ジャンル:飼育
ザリガニの餌としてのレンコン、どう評価すべき?


  お尋ねのメール内容    Tさん(茨城県)ほか多数
 ザリガニ飼育2年目の者です。主にゴーストとフロリダブルーを飼育中で、レンコンの産地である茨城県に住んでいる人間です。今日は、そのレンコンについて質問したいと思います。
 最近、ネット上で、ザリガニの餌の1つとして、このレンコンの話題がものすごく多く出回っています。私は、子どものころから、家の周りにいくらでもあるレンコン畑(レンコン田)でアメリカザリガニを採ってきました。主に夏が一番よく釣れますが、真冬以外なら、探そうと思えば探せるというのが実感です。ちなみに、レンコン農家の方は、ほとんどの人がアメリカザリガニを敵視していて、釣ってもいいかと聞くと、だいたいいつも許してくれます。「いっぱい釣って持って返ってくれ」と言われます。理由は、レンコンを食べてしまうからだそうです。ただ、今、ちょっと不思議に思っているのは、私自身、ザリガニがレンコンを食べているところを一度も見ていません。農家の人が嫌っているのはずっと前から知っていましたが、自分の中で「餌」と正確に認知したのは、最近のネット上でした。佐倉ザリガニ研究所のザリガニ餌図鑑にも、レンコンは載っていませんので、そんなに大きな意味がある餌だとも思っていませんでした。
 ところが最近、ネット上でそういう話題が出るようになって「ああ、確かに餌にもなるんだ」程度に思いながら見ていましたら、そこに強烈な否定意見も出てくるようになり、最後は互いの人格否定みたいな感じの大喧嘩になってしまって、ビックリしています。それに、賛成派と反対派も加わって、読んでいる方も、なんだか疲れた気分になってしまいました。反対派の方などは、ブログ上で実際に科学的検証をされた上で反論していますし、私自身も、ザリガニがレンコン畑でレンコンを食べている姿を見ていない1人なのですが、その割には、その方の人格否定みたいな部分ばかりが気になってしまって、どうしてもストンと納得できないのです。YouTubeでも、レンコンの餌の紹介ビデオが出てまして、その中では、すごい反応を見せていましたが、私の家の個体は、入れた翌朝に見たら、1/3くらい食べてくれていたものの、ビデオとは全然違う反応でした。入れた時には、ビデオみたいな反応はしてくれませんでした。
 その時「こんな時なら、佐倉ザリガニ研究所はどう説明するのかな?」って思いました。ビデオでは映像として残っているのでウソではないと思いますし、反対派の方は、科学的に実証しています。餌図鑑に載っていないので、たぶん佐倉ザリガニ研究所様は否定派だと思うのですが、結果はどっちが正解でも、なんとなく、私がきちんと納得できるような意見を出してくれると思ったのです。ぜひ、お考えをお聞かせ下さい。
お答えさせていただきます
 ご丁寧なメールをありがとうございます。ご質問が多く、リンクを貼り付けたメールも何件もあったので、そのブログやツイッター、YouTubeや2ちゃんねるなどを含め、そのやりとりは私もひと通り拝見させていただきましたよ。いやぁ、すごいすごい。お互いエキサイトしてますよねぇ(笑)。特に、このブロガーさんへの風当たりや嫌われっぷりはハンパないようで・・・。
 ただ、ザリ界における嫌われっぷりでいえば、このブロガーさんなど私の足元にも及びませんねぇ(苦笑)。バカだアホだインチキだ詐欺師だ・・・と、何せ私は2ちゃんねるでのボロクソ言われ歴10年以上の大ベテランですから。「錯乱ザリガニ研究所のジャリ川」などという、それはそれは素晴らしいお名前も頂戴しているくらいですし(笑)。私自身としては、あくまでザリガニに対する”真実”だけを追究し、一応それなりに確証の持てた事実だけを端的に申し上げている”つもり”なんですが、ザリ関係の旧友などに言わせれば「お前の論戦方法は、相手の首を真綿でキリキリ締め上げるような、タチの悪い詰将棋みたいなものだから、そりゃあ相手だってオマエのことを嫌いになるはずだよ」・・・だそうで。ウーン、きっと私も、人格面で大いに問題があるのでしょう。実際に直接お会いし、お話をしていただければ、私のことも少しはわかってくれるとは思うのですが、まぁ、何かにつけて不徳な男・・・ということで、言葉や配慮の足りない点につきましては、どうかお許し下さいませ。
 実は今回の問題については、Tさん以外にとても多くの方からメールをいただいているんです。その中には、単純に「どちらの意見を支持するか?」というものだけではなく、「ブロガーさんにずっと批判されている○○○さんと○○さんと○○さんは、本当にマジメで素晴らしい人なんです。ザリガニのことだって本当に大切に考えているし、真剣に取り組んでいる人です。あそこまで言われていいはずはありません。どうか砂川様からビシッと言ってもらって、助けてあげて下さい」なんて、ほとんど直訴状みたいなメールも来ていて、逆にこっちがビックリ・・・(笑)。いやぁ、そんなこと言われても、佐倉ザリガニ研究所は裁判所でも警察でも仲裁機関でもないし、そもそも俺自身がネット上じゃ嫌われ者なんだから、ここで出しゃばったところで逆に炎上するだけのになぁ・・・なんて思ったり、そうやってお仲間から真剣に応援依頼がくるなんて、それだけこの方々は人徳があるんだろうなぁ・・・なんて、そんな賛成派の○○さんたちのことが、ちょっと羨ましく思えちゃったり(苦笑)。
