猫に小判
〜 EF65 539号機(高崎機関区) 〜
(総武快速線 西船橋-船橋 にて)
今日のアポイントは、船橋! 「約束した時間までにはまだ少し余裕がある。そういえば、下りの貨物が間に合う時間だな。せっかくだから、ついでに一丁、撮ってみるか・・・」なんて、カッコいいことを言ってみるために、なぜか60分も、家を「早発」してしまう私は、やっぱり小市民なのであります(笑)。今日のアポイントが船橋であると決まった段階で、最初から予定に組み込んでおいたんですけど・・・ね。
少し厳しい陽射しにヒーヒー言いながら、そんな調子でS字に来ると、のんびりとカメラを構えます。ふと気がつけば、快速線も緩行線も、行き交う車輌は光をキラキラ反射させる銀色ばかり・・・。おまけにガード上を通過する京成電車まで、銀色のボディーが光を跳ね返します。カッコいいといえばカッコいいのかも知れませんが、ブドウ色2号で育った中年オヤジにとって、この色は、心のどこかに小さい拒絶反応が起こってしまうのでありました。
そんなことをぼんやりと考えているうちに、猛スピードで成田エクスプレスが駆け抜けたその道を、のんびりとゴロゴロと流してきたのが、見慣れたEF655P、少々くたびれた539号機でありました。一応、自分が現役だったころの記憶を共有できるカマです。共有できるといっても、決して主目的だったカマではなく、狙いのゴハチ荷レが通過する前に通るような普通貨物の牽引機・・・。いわば、カメラテスト用とでもいうべき「添え物」程度のカマでしたが。考えてみれば、PFにブルトレ仕業を追われてからというもの、すでに当時から、どことなく疲れたイメージはあったようにも思い出されます。そんなカマが、少し申し訳なさそうに、目の前を通過して行くのも、不思議な感覚でありました。復帰したばかりのカマ屋にとっては、更新色のPFの方が、よっぽど新鮮に見えていたのです。ま、いいか・・・。
そんな感じでカメラをしまい、その後、予定通りの取材をこなして、我が家へと戻ります。そして、何気なくネットを見ていて、思わず仰天! このカマが千葉にやってきたことが、どのサイトでも大変な話題になっているではありませんか! ナニ? 超有名機だったの? 大当たりだったワケ・・・?
やったぁ!とも、ラッキーだった!とも思わず、当たり前のようにカメラに収めてきた私って、一体何だったのでしょうか? ホント、同業者がいないところでの撮影でよかった(苦笑)。カマ屋稼業の「今」を知らない中年オヤジにとって、この出会いは、まさしく「猫に小判」だったのでありましょう。「あのカマが、高崎のエースとは・・・ねぇ」 それでもやっぱり、どこか納得の行かない、猫頭の中年オヤジなのでありました。
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