースを確保します。これで、水槽設置の準備は整いました!
・・・と言いたいところですが、できることなら水槽を運び込む前にチェックしておいた方がよいポイントが、もう1つだけあります。それは「水平」レベルと床の強さ・・・ですね。
 水槽というのは、見た目以上に重いものです。普通の6M(60cm×30cm×36cm)の水槽でも、ちょっと凝ったセッティングにすれば、その重さは、軽く80kgを超えると言われています。これが120cm水槽にでもなれば、重さは優に250kgを超えることでしょう。ちょうどその場所の床材が張り板だけだったり、荷重に対する補強がなされていなかったりすると、後になって大変なことが起こる場合もります。また、古い家などの中には、歪みにより水平が保たれていないケースもゼロではありません。特にガラス水槽の場合、水平時の水負荷には耐えられる設計になっていても、斜めの負荷には非常に脆いといわれています。これらの部分で少しでも不安がある場合、決して甘く見てはいけません。水槽を設置する前の段階で、きちんと見極めておきましょう。
 これらがきちんと確認できれば、いよいよ水槽の設置です!