 ま、そんな私自身のダメっぷりはともかく、レンコンの件について考えてみることにしましょう。大変申し訳ないのですが、なぜか今回だけはいつもよりも余計に、Tさんはもちろん、賛成派の○○さんたちや、その反対側にいらっしゃるブロガーさんなどの方々の、どちらの肩も持たず、私の信念に基づき、私が思うことを思った通りに述べさせていただくことをお許し下さい。そして、この内容に対するご不満については、どうぞ2ちゃんねるの方へお書き下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。きっと、あそこであれば砂川に対する否定に同調して下さる方がたくさんいらっしゃるはずですので(笑)。
 まず、レンコンという根菜が、ザリガニの餌として適切であるかどうか・・・という部分ですが、私個人としては、基本的に「毒でもなければ薬でもない」程度の認識でおります。餌図鑑に載せていないのも、別に”否定”というワケではありません。
 レンコンの主成分はデンプンであり、これ自体はザリにとって特別に多く必要とされるものではありません(むしろ、極端な単一過剰供給は避けた方がよいように思います)。一方、レンコンならではの栄養分として、ムチンやビタミンCなどもありますが、これらがザリに対して、特異な効果効能をもたらしているという研究成果やデータは存在していません。YouTubeの中では、出演者の方が、レンコンに含まれているカルシウム分について、その有用性をお話をされていらっしゃいましたが、ちょっと気になって文科省発行の日本食品標準成分表でチェックしてみると、レンコンのカルシウム含有量は、可食部100gあたり20mg(ちなみに、手っ取り早くカルシウム分を補給させるために、昔からベテランキーパーたちがごくごく短期間だけ限定的に使用する干しヒジキのカルシウム含有量は、可食部100gあたり1000mgです)となっていますから、これでもってレンコン使用におけるカルシウム分の有用性を語るには、さすがにこれではちょっと押しが弱いかなぁ・・・と。ただ、この部分に関しては、あとでもう1回、本当に大切な部分で触れますので、ちょっとでいいですから記憶の片隅に置いておいて下さいね。あ、ちなみにそういう点でいうと、カルシウム分補給のためにヒジキの使用は悪くありません。ただ、他の成分との兼ね合いの関係から、使用はあくまで限定的に(1〜2回程度)・・・ですんでご注意を。
 また、地元民のTさんであれば絶対に目にしていると思いますが、レンコンは水の外に出してブン投げたままにしておくと、表面がだんだん黒褐色になってきますよね? あの正体は、ポリフェノール色素なんです。「色素」という言葉を聞くと、特に体色系に興味を持つキーパーあたりは俄然色めき立つかも知れませんが、金魚などであればともかく、残念ながらそれがザリの体色改良に直接かつ特異的な影響を及ぼすか・・・というと、それもちょっと微妙です。つまり、こうした点において、レンコン自体に「絶対にこれでなければならない」という要素を見つけ出すのは困難であり、かといって、特に「これがちょっとでも含まれているとマズいんだよなぁ」的な物も含まれていないことから、私としてはとりあえず「毒でも薬でもない」という表現を使わせていただいた次第です。
 もし今回、仮に○○さんたちが「レンコンは素晴らしい餌だから単用すべし。ザリ飼育はこれだけで充分」などと主張していたとすれば、それこそ対立しているブロガーさん以上に私自身が「ハァ?何言っちゃってんの?」とか騒いでいたでしょうし、前述した栄養素以外にも様々な項目を明示した上で「そこまで言うならこれを立証してみろ!」みたいなことを発言していたかも知れません。実際、ありもしない効能やこじつけにもならない稚拙な理論武装で構成された謳い文句で販売されているザリ関連商品だって、少なからず存在していますし・・・ね。
 でも今回、どなたの、どの記事などを拝見してみても、そのような「単用すべし」というご意思は読み取れませんでしたし、むしろ「多彩にあるザリガニ向け飼料の1つとして、このレンコンについての可能性を模索する」というご意思のようにしか、私には受け取れませんでした。しかも、それぞれの方々が、それぞれの状況において個体であったり飼育水質であったりといった、様々なマイナス影響発生要因についてもきちんと考えを巡らせた上で取り組んでいらっしゃいます。私が申し上げるには傲慢過ぎるかも知れませんが、こうした意識というのは、ザリ飼育に取り組む上で、本当に大切なことであり、そして素晴らしいものだと思うのです。そして、そうした姿勢に関しては、同じザリガニを愛する人間として、心から敬意を表し、拍手を差し上げることこそあれ、軽々に批判をしたり軽蔑したりすべきものでは絶対にありません。これは、ブロガーさんが私に対してどう評価を与えようとも、私自身の意志として、断固ここで宣言させていただきます。
 ただ、○○さんたちが各々の記事上などでお示しになっている内容について、ただ1つだけ反論というか、同意できない部分があるとすれば、それは私が拝見する限り、すべてにおいてその対象の善し悪しを「嗜好性」という1点のみでしか見ていない・・・ということです。つまり「よい餌か悪い餌かの判断基準を、個体の食い付きの善し悪しでしか判断していない」ということです。
