TRY-4 さぁ、下げて行くぞ!
加温状態での投餌開始から約2週間が経つと、個体の方のコンディションもかなり良くなってきます。この「2週間」という数値ですが、実はこれといった学術的裏づけのあるものではありません。ただ、通常、個体を自分の水槽に導入してから、ほぼ馴れて落ち着くまでの期間がそれくらいですし、多くのブリーダーさんやベテランキーパーの方々の見解を総合すると、概ねこれくらいの期間に収斂されてきますので、それを参考にしつつ紹介させていただいたものです。もちろん、この期間の設定は人によって様々だと思いますし、「絶対に2週間なければならない」というわけでもないのですが、短すぎても変化度合いがキツくなってしまいますし、長すぎると個体の体内時計を狂わせてしまう原因になってしまいましょう。こんな状況から、経験的に最も無難な「2週間」という時間を設定したワケです。
さて、それではいよいよ温度降下に入ります。まず、開始の時期ですが、自然下の個体が越冬態勢に入る時期よりも若干遅めの時期を選びます。これは、自然下での開始時期である中〜晩秋ころですと、水槽飼育の環境が、いわゆる「外気温」の影響に左右されやすいからで、せっかく水温を下げ始めても、日中の高温で元に戻ってしまうことがあるからです。どうせなら、こちらが思う通りに、きちんと下げて行きたいものですし、詳しくは後ほど触れますが、越冬個体にとって、無用な水温上下は非常に大きな負担になるものです。そういう意味で、日中を通して設定温度が外気温よりも低くなってからスタートさせる方が無難だ・・・といえましょう。
下げ方としては、1日につき1〜2度ずつ、サーモの設定温度を下げて行きます。最初の設定温度が23度として、10度を割るまでには、1度ずつのセットで約2週間、2度ずつのセットで約1週間の所要期間となりますが、あせらず、あわてずじっくりと下げて行きましょう。ここで急ぐ必要はまったくありません。
下げ始めの段階でやっておかなければならないことの一つに”換水”があります。ここまでの期間、個体にはともすると必要量以上の餌が与えられているワケで、残餌はもちろん、糞尿などによる水の傷みも少なからずあると考えなければなりません。越冬期間中は、できるだけ換水を控えることが大切なので、水温が下がりきる前に、水を換えておく必要があるのです。ただ、この期間の大規模換水は、予期せぬ脱皮を招く危険性があります。ここで脱皮されてしまいますと、今までのプロセスがすべてパーになりますので、個体に「あ、水が換わったな!」と気取られない程度の少量換水を心掛けましょう。いわゆる「少量・頻繁」の原則を遵守することがポイントです。
また、餌についてですが、ザリの場合、(すべての個体に当てはまるワケではありませんが)一般的に15度ラインを下回ると、急激に食欲が鈍ってきます。そこで、水温の低下に合わせて、嗜好性の高い動物質中心の餌ローテーションに組み替えて行き、量についても少しずつ絞って行くようにします。投餌は、14〜5度くらいまでの間は、普通の投餌間隔で問題ありませんが、それを切り始めたら、多少間隔をあけるようにします。
この段階で、メダカ・タナゴなど、低水温に強い小型魚を投入しておきましょう。これらの魚は、この後になって、かなり重要な役割を担ってくれるからです。投入匹数は、通常の60センチで、メダカなら4〜5匹、タナゴやクチボソなどの小魚なら2〜3匹といったところです。
水温が10度を下回りますと、いよいよ「越冬モード」への突入となります。これからの数ヶ月間が、腕の見せどころ・・・ですね!
TRY-4のまとめ
その1 水温は、あせらずじっくりと、小刻みに下げて行く
その2 餌の与え方に注意し、少量換水で水質を整えて行こう