CPUドーターカードを交換しよう!
(ハード編)




このマシンの筐体は、Power Macintosh7500/100と同一のものです。筐体の開け方につきましては、7500/100のコーナーで御紹介しておりますので、そちらを御参照下さい。



これが、7600/120の内部全景です。製造時期が少し遅いため、ドライブ類の型番や内蔵チップの種類、コネクタの色などに差異がありますが、基本的には全く同じであると考えていいでしょう。下層ユニットの左側奥にあるCPUドーターカードを交換するのが、今回の作業ですね。




CPUドーターカードは、このような状態で、ロジックボードに垂直に挿さっています。「ドーター」とは、申すまでもなく「娘」の意味で、ロジックボードを「マザーボード」と呼ぶところから由来しています。マザーとドーター・・・、なかなかセンスのいいネーミングですよね。
Power Macintosh7500/100の後継機であるこのマシンには、120MHzで動作するPower PC604のセットされたカードが挿さっています。Power PC601のドーターカードと比較すると、なんとまぁ、ヒートシンクの物々しいこと・・・(苦笑)。





それでは、実際にドーターカードを取り外してみましょう。ドーターカードは、プロセッサ用スロットに挿し込まれていますが、DIMM用メモリスロットのように、取り外すためのボタンなどはついていません。そこで、スロットを傷つけないよう、カードの頂上部、配線などがない部分を持って、そのまま垂直に上方へと抜いてやります。何度か抜き挿しをされているマシンであれば素直に抜き取れますが、こうした作業を初めて行うマシンなどの場合、カードはかなりキツく挿さっており、弱い力では全く動きません。こんな場合は、カードの下部から、同じく配線を触らないように、ゆっくり、少しずつ持ち上げてやりましょう。一遍に抜き取ろうとすると、力の具合によってはカードのコネクタ部を傷めたり、スロットがいかれてしまう場合があります。充分に気をつけましょう。もしかしたら、今回の作業の中で、一番注意を払わなければならないところなのかも知れません。




ゆっくりと抜いて行って、やっとドーターカードが外れました。抜き取ったカードは、とりあえずこの段階で「お役御免」となりますが、万が一の動作不良などに備えて、しばらくの間はしっかりと保管しておく方がいいと思います。カードは、アルミ箔などで丁寧に包み、静電気を防げる袋などに入れておきましょう。これは、マシンに新しいカードを挿す前にやっておいた方がいい作業だと思います。




ドーターカードを抜き取った後のロジックボード全景です。スッキリしたと申すべきか、寂しくなったと申すべきか・・・。




同じく、抜き取り後のプロセッサ用スロット付近です。左奥からPCIカードスロットが3基、そしてAVコネクタがあり、その手前にある茶色のスロットがプロセッサ用スロットです。これからここに、今までの逆の手順で新しいカードを挿そう・・・というわけです。
ただ、その前にとても大切な作業があります。それが「プロセッサ用スロットのリセット」。これをしていませんと、新しいカードを挿しても、CPUが正常に動作してくれません。リセットスイッチは、AVコネクタのすぐ横にあります(この写真ではハッキリ見えませんが、赤い矢印の指してあるあたりにあります)。





これが、そのリセットスイッチです。通常は、ドーターカードの下に隠れていますので、ドーターカードを抜き取らない限りは、そうそうお目に掛かれるものでもありません。大きさは7〜8ミリ四方の小さいもので、なおかつ、それを示す表記などもありませんので、初めての時には探すのに苦労したりします。




ドーターカードを挿す前に、このリセットスイッチを押しておきます。大きさから見て、指で押すのも怖いような気がしたものですから、さんざん迷った結果、電気を通さない竹の菜箸を使ってみました(苦笑)。写っている菜箸の大きさを見れば、スイッチがいかに小さいかがおわかりいただけることでしょう。スイッチ自体は、軽く押してやるだけで大丈夫です。




リセットをすることで、受け入れ側の準備は整いました。いよいよ新しいカードを挿して行きます。で、これが、今回挿すドーターカード。林檎ユーザーにとっては憧れのマシンであった「ジェネシスMP」で有名なDaystar社の作った「Power PC 604e/200MHz MP」カードです。上手く装着できれば、一気に「双頭マシン」に大変身するわけですから、挿す前からワクワクしてしまいますね! Power Macintosh7600/120のバス・クロックは40MHzですので、バスとの相性もバッチリです。




まず、カードを挿す向きをきちんと確認した上で、下部のコネクタとスロットの位置をよく確認しましょう。スロットをよく見ると、写真のようにきちんとブロック分けされていることがわかります。ですから、挿す向きを間違えれば、本来ならきちんと挿さらないわけです。でも、そんな状態で力任せに押し込めば、どちらかが壊れるのは明白でしょう。カードを挿し込む直前の時点で、ここ(赤い矢印の部分)が互いにピッタリ合っているかを目で確認しておくことがベストです。




カードは、真上から挿しましょう。コネクタとスロットがきちんとはまったら、後は真上から均等に力を加えて挿し込んで行きます。1箇所だけを持って力を入れると、曲がって入ってしまう場合があり、やはりコネクタやスロットにダメージの出る危険性があります。ゆっくり、バランスよく行きましょう。力加減も重要なポイントです。




ドーターカード装着後のロジックボード全景です。真横から見て、CPUカードがきちんと垂直・平行に挿されているかどうかを確認しましょう。




最後まで押し込めたら、作業自体はこれで完了! 筐体を組み上げ、テストしてみます。本来であれば、すべて元の状態に戻してから電源を入れてテストしてみた方がよいのでしょうが、万が一、作業が失敗した時にでも、すぐに作業へ入れるよう、私は、写真で御覧いただいている状態でテストをしてみました。もちろん、このマシンは、各種ドライブ類が収納されている上層ユニットを持ち上げたままの状態でも立ち上げることができ、それはそれで面白いのですが、通電しているロジックボードがむき出しになっている状態になりますので、万が一、何かのトラブルに見舞われた場合、取り返しのつかないことになる場合があります。私たちは初心者ですので、まずはある程度組み直してから立ち上げた方がよいでしょう。





テストの内容につきましては、ソフト編にて御紹介させていただきます。