 これは別に○○さんたちに限ったことでなく、ザリキーパー全体、ひいては生き物飼育に熱中する人全体に総じて見られる傾向だと思いますし、その生き物を”飼う”上で、その生き物が自分の与えた餌を一生懸命食べている光景を目にすることが、飼育の大きな醍醐味の1つであることも間違いないと思います。ですから、飼う側にとって”嗜好性”という問題が大きな要素であるという、そのこと自体は否定しません。しかし、それは確かに1つの重要なポイントであったとしても、その個体の生命を預かる立場の人間として、その個体に対して絶対に忘れてはならないことは「その個体を少しでも健康に、少しでも長生きさせる」ということであるはずです。だとすれば、嗜好性がその餌をチョイスするための第一要素になってはならないはずなのです。
 ザリに関する勉強会や講演会などに講師として呼ばれた時、私はよく「一番いい餌は何ですか?」と参加者の方から問われれることがあります。その時「あなたは、ザリがどういうふうにしたら、それを一番いい餌だと思う?」と反問すると、たいてい「すぐに食べてくれる餌です」という答えが返ってきます。その際には、こちらもすかさず「じゃあ、教えてあげよう。マルキユーさんで作っている寄せ餌だよ。上州屋さんとかで売ってるぜ!」と答えます(ね!俺って性格悪いでしょ・・・苦笑)。そうすると、相手はほぼ100%間違いなく「???」となりますから、そこから話を深く掘り下げて行くワケですね。まぁ、このやり取りは、ある意味「参加者の方に嗜好性について興味を持っていただくための”釣り餌”」なのです。
 ザリを飼う時の餌として、釣り具屋で売っている釣り餌を使う・・・なんて言い出したら、それこそ「お前はバカか?そんな餌を与え続けて、ザリを殺す気が?」と言われ、軽蔑されるに違いありません。しかし、どの餌よりも真剣に、あらゆる科学的検証と対象生物を用いた実験を重ねた上で「嗜好性」を極限まで追求した製品を作っているのは、釣り餌メーカーなのです。マルキユーさんには「ザリゲッチュ」というザリ専用の釣り餌があり、そうした製品にまつわるご縁もあって、実際に餌の担当者さんとも知り合いになり、本当にいろいろなお話を直接お伺いすることができました(私自身はそれほど役に立っているとは思えないのですが、マルキユーさんには本当によくしていただいており、今でも毎年、裏磐梯における「Zari-1グランプリ/ウチダザリガニ釣り世界選手権」に、とても豪華な優勝盾を提供して下さっております)。あのザリゲッチュという製品1つを開発するのに、どれだけの生物学的知見と、気の遠くなるような反復検証が繰り返されたか・・・ということは、たぶん、みなさんの想像を遥かに越えるものであるはずです。
 でも、Tさんやこれをお読みの方々の中で、実際にザリゲッチュを餌として与えていらっしゃる方はいますか?ほぼ間違いなくいらっしゃらないはずですよね? もしかしたら「健康を害するような強烈な保存料とかが入っているかも知れないから」という理由を挙げられるかも知れませんが、それはただ単に「かも知れない」というイメージだけで、実際には、双方にその差はありません(これは後ほど細かく触れさせていただきます)。なのに、多くのみなさんが愛するザリに与える餌として、ザリゲッチュを用いることに違和感を感じるはずです。そこがこの話のキモなのです。その違和感に気づいていただくために、あえて、こうした極端な例を挙げさせていただいているのです。
 みなさんが今回の極端な例に違和感を感じた通り、本来、飼育にあたって一番大切にすべき餌の要件とは「嗜好性」ではありません。まぁ「健康」とまで言ってしまうとオーバーですが、とにかく、「その個体が、少しでも元気で長生きすること」です。だとすれば、本来、目を向けるべきは、その餌の基本的な栄養や状況などであり、嗜好性などというのは、餌について本来の善し悪しを語る場合、二の次三の次・・・ということでも構わないということになります。嗜好性自体の向上という問題は、キーパーによる与え方によっても、いくらでも工夫が可能だからです。
 広く飼育用の餌を見回してみますと、(特に最近流行のオリジナル餌を含めて)その餌の善し悪しをアピールする根拠が、ただ単に「餌喰いが抜群」というレベルでしか語られていないものが多く見受けられます。そして、それを買って使う側の方も、それでしか判定できていない状況があります。ブロガーさんはこの記事の中で、オリジナル餌に対しても批判的な発言をされていらっしゃいますが、(すべてのオリジナル餌がそうでないことは間違いないとして)批判の根拠には違いがあるものの、それには同意できるかなぁ・・・というのが実感ですし、その責任はそうした餌の作り手だけでなく、キーパー側の方にも大いにあるものだと考えています。まぁ、私の場合はブロガーさんと違って、オリジナル餌だけではなく、大手メーカーの餌も含めて、そうした懸念はあると考えていますが(苦笑)。
 「少しでもいい餌を与えたい」という想いや、そうした餌を探すために努力を続けたり様々な可能性を模索するということは、本当に素晴らしいことだと思います。ただ、その際、このように餌という問題の善し悪しを嗜好性でしか考えない見方というのは、あまり賛成できません。あくまで栄養や効能ベースで選定すべきであり、それが充分に検証され、決まった段階で、最終的に「じゃあ、こうやって嗜好性を上げてみる?」的なアプローチであるべきではないかと思います。○○さんたちの熱意やご努力に対しては最大限の敬意を払った上で、ぜひ、こうした部分に関しても目を向けていただけたら・・・と思えてなりません。
