体色の判断基準





写真:全身が完全な斑紋で覆われているTL4センチの亜成体。このような個体が「アーミー・カラー」なる名前を付けられて売られた時期
が現実にあった。次の脱皮で、普通の体色に戻ったことは言うまでもないが、亜成体の時期は、微妙かつ多彩な変化を見せるのが当たり前と
いう事実を、私たちキーパーはしっかりと知っておきたい。カラーバリエーションの問題は、あくまでもそこから先、成体の時期の話である。




 アメリカザリガニというと、やはり「赤」というイメージが強いものですが、スタンダードなアメリカザリガニの稚ザリは、その大半が茶褐色であり、独り歩き開始直後から真っ赤な体色であるケースは、ほとんどありません。実際には、生後半年から1年、いわゆる「亜成体」と呼ばれる時期、TLにしてだいたい3〜5センチ程度のころから、少しずつ赤い体色を見せるようになってくるのが普通です。そして、この時期の変化過程は、単純に「茶から赤」という一本調子な変化ではなく、非常に複雑・多彩であり、様々な模様や色合いを見せることが少なくありません。黒あり、緑あり、青あり、そして、マダラあり、グラデーションあり・・・と、同じ腹の仔でも、こんなに様々な変化を見せるのか・・・と思うと、実に興味深いものです。
 しかし、これはあくまでも一時的なものであり、せいぜい数カ月間のものです。たいていは、次の脱皮を迎えると、ごくごく一般的な赤い体色に戻ってしまうものです。ですから、もしもこれを「カラーバリエーション」だとするならば、アメザリのカラーバリエーションは、それこそ「何万通り」あることになってしまいます。実際、アメザリの特別色個体が話題になり始めた一時期、一部のショップなどで、こうした時期の微妙な変化を見せた個体を「レア個体」として販売し、その後、大変なクレームがそこへ殺到したという事件がありました。今のように情報が行き渡っていない時期でしたので、多少やむを得ない部分もあったかも知れませんが、どちらの立場から見ても、残念なできごとであったはずです。
 このような状況を踏まえ、このコーナーにおいては、一部の特殊事例を除き、こうした亜成体期の体色については取り上げません。原則として、充分な性成熟状態にあると思われるTL7センチ以上の個体において見て参ります。


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