日進月歩
〜 EF65 1034号機(高崎機関区) 〜



(武蔵野線 西船橋 にて)

その日は、たまたま別ジャンルの取材に出掛けるため、西船橋駅の武蔵野線ホームに立っていました。カバンの中には、その取材で使うデジカメが入っていました。その時、浦和方から現れたのが、PFの牽くタンカーの姿・・・。閉塞の関係からでしょうか、とにかくゆっくり、ゆっくりとこちらに近づいてきます。
鉄道写真は、ずっと銀塩の一眼レフを使っていました。もっといえば、キヤノンの一眼レフに、フィルムはトライXかエクタクロームしか使いませんでした。いくらデジカメ隆盛の現代だといっても、カマはフィルムに「刻みつける」ものであり、一瞬の時間の煌めきを切り取って「焼き込む」ものだと強く思っていたのです。ですから、カバンの中にカメラがあるのを知りながら、最初は撮る気にならないでいたのです。でも、あまりにゆっくりなカマのスピード・・・。この時間が、私に、カバンの中のデジカメを取り出させました。そして液晶を眺め、シャッター・オン! カマは、さらにゆっくりと、飛び乗れば余裕で飛び乗れそうな自転車並みの速度で、ボギー台車独特のジョイント音と、空タキならではのガタガタ音を奏でながら、ホームを通り抜けて行きます。また、駅撮りをやっちまった・・・。
  帰宅して、データを開いてみると、いかにも今風な、デジタルのドライな写真ができあがっています。銀塩一眼レフのレンズなら、とても高くて手が出せない超望遠の世界が、こんな簡単に切り取れるなんて・・・。やっぱり、いつまでも銀塩にこだわりたいと思いつつ、でも、これこそが「現代」のカマ屋なのかも知れない・・・と、不思議な納得感も大きいのでありました。使い始めれば、やっぱりデジタルなのか・・・? 撮る方も撮られる方も、そして、その間で使われるものも、すべて、時間という壮大な流れの中で変わり続けているのです。

 


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