 さて、そうなるともう一方のブロガーさんに対してはどうなのよ・・・ということになるのですが、これはブロガーさんご本人に対してのコメントという意味ではなく、あのブログをお読みになった多くのザリキーパーの方々に対するコメントとして申し上げさせていただきます。これからの内容は、ブロガーさんの記事を拝見した私が心に抱いた”感想”であり”評論”に過ぎません。ブロガーさんご本人がどう自分自身を改善させるかは、あくまでご本人が決め、実践して行けばいいだけの話です。ご自分で「佐倉の傲慢野郎が脇から何をどう知った口をホザこうと、俺が絶対100%正しいんだ」と思えば、それでいいでしょうし、もしそのお考えが本当の”正解”であるなら、別にわざわざアピールされずとも、多くの方が”真実でない戯れ言を言っている”このホームページを見限り、ブロガーさんの運営するブログの方を支持するだけの話ですから。元よりネット上では嫌われ者の私ですので、今さら毛嫌いされる方が1人や2人増えたところで大差ないですし(苦笑)。
 Tさんは「科学的検証をされた上で反対されている」とおっしゃっていて、私も実際にその記事を拝見しましたが、あの記事のいったいどこに”科学的”な検証があるのでしょう? もっといえば、どこに”検証”があるのでしょうか? ブロガーさんにも熱意はございましょうから、その点に関しては敬意を払いますが、私から見れば、あれはただ単に「適当にいろんな素材を入れてみた」というだけの話です。正直申しまして、”比較”にすらなっていません。
 ブロガーさんは、その記事中において「レンコンだけを与えるのはお粗末」だと断言され、YouTubeの方の検証手法をバッサリと否定されていらっしゃいますが、もし検証手法の可否について言わせてもらうなら、実は、ブロガーさんのとられている手法の方が、遥かに非科学的であり、お粗末な検証方法であることに気がつかねばなりません。確かに、YouTubeにおいて、実際に与えて見せているのがレンコンという素材1つのみであり、その他の”対象区”について言及がない点に関しては「そりゃあおかしいよね」と言われても仕方ない部分はありましょう。しかし、その手法を批判し、結果を否定するために行なった検証手法が、YouTubeの方よりもはるかにお粗末な手法では、もはやどうしようもないのです。
 たとえば、小さい幼児の座っている前にケーキとジュースを置き「ねぇ、どっちが欲しい?」と言って、仮にその子がケーキを手にしたとしましょう。それをもって「幼児というものはケーキを好むことが科学的に立証された」と言ったとしたら、一般的にそれは受けれられるでしょうか? 答えは100%ノーです。実は、それと同じことなのです。
 本来、比較対象のための実験を行なう際、一番大切であり不可避なことは「その実験対象及びその素材が、他の何からも干渉されない状態を作る」ということです。つまり「どっちを取るか?」となった段階で、そもそもその対象素材同士が干渉し合ってしまうことになるワケですから、その実験自体が成立しないことになるのです。ですから、このような実験を行なう場合、ブロガーさんのように「同時にドボン」などということは、手法的に100%あり得ません。「同サイズ」という言及もありますが、それが重さなのか表面積なのかも記載がありませんから、そもそもその条件すら、公平性を欠いているのです。
 一般的に、もしそうした比較を行ないたいのであれば(というか、もし私がブロガーさんだったとして、”科学的”な手法でもって、このYouTubeの方をやっつけたいと思うのなら)、少なくとも同時にドボンなどというお粗末な手法は絶対に採用しません。むしろ、手法的にはYouTubeの方に近い方法を採用することでしょう。厳密には、もっと細かいルールがありますので、本来ならそれをすべてクリアしないといけないのですが、まぁとりあえず”素人実験”だとしても、2つの素材について比較を行ないたいのであれば、必要最低限、同じサイズの個体を2匹用意し、匂いの発生という点を重視するのであれば、同じ表面積の対象素材をそれぞれ用意します。さらには、環境、水量、水深、水温、水質、光量、時間などをすべて揃えた同サイズの水槽を2つ用意し、もっといえば投餌前の絶食期間もキチンと設定し、実験を行なう前に明示しておきます。その上で、水槽内の同じ場所に個体がいる状態(たとえば奥の角に塩ビ管などをセットし、そこに個体が同じ向きで入り込んでいる状態)を作り、そこまで条件を揃えた上で、その場所から両者等しく離れた場所にそれぞれの比較対象となる餌を投入します。そこで、投入から摂食までの時間を計測するのです。しかも、もし科学的なデータだとするなら、最低でも数百回の反復を行なった上で平均値を出さねばなりませんし、素人実験でも、やはり数十回はそれを繰り返した上で、その”平均値”での比較・・・ということになります。これこそが、当然の”検証”なのです。
 このブロガーさんがザリガニのことをよく知り、日ごろからよく見ているとおっしゃるのであれば、餌を投入してから個体が実際にそれを摂食するまでの間に、ザリガニが必ず一定の決まった動きを取ることも理解していらっしゃるはずです。そして、YouTubeの方の実験映像に対し「これには、ザリガニが本来持っている”対動体反応”が確実に影響しているではないか!」と突っ込まねばなりません。そして、素材を投入した時間を0秒とし、個体が第1触角を動かすまでの時間を何秒、第2触角で対象物を探し始めるまでの時間を何秒、動き始めるまでが何秒、対象物をつかんで摂食するまでが何秒・・・というように、行動を細かく刻んで平均値を出して行くことで、さらにその対象物に対する嗜好性を分析して行くことができるに違いありません。もし、○○さんたちの行動を「ステマだ」と断罪し、その効果を”怪しい”と斬り捨てるのであれば、最低でもこれくらいのデータを取った上で、数値上の形として○○さんたちに突きつける以外に方法はないのではないでしょうか? 私なら、そうします。
