本物の「博物館」だ!
ふじや帽子店(三重県伊勢市)



訪ねた日:平成14年9月15日


 すでに御承知の通り、このホームページのタイトルは「野球帽博物館」です。ここでは、様々な野球帽を、あたかも博物館にでも展示してあるかのように紹介させていただいているのですが、やはり実際に運営しておりますと「本当に、これらの帽子を展示できたらいいなぁ・・・」と思うことも、一度や二度ではありません。やっぱり、直接みなさんの目で御覧いただくのがベストですもんね!
 三重県中部にある伊勢市では町の活性化と産業の振興を目指した対策の一環として「伊勢まちかど博物館」という企画に取り組んでいます。商店や民家などが、それぞれの特性を生かして様々なものを展示し「ミニ博物館」をたくさん作ってしまおう・・・という素晴らしい企画です。伊勢市内に点在する各商店街でも、独自のカラーを出した展示をしているそうですが、そのような中、市街の高柳商店街にある「ふじや帽子店」さんでは、往年のプロ野球帽を展示しているそうです。これは、さっそく出掛けないといけません。名古屋から近鉄特急で1時間半ちょっと・・・。爽やかな風の吹き抜ける伊勢市駅に降り立ってみました。



商店街までは、のんびり歩いても駅から10分ちょっと。途中、伊勢神宮(外宮)の別宮である「月夜見宮」の横を通り抜けます。やがて、「エスポアたかやなぎ」の真新しいアーケードが見えてくると、すぐにお店が・・・。店頭正面に、往年の野球帽がドーンと陳列されています。阪急・日ハム・大洋・近鉄・・・。あのころ、私たちの頭上に輝いた帽子が、こうして店先に並んでいるなんて・・・。もちろん、これらの帽子はすべて展示用のため非売品なのですが、あの「帽子屋の店先で、ドキドキしながら買う帽子を選んだ」少年時代を思い浮かべます。部屋に飾るのもいいですが、こうやってお店に並んでこそ、カラフルさも引き立つというものですね!





こうやって角度を変えてみると、これまた素晴らしい帽子たち・・・。野球の大好きな店主である淺野明男さんのお話では「最近は、売れ行きもメッキリ減ったけど、昔は1チーム200個売ったこともあった」のだそうです。確かにあのころは、野球帽こそが「定番」でしたし、男の子で野球帽をかぶってない子なんて、いませんでしたもんね! 自分がすでに持っている帽子でも、こうやって並んでいると、なんとなく欲しくなってしまうのが不思議ですが、実際「かなり遠方からやってきては、この帽子を売ってくれと言い出すお客さんもいる」そうです。また、現行の帽子も12球団すべて揃っていて、こちらは販売OK! 最近では、12球団すべてを揃えている帽子店もかなり減ってきているので、これまたかなり遠方から、通販のオーダーが入ることも珍しくない・・・とか。





そして、驚いたのが、辛うじて残っていたという西鉄のNLワッペン! これまた当時のスタイルの貴重な布帽子に縫いつけられて展示されていました。これはホント、感激の落涙モノでしたね! 正直、今一番の売れ筋デザインであるニューヨーク・ヤンキースのNLロゴよりも、こちらの方が100倍カッコいいと思いますモン(笑)。
浅野さんのお話では、カラーテレビが普及する昭和40年代前半までは、今のようなカラフルな帽子が作られることもなく、布地の野球帽を選んでもらって、お気に入りの球団ロゴマーク(ワッペン)をその場で縫いつけて売っていたそうです。いわゆる「バッチ換え」は、全国的な販売形態だったんでしょうね! それにしても、残っていたワッペンが、YGでもTHでもなく、NLだった・・・というのが凄い! さすが「博物館」なのであります。浅野さんの話では、この展示企画は、あくまでも「まちかど博物館」のコンセプトに沿ったものなので、「まちかど博物館」の企画自体が終了すれば、これらの帽子も店頭から撤去するかも知れない・・・ということでしたが、野球帽ファンのみならず、すべての野球小僧のために、末永く飾って下されれば嬉しいなぁ・・・と思いました。





ふじや帽子店
ホームページは こちら 
営業時間 10:00〜19:00 月1回不定休
住所 516-0078 三重県伊勢市曽弥1-11-7
電話番号 0596-28-4658


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