30年後のチャーム・ポイント
〜 EF65 515号機(高崎機関区) 〜



(成田線 酒々井-成田 にて)

ネットであちこち見ていて、実は今、515号機が人気機であることを知りました。ロクゴで最後の「F」仕様だから・・・だとか。密着装備のついた連結器と、その周りの複雑な栓類がカッコいい、栄光の姿を彷彿とさせる力強さを感じると、それはもう、手放しの褒めようです。でも、昔のカマ屋ですらほとんど記憶がない、EF65Fの華々しい活躍・・・。後を追うように登場したPFと、単機で重量貨物も楽々こなすEF66の登場・・・。歴史の皮肉は、彼らに「印象」を与えるチャンスすら用意してはくれなかったのです。持ち前の能力を発揮する間もなく追いやられた「普通貨物機」への道・・・。栄光といっても、ピンと来ようがありません。ゴハチを追っていたあのころですら、EF65Fは、ただのロクゴと同じ扱いでありました。F型機だからこそ、ブルトレ仕業に入る運用もなく、同じ特急色を身にまとっているだけ、余計に哀れに映りました。「クソッ! このホース周りが本当に邪魔でよぉ」・・・たまたま見学で訪れた東海道線の某地方機関区で、普通貨物の運用に入っていたF型機の検査をしていた区員の吐き捨てるような愚痴が、今でも思い出されます。EF66のようなスター性もなければ、EF15のような存在感もない、中途半端なカマであったEF65F・・・。温かい目で見つめるファンすらも、このカマに向ける眼差しは決して温かいものではありませんでした。東海道筋のEF60あたりを追っていたカマ屋からすれば、むしろ「目の敵」であったかも知れません。そのF型機の、たった1輌の生き残りが、こんなにも人気になるとは・・・。
相変わらず賑やかな連結器周りを見せながら、今日も「フツーの仕業」に精を出す特別機の姿。何だか、最後の最後になって、ちょっと応援してやりたくなってしまうのが不思議です。「判官びいき」は、日本人の血なのかも知れません。

 


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