 次に私が問題視しているのは、仮にレンコンがダメだと仮定した際の”対象区”の設定方法と、その基準のいい加減さです。ブロガーさんは、レンコンがダメであるとした際、その比較対象として、カボチャ、ゴボウ、鶏ササミ(鶏爺ではありません・・・苦笑)、そして人工飼料を選びましたが、そもそも素材ごとの比較をしないといけない段階で、複数の素材によって構成されている人工飼料を対象に入れてしまっては何の意味がありません。もし「水槽内で喰うかどうかを”完成系”で試しているのだから」とおっしゃるのであれば、レンコンの主成分であるデンプンが、この人工飼料に一切含まれていないことをまず証明しないとならないでしょう。もし相応分以上のデンプンがこの餌に含まれていたとしたら、その段階で比較対象になり得ないのですし、そうした条件に合致した別の人工飼料を用意しなければならないのです。
 それに、カボチャ、ゴボウ、鶏ササミの各比較対象区についても、「なぜ、その素材が今回の検証で比較対象素材に選ばれているのか?」という、その基本的な根拠を、具体的な栄養成分とともに1品ずつ明示する必要があります。そもそも今回の検証は「いったいそれぞれの素材の中の、何を比較しようとしているのか?」という根元的な部分からして明示されていませんので、その指定もしようがないのが実情ですし、厳密には様々な栄養分で検討しないといけないのですが、仮に先ほど出たカルシウムを比較対象としたとすると「レンコンのカルシウム含有量は可食部100gあたり20mg、それに対しゴボウのカルシウム含有量は可食部100gあたり46mgと、ほぼ倍の量が含有されている」と明示した上で摂食までの各平均値を出し、その結果をもって「ザリガニにとって有用とされるカルシウム分を倍以上含むゴボウに対する反応の方が、レンコンよりも平均して○.○秒早かった。これはすなわち、それだけザリガニがこの素材のカルシウム分に対する高い評価をしていると思われる。従って、カルシウム分の補給という観点では、ことゴボウに対し、レンコンの有用性は否定されたと言ってよい」というくらいまで持って行かないとマズいでしょう。私自身としては、そこまで持って行ったこの内容すら「まだまだ攻め手としては説得力に欠くし、科学的とは言い切れないよなぁ」と思うくらいですし、この程度のレベルでも、恥ずかしくて○○さんたちに反論する勇気は湧きません。
 さらにカボチャに至っては、反応が同じだったにも関わらず”いい餌”として認定し、その根拠として「カロチンを豊富に含むため色揚げに効果がある」からとしています。これには正直、驚きました。カロチンと体色の関係で、少なくとも現時点において生物学的に解明されているのは「体色を大きく左右する色素胞は、カロチン(正式にはカロテノプロテイン)が不足した場合に機能不全を起こす」ということのみであり、「カロチンを過剰に摂取したことで、体色が望むような色に発色される」などという研究データは、世界中のどこにも存在していないのです。事実、(かなり大昔のことになりますが)サバ類の連続投与による体色改変(サバでアメザリを白くする事象)が初めて発表されたころ、我らJCCの仲間たちと相模川ふれあい科学館との実験によって、カロチン過剰投与区の個体については「有意の差はみられなかった(普通の体色以上に赤くなることはなかった)」という結果が出ており、それを当時の科学館の機関誌に掲載しました。
 つまり、ここでカボチャの有用性を語り、それでもって○○さんたちを批判するのであれば、まずその前に「カロチンの過剰供給によって、体色が有意に変化する」という、まるで当たり前のように語られている、そのこと自体を証明せねばなりませんし、それがない状態では、そもそもカボチャを「レンコンよりも有効な餌である」と言ってはならないのです。これは、私以外にも多くの方からご指摘を受けていらっしゃるようですので、たぶんブロガーさんご本人も充分に自覚されていると思いますが、この検証のみならず、ブロガーさんの主張には、そこかしこに、こうした「思い込み」が散見されます。こういうところも、せっかくの批判が、反感という形で帰ってきてしまう所以なのでしょう。
 そもそも比較にもなっていないことを踏まえた上で、とりあえず鶏ササミに対する反応のよさを挙げている点にも、疑問を呈ぜざるを得ません。それは、「レンコンに対して何が有効だったから、それが有意な差となって現れたのか?」ということが全然明示されていないからです。これでは「俺、なんだかわからねぇけど、生まれた時からカレーライスが好きなんだよ」という意見を以て「人間とは、カレーライスが好きな生き物である」と”科学的に”断じているようなものです。明示された比較対象がありませんので、やむを得ず先ほどと同じカルシウム分で比較してみますが、レンコンのカルシウム含有量は可食部100gあたり20mgなのに対し、鶏ササミは成鶏でも可食部100gあたり8mg、一般的によく流通している若鶏に至っては可食部100gあたり3mgしか含まれていません。カルシウム分だけで比較すれば、まさに”大惨敗”の状況です。それなのに、それだけいい反応を見せるのですから、その理由である”何か”を、きちんと示さなければ意味がないことでしょう。肝心のところで、いつも肝心な説明がなされていません。これで、いったい何を納得せよというのでしょうか?
