その5:2013・裏磐梯・ウチダザリガニ夏の陣!
(平成25年8月)



 平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、私たちの生活や価値観を根底から覆す大惨事となりました。もちろん、その直後には一時的な「復興支援ブーム」もわき起こりましたが、時が経ち、それぞれの生活が落ち着くころには、いつしかそういう善意すらも忘れ去られ、福島には、大いなる疲弊と未来が見えない不安感だけが残ってしまったのです。

 ご存知の通り、福島県の裏磐梯には、特定外来生物に指定されているウチダザリガニが棲息しています。1990年代の半ばごろに心ない人間の手によって小野川湖に放たれたとされているウチダザリガニは、約10年もの間に大きく勢力を拡大し、今では五色沼地区を除く裏磐梯の全域でその姿が見られるようになってしまいました。そういう状況の中、こうしたウチダザリガニの棲息調査と実態把握を行なうために何度も何度も訪れていた裏磐梯・・・。閑静で爽やかな高原リゾート地でもある裏磐梯は、夏の避暑、冬のスキーと四季折々の観光が楽しめる美しい場所でした。そして、地元の方々の優しさとおもてなしに、心から楽しみ、そして癒される場所でもあったのです。
 しかし、あの震災と原発事故は、100キロも離れたこの高原に対してすらも容赦なく牙をむき、すべてを変えてしまいました。これではいけない! 復興支援ブームが去った今だからこそ、同じ日本に住む仲間として、せめて何か少しでもお手伝いをさせていただければ・・・という、ザリ仲間の熱い想いが、その年の夏の「裏磐梯ウチダザリガニ祭り2011」へと繋がったのです。イベントと言っても、たかだか30人ちょっとのザリ好きが集まった、小さな小さなイベントでした。後から漏れ聞くに、イベントに参加しなかった一部の方々からは「どうせ思いつきの自己満足なんだろうよ」という冷ややかな声もあったそうですが、そうしたご指摘をいただくような私たち自身の力不足は申し訳ないこととしても、何か小さな小さな「一歩」が踏み出せたことは、本当にありがたく、そして嬉しいことでありました。

 あれから3回目の夏を迎えた福島は、地元の方々の必死な努力によって、地道ながらも力強い復興が進みつつあります。しかし、それもまだまだ道半ば・・・。私たちザリ仲間も、自分の好きなことや得意なことを持ち寄って、自分たちも大いに楽しみながら、少しでも裏磐梯にご恩返しをすべく、今年も集まることとなりました。そう! 何事も「継続は力なり」ですもんね! 今年も「珍」「喜」「笑」入り混じった中で実施された「裏磐梯、3度目の夏」を、ちょっとだけレポートしてみましょう!
 なお、砂川本人は、当日ほとんど写真を撮っておりませんでしたので、画像素材の一部を、写真家の佐々木浩之氏、日本淡水開発の下釜豊久社長、裏磐梯観光協会事務局の皆様からいただきました上で掲載しております。ここにお礼を申し上げます。




 朝の小野川湖・・・。裏磐梯のウチダザリガニは、この湖から始まったのