栄耀栄華の夢のあと
〜 EF66 101号機(吹田機関区) 〜



(京葉線 蘇我 にて)

とりあえずカマ屋稼業に復帰しては見たものの、復帰にあたって偉そうな約束事を自らに課してはみたものの、そうそうポイントを知っているわけでもなく、スジやカマ繰りがわかるわけでもなく、何をしたらよいのやら・・・。一応玄関は出たものの、3回目にして、早くも行く場所がなくなってしまうのは、悲しいことでありました。「とりあえず、蘇我あたりにでも繰り出してみるか。あそこなら、適当なポイントも見つかるだろうし・・・」
あのころにはホームの「ホ」の字すらなかった幕張本郷で京成から乗り換え、黄色い電車・・・ならぬ「黄色い帯」の電車でトコトコ千葉へ・・・。昔と変わらないスカ色に揺られて、あのころ、ハチマルのタンカーをバルブした蘇我のホームに降り立ったのであります。仕切柵が間に通った以外は、昔とあまり変わってないぞ・・・。ホッとひと息、さて、駅を降りてロケハンでもしようとホームを歩き始めた時、あのころは川鉄専用線が伸びていた京葉線の側線の遥か向こうから、見慣れないカマのヘッドライトが・・・。自分の中で眠りを醒ました「鉄」魂が身体中を駆け抜け、無意識にカメラを構えます。駅撮りはしないつもりだったのに・・・。
  甲高いブロア音を響かせて滑り込んできたのは、見たこともないカマ。ん? EF66? え? あのロクロク・・・? 私たち昭和世代のカマ屋たちにとって「ロクロク」といえば、史上最強のスーパーロコ、東海道本線、山陽本線という日本を代表する大幹線で、「フレートライナー」そして「とびうお」と、超重量・超高速の特急貨物だけを牽き続けたスーパー・エースなのでありました。野球でいえば、メジャーリーグのオールスターでファン投票1位に輝くような、そんなカマなのであります。そして、そんなバリバリの投手が、地方のノンプロの球場に現れた・・・。そんな驚きに等しいほど、強烈な驚きが我が身を覆いました。しかも、色といい形といい、見たこともないヘンなロクロクが・・・。とりあえずシャッターを切り、でも呆然と、そのスジを見送りました。
「なんだよ、原色来ねぇなぁ。せめて、初期型ならいいんだけどなぁ・・・」
  ホームでウロウロしていた高校生くらいのファンたちが、カマを見ながら喋っているのが聞こえました。原色? 初期型??
  帰宅して、ネットで調べて、ロクロクには平成に入ってから生まれた同型式の増産機があること。それは、デザインもカラーリングも大きく異なっていること。そして、今や「史上最強」の称号は奪い取られ、中規模幹線クラスはもちろんのこと、運用によっては駅入換までさせられていることを知りました。そして、廃車も・・・。時代は、流れ過ぎている・・・。厳しい現実が、また一つ、突きつけられました。

 


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