 こうした実験手法の話をすると、中には「そんな本格的な実験は、学者が大学や研究所で行なうもので、俺たちみたいな素人にはできるはずがない」などと言い出す人が出てくるものですが、それはとんでもない勘違いです。現に昨年の日本甲殻類学会大会で、アメリカザリガニの餌粒に関する大きさの選好性に関する発表があり、非常に細かくデータが取られた素晴らしい発表でしたが、その実験をし、発表をされたのは、大学教授でもなければ大手メーカーの研究所員でもない、ただの高校生でした。ですから、その気にさえなれば、こんな実験など誰でもできるのです。
 また、記事中には「市販されていない餌にはリスクがある」とされていますが、その点に関しても疑問を禁じ得ません。もちろん、私自身も、一部のオリジナル餌に関しては重大な疑問を感じているものがございます。「お前、それで果たして”ザリガニの生態を考えて作った餌です”なんて堂々と言えるのか?」なんて餌もございます。ただ「じゃあ、市販の餌なら大丈夫なのか?」となると、そうではありません。つまり、いかにも冷静に、客観的に、そして科学的に話を進めているように見えながらも、一番肝心なところだけは、いつも「想像」だけで語っているのです。
 なぜ、こういうことが申せるかといえば、(信じていただけるかどうかは別として)私自身、仲間と一緒にあるメーカーの餌商品開発に最初から携わったこともあれば、誰もがその名を知る大手メーカーのザリガニ向け飼料の開発会議に、いわゆる”アドバイザー”としてお招きいただいたことが何度もあるからです。もちろん、かなりいい加減としか思えないオリジナル餌も含め、こうした餌を与えることによって、個体が死ぬことはありません。もし死んでしまうような事例が頻発すれば、それは大手メーカー製だろうがオリジナル餌であろうが、たちまち大問題になります。そんなことまでキーパーが気づかないはずはありません。ただ「死なない」という点では同じだとしても、果たして大手メーカーの”品質”に、オリジナル餌との確固たる差異があると断言できますでしょうか? 私からいわせれば、それはブロガーさんの”想像”であり”願望”でしかないのです。
 もちろん、大手メーカーの餌には、それなりに素晴らしい商品がたくさんございます。ただ、実際に様々な開発会議に加わらせていていただいて率直に思ったのは「やっぱりザリガニという生き物は、多くの方にとって”簡単に飼える”程度にしか思われていないのだ」ということであり、「結局は、コストの面からしか素材を選べないのだ」ということです。会議の席上で「この素材は効果があるので、これを取り入れるべきだ」と申し上げても、それがストレートに受け入れられる確率は半分程度です。「いやぁ、それはちょっとコストがかさむので、代わりにこっちを使うということでどうか?」という答えがいただければいい方で、すでに販売されている、ある魚種向けの餌に「この素材だけ足して、これとこれを入れ替えることで、ザリガニ向けの餌ということにしたいのだが」などという、我らからすればガッカリするような姿勢も少なくありません。それこそ”あの魚に比べたら、ザリはマジで虐げられてるよなぁ・・・”なんて思わされたことも、現実には決して少なくないのです。確かに、メーカーは慈善事業ではありませんから、厳密なコスト管理によって商品を開発するのが当然の姿勢ですが、相当の”妥協”でもって作られているものが多いのも実情なのです。保存料などといった添加物に関しても、仮にそれが人間向けの食料であったとすれば、100%クレームがつくくらいの量を当たり前のように添加している大手メーカーも存在しています(もちろん、個体がそれでもって障害を起こすレベルまでは入っていませんが)。それを”市販されている餌だから良質で安心”などというのは、イメージだけで語るにもホドがあります。もちろん、一般の方がメーカーの開発会議の様子を知ることなどできなくて当然ですが、せめて、裏側の成分表や原料素材構成くらいはチェックして然るべきであり、それを踏まえた上で個別に評価する方が、よっぽど”冷静”であり”科学的”なのではないでしょうか?
 あと、正直申しまして、シレッと他の知見を引用するのにもホドがあります。ブログの文中にある「稚ザリとアダルトは必要な栄養素が異なるため」というその知見は、いったいどこから仕入れたのでしょうか? なんか自慢臭くてイヤなのですが、この情報を日本で最初にアクアリスト向けに公開したのは、この私です。ある先生との話し合いの中から、その先生のご許可をいただき、そのデータと文献を確認した上で、その情報を初めてアクアリスト向けに公開させていただきました。それにも、応分の努力や人脈作りなどの苦労が必要で、当然ながらそれを経ての情報なのです。そうした部分であっても、自分にとってマイナスでないと思う内容に関しては、まるで自分の知見でもあるかのようにシレッと転記してしまう・・・。これは完全なルール違反です。もし「お前みたいな低レベルの人間の書いた本やホームページなど参考にしていない」とおっしゃるのであれば、代わりにその情報の元になった研究者の原典を明記すべきです。学術界においては、何かを引用する際の引用元明示は「基本のお約束」ですし、一般社会においても、他人の知見を流用する場合は、その当事者に一言挨拶をして承認を取り付けるか、ないしは学術界同様、引用先を明記するのがマナーではないでしょうか? そして、もし文中でのニュアンスと同じように「これは自ら導き出した知見である」とおっしゃるのであれば、当然、それに関する科学的な説明が必要となりますが、ここではそれにも触れられておりません。
 また、ブロガーさんは特にコメントなどの覧において、せっかくコメントを入れて下さった相手の方に対し、ある種の「経験の差」を持ち出していらっしゃいましたが、これに関しては、正直、とてももったいないことをしているなぁ・・・と感じました。なぜなら、この”経験値”ほど差がハッキリと見えやすく、しかし、これほど相手からの共感を得られないものはないからです。たとえば、このコメント上での論争に、ゲストの方にかわって、私が代打で入り、論戦をさせていただくとしましょう。そこで私はブロガーさんに対し、ブロガーさんとまったく同じ「経験の差」という手法を持ち出したとしましょう。それでは、さっそくやってみますので、ぜひ、Tさんもみなさんも、相手側であるブロガーさんのお立場になって、ブロガーさんの気持ちで続きをお読み下さい。
