あぁ、上野駅
〜 信越本線のEF62 〜



(上野にて)


 ロクニといえば信越本線、信越本線といえばロクニ・・・。客レだろうとカモレだろうと、高崎から先の信州路は、ロクニの独壇場でありました。上野口にやってくる客スジも、定期スジだろうが臨スジだろうが、長野方面からのスジの頭には、常にロクニの姿があったのです。わかりやすいといえばわかりやすいのですが、様々なカマが入る意外性を持った上越スジと比較すると、若干面白味に欠けるのも間違いないことでした。
 この日も、小諸からの12系団臨が入っていましたが、最初から頭がロクニだとわかりきっていますから、イマイチ乗り気になれません。万が一にでも高崎でカマ換えがあるかも知れないという期待もあるのですが、そんな宝くじのような低確率のために、遠征するだけの気合いも入りませんでした。
「ま、上野で待ってようぜ。もし、カマがロクニじゃなかったら、鴬谷か尾久客の手前で引き上げを撮ればいい・・・」
そんな話をしつつ、上野駅の地平ホームで待っていると、鴬谷方のトンネルから顔を出してきたのは、やっぱり「信越の主」でありました。隣のホームでは、山形行きの特急「やまばと」が発車を待っています。いつでも見れるトッキュウデンシャと、いつでも見れるキカンシャの「並び」が、目の前に実現しました。仲間内から、なんともいえない溜息が漏れます。
「一応、撮っとくかな。カマじゃなくて、ホームの写真・・・。こいつらより先に、ホームがなくなるもんなぁ・・・」
新幹線開業の直前、上野駅地平ホームが、今よりももっと賑やかだったころ、今だったら大ニュースになりそうな「並び」を、ファンたちは溜息混じりで眺めていたのです。色々な意味で、昔の上野駅は、もっともっと賑やかで、もっともっと贅沢でありました。

 


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