学芸員のひとり言(その4)
ニット帽かメッシュ帽か?


 野球帽には、同じデザインでも「冬帽」といわれるものと「夏帽」といわれるものの2種類があります。これらは、言うまでもなく「寒い時期向けか? それとも暑い時期向けか?」という違いなのですが、コレクターさんの中には、この部分まできちんとわけて考える方もいらっしゃいますので、とりあえず触れておきましょう。

 この写真は、大洋ホエールズの帽子を横向きにして、冬帽と夏帽とを背中合わせに撮影したものです。
 まず「冬帽」といわれる帽子(写真向かって左側)ですが、こちらは帽子の全面がニット地で作られているもので、「ニット帽」とも呼ばれます。生地が厚いため、必然的に作りもしっかりしたものとなり、保存性という点では有利だと言えます。後述のメッシュ帽よりも、流通量が少なめであるという点も、コレクターさんの「マニア心」をくすぐるようです。
 一方、「夏帽」といわれる帽子(写真向かって右側)ですが、こちらは帽子の後面、6方型の帽子であれば後ろ4方が網地(メッシュ地)になっているもので、「メッシュ帽」とも呼ばれるものです。メッシュ地であるため、当然作りはヤワになりますが、「かぶる」という帽子本来の役割から考えれば、こちらの方が遥かに快適であるといえましょう。保存性という点で、やたらとニット帽にこだわるコレクターさんも少なからずいますが、きちんとした環境で保存できれば、メッシュ帽でも充分綺麗な状態で長期保存に耐えられますので、ことさらニット帽にこだわるのは考えものです。

 なお、選手仕様の帽子にも「冬帽」と「夏帽」とがあるのですが、こちらはあくまでも「機能的な部分」でだけ考えて作られておりますので、素材から作りから、市販帽子とは全く異なるものとなっており、特に夏用のメッシュ帽は、パッと見た限りでは、普通のニット帽と見分けがつきません。



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