1ねん1くみ
ザリガニって、エビ? カニ?
PTAルーム
毎年、夏になると寄せられる「カニ?エビ?」の質問ですが、そもそも、彼らの名前に「カニ」がついていることが、子どもたちにとっては大きな混乱の原因になっているのではないか・・・と思います。
エビ、カニ、ヤドカリといった、私たちになじみ深い生物は、甲殻類中でも「十脚目」と呼ばれるグループに分類されており、彼らを区分する最も大きな要素の1つが「尾(腹部)」の形状です。一般的イメージされるように、腹部が後方へまっすぐ伸びているグループを長尾類(根鰓下目、抱卵下目)といい、これがエビの仲間になります。一方、この部分がない(頭胸甲の内側に織り込まれている)グループが短尾類(短尾下目)というカニの仲間になり、同じく腹部の形状が種によって大きく変化するグループを異尾類(異尾下目)というヤドカリの仲間に分けて行きます。
このように、彼らのグループは基本的に「パッと見た姿形の印象」でもって見分けることができますから、カニの姿よりもエビの姿に近いザリガニは、エビの仲間だということができますが、これらのグループを、すべてのこの方式で見分けようとすると、とんでもない大失敗を犯すことがあります。その最たるものが。ヤドカリ類の扱いではないでしょうか?
ヤドカリというと、巻貝を背負って砂浜を歩く可愛いカニを思い出しますが、あのように貝を背負う種類は、ヤドカリ類全体からみると、実のところさほど多くはありません。背負うどころか、貝と無縁のまま生涯を終える種類も数多くいますし、形状から見ても、ヤドカリとは似ても似つかぬものが普通にいるものです。
その典型といえば、ご存知の方も多いと思いますが「タラバガニ」ですね! タラバガニは、やはり「カニ」の名前がついていて、限りなくカニに似ていますが、実は立派な「ヤドカリの仲間」です。もし、機会があったら、じっくりと観察してみるとわかるのですが、タラバガニの腹部は、カニと異なり、曲がった形で収納されているほか、これまたよく食卓に上るズワイガニと比べて、ハサミ脚以外の脚が3対(合計4対8本)しかありません。食卓に上がるカニの中でも、合計5対10本あるズワイガニ、ケガニ、サワガニ、モクズガニはカニの仲間、4対8本しかないタラバガニ、ハナサキガニ、アブラガニなどはヤドカリの仲間だ・・・ということがわかります。せっかくカニを買って来た晩には、じっくりと茹でたカニを観察し、このような豆知識を楽しみながら夕食を囲むのも、もしかしたら楽しいことかも知れませんね。