 「生き物は物心ついたころから飼っていますが、ザリガニの本気飼育歴は1988年の白ザリ発見からなので30年です。ザリガニ一本に絞って活動を始めたのは、ブルーマロン初輸入の時ですので1993年です。もし、サバを読んでいるとお疑いなら、1995年には私の飼育状況がアクアライフに取り上げられていますから、それからスタートということでも構いませんよ。飼育した種類は、もう数えきれません。ちなみに、マロンもレッドクロウもこの手で仔を採ってますし、今、話題のトゲザリなら、マーレーもスピニファーもとっくに飼育経験済みです。どれくらいの繁殖実績があるかなんて、数えたこともありません。まぁ、とりあえず一番一生懸命にやったヤビーだけで数えるなら、とりあえず、やった中の187腹分だけは繁殖記録を取ってありますから、仮に少なく見積もって1腹150匹として、採仔28050匹ですかね。あとはそれ以外、毎年10腹〜20腹くらいですけど、150匹×10腹×25年として、まぁ37500匹ってところにしときましょう。ザリガニの本はアクアリスト向けに2冊、児童向けに2冊書きました。雑誌には、もう、どれだけ原稿を出したかわかりません。アクアライフ、フィッシュマガジン、楽しい熱帯魚には全部出しました。テレビも、コメントだけの分まで含めれば、毎年最低でも4〜5本はオファーを受けてます。日本甲殻類学会とIAAに入ってます。入っているだけじゃなくて、原稿も書かせていただいて、両方とも受理されて学術機関誌に載りました。知り合いの日本人研究者は20人以上います。そのうち7人は、今すぐでも電話できます。海外の研究者とは、少なくとも30人以上、メールでやり取りできます。学術界がおイヤなら、観賞魚界でもいいです。裏事情まですぐ聞くことのできる、業界歴20年以上の業界関係者の携番が、この携帯には最低でも20人以上入ってます。アメザリのイレギュラー体色個体の棲息地を30ヶ所以上知ってます。ニチザリ青個体の棲息地も知ってます。ここ10年で、最低でも500ヶ所以上の棲息地に行ってます。標本調査で訪れた大学は10校以上です。標本調査ということなら、天皇陛下が直接お受け取りになられたという、日本に初めて来たメキシコ産ザリガニの標本を見つけるために、皇居の中に入ったこともあります。しかも、テレビなんかに出てくる皇居宮殿ではなく、天皇陛下の私的生活エリアの中にある生物学御研究所です。ニチザリの件では、宮内庁書陵部にも入れてます。来年は、海外での学会参加も予定してます。一応、ザッと見ただけでもこれだけの経験と知識と実績がありますけど、そちらさんはそのレベルで、私に何か意見できますか?」
 これで、果たしてブロガーさんはすべて自説を引っ込め、なおかつ心から私に対して敬意を払うでしょうか?答えは100%ノーです。みなさんも、これを読んでいて、砂川という人間のことが、なんだかすごくムカつきませんでしたか? 「何が天皇陛下だよ!関係ねぇじゃん!」「携番自慢か?オタクかテメェは!」「研究者の数だ?そんなもん、オマエの実績じゃねぇじゃん!」・・・と、反感はいくらでも出てきますでしょ?それが、当然の感情なのです。実際、これだけ長期間ザリに関するいろいろなことをやっていて、講演会なんかに呼ばれれば、とりあえず”先生”なんて言われちゃう私でも、ひとたび2ちゃんねるに行けば、その中の人からすれば、バカでありアホでありインチキであり詐欺師なのです。他人からの信頼を得る上で、経験などクソの役にも立ちません。逆に、それを何の役にも立たないものとして相手に接するからこそ、その人の信頼を得て、それが自分の栄養になるのだと確信しています。観賞魚界の人間だって学術界の人間だって、最初から人脈が築けていたワケではありませんし、馬鹿な男だからこそ、みなさんが力を貸して下さって、それがたまたま今の”人脈”という形になっているだけだと思います。
 私が今回のやり取りを拝見していて、ブロガーさんが犯した今回の最大の失敗は、何物にも代え難い、それはそれは大切な”宝”を、自らの手で汚し、失ったことだと思っています。そして、それこそが、ブロガーさんご本人がザリキーパーとして、まったく経験を持っていなかったという、何よりの証拠です。ブロガーさんにとって、その”宝”とは、レンコンという素材に着目した○○さんたちであり、コメントを下さった相手の方です。「自分の出した意見に対して、率直にご意見をいただける」ということが、自分自身を向上させる上で、どれだけありがたいことかということが、理解できていないのです。
 私などは、(そりゃあ元から態度がデカくて人相も性格も悪い部分がありますが)そんなありがたいことをして下さる方など、一緒に頑張ってきた仲間たちを除けば、ほとんどいません。ちょっと外に出れば、口では「先生、先生」などといわれ「いつも参考にしています」とか「ぜひ、詳しく教えて下さい」とか、うわべだけのテキトーな褒め言葉をいただき、プラスの面だけだったらいくらでも返ってきます。しかし、こちらが何か意見を提示したり、情報を発信して、それがイマイチ納得できないものであったとしても、誰もそれに対して率直な意見など述べてくれません。2ちゃんねるではボロクソに言われますが、誰一人として、それを面と向かって突きつけて下さる方はいらっしゃらない・・・。これほど残念で、悲しいことはありません。それが、ブロガーさんに対しては、あれだけの方がご意見をぶつけて下さっているのです。もうそれだけで、充分にありがたいことであるはずだし、感謝しなければならないことなのです。「アンチだから」などと否定していらっしゃいますが、私から言わせれば、アンチの方から直接ご見解をいただけることほど、羨ましいことはありません。自分に対して心地よいコメントをして下さる方が不要とまでは申しませんが、そんな方々よりも、その「アンチ」の方々の方が、100倍大切な存在なのです。
 ブロガーさんご本人が、レンコンという素材に対し疑念を感じたというのは、それはそれで1つの立派な見解であり、私はそれ自体、アリだと思います。ただ、もし疑念を感じたなら、そこで行なうべきは、そうした人たちを非難し、叩くことではありません。もし私がブロガーさんなら、まず感謝し、その上で徹底的にご意見をうかがいます。もしかしたら相手は、自分からすれば少し経験値が低いことがあるかも知れませんが、経験値が低い人間を決して侮ってはいけません。経験値が低いからこそ見える目もあるのです。裏磐梯においてウチダザリガニの蔓延状況が、当時の学術的発表よりもさらに進行していたという事実に気づかせてくれたのは、研究の”け”の字も知らない、地元の名もない小学生でした。日光のニチザリ棲息疑惑で、その解決のきっかけを発見してくれたのは、一緒に同行してくれた、ザリの知識など何もないウチの女王陛下だったのです。経験や知識などは、時としてその目すら曇らせる危険性があることを、私は身をもって経験してきました。だから、レンコンに対して疑念があるなら、まず、何をおいても○○さんやコメントを下さった方を大切にしなければならないのです。必要であればその方のご自宅にお伺いしてでも、聞いて、聞いて、見て、確かめねばなりません。その上で、そうしたことを参考にしながら、一歩一歩自分の考えを熟成させればよいのです。そうやって検討を終えるころには、たとえ結果がどちらであろうと、必要最低限、その方との信頼関係は構築されるでしょうし、そういう関係が、いずれは”人脈”となるのです。私なら絶対そうすると思いますし、そういう意味で、ブロガーさんは貴重なチャンスを自らつぶしたことになります。私には、それが残念でありません。
 私はよく、周囲の方から「お前は喧嘩屋だ」といわれることがあります。さすがに最近は自分の馬鹿さ加減を反省し、できるだけ身を慎むよう心掛けている”つもり”ですが、確かに、意見が対立して徹底的にやり合うことは少なくなかったかも知れません。しかし、ザリのことでいうならば、私が徹底的に批判し、攻撃するのは、たいていにおいて「中途半端な知識と中途半端な経験で(私から見て)テキトーなことをいう人」です。ですから、私自身を嫌いで、何かと陰で批判的な発言を繰り返す人も、(私自身の不徳さに原因がある場合を除けば)きっとそういう人ばかりだろうと思っています。自分に対して真摯に向き合って下さる方を批判することは絶対にしていない”つもり”ですし、中途半端でない人と論戦をする時は、確かにその時もきっと喧嘩腰ではあるけれど、直接面と向かってやり合うからです。そうした人とは、どうやり合おうと、絶対に信頼関係が崩れることはありませんし・・・ね。果たして私のこうした考えが、ブロガーさんのお心に届いて下さるかどうかはわかりませんが、元からザリに対する熱意をお持ちの方であることは、そのブログの執筆量が如実に証明しているワケですから、もし私の想いが通じるのであれば、ぜひこうした部分をグレードアップしていただき、どこぞのジャリ川とかいう、性格が悪いポンコツなインチキ詐欺師に代わる、真の”ザリ経験者”として、多くの方々にザリの素晴らしさを伝える存在になっていただきたいと心から願っている次第です。大丈夫!これだけ嫌われまくっていたって、ちゃーんとこうやってザリ研究は続けられていますもん(苦笑)。
 話がだいぶそれてしまいましたが、今回のレンコンの件に関し、素材自体の評価としては”よくある根菜類の1つ”として、可もなく不可もない素材であると判断しますが、全体の動きに関しては、科学的な部分ならびに心情的な部分において、ブロガーさんのご意見には同意しづらいものがある・・・というのが、佐倉ザリガニ研究所の判断であるとご理解下されれば幸いです。

 あ!あと1つ、これは話の本質とは全然関係ないんですが、私の心の叫びとして聞いていただけるなら「別に悪いことしてるワケじゃないんだから、もう、ハンドルネームで人と交流するのって、やめねぇ〜かぁ!」・・・と。実は今回、様々なメールが寄せられた中で、最初にも申し上げた通り、何人かの方々をブロガーさんの攻撃から助けてあげてください・・・的な内容のメールが1通があり、そこに書かれていた”賛成派”のハンドルネームの中に、どう見ても女の子としか思えないお名前が1つ、入っていたのであります。砂川家に遊びにいらしていただいて、ウチら夫婦をご覧いただいたことのあるザリ友の方であればおわかりの通り、私はこの顔で、しかもインチキながらも”フェミニスト”を標榜している大馬鹿者(苦笑)なものですから、いくらネット上とはいえ、か弱き女性を苛めるとは絶対に許せん!と思いましたし、そんなヒドい仕打ちを受けているなら、仮にブロガーさんの方に論理的正当性があったとしても、この際この俺が屁理屈を並べてでも意気揚々と完膚なきまでにやっつけて、この女の子から「砂川さんって、デブでハゲているのに、意外とステキなんですね。」なんて言われちゃったら嬉しいなぁ・・・と。そんなスケベ心を丸出しで、あちこちの関係者に電話を掛けながら、状況やデータなどを集めていたのであります。ところが、その流れで、あるブリーダーさんにお電話をお掛けした際「いやぁ、実は○○○ちゃんって子がネット上で苛められているってSOSのメールが来ててさぁ。ホラ、俺の場合フェミニストだから、その女の子が困ってるって言うなら、助けねぇワケにはいかねぇだろうよ!」と話したところ、その方から「いや、砂川さん、ボクはその方にお会いしたことがありますが、その方、生物学的には男性ですけど」・・・と(苦笑)。なんかその時、心の中で窓ガラスが一気に割れて落ちて行くような光景が出てきたぜ・・・トホホ。まぁ日ごろ、基本的には実名を出せる人としかお付き合いしない方針で生きているので、そういう意味ではこういう経験自体、初体験でもあるんですが、ホントもう、ハンドルネームなんて止めようぜぇ〜!
というワケで、傷心ながらもいつも以上に中立の立場に立って、回答をさせていただきました。以上です(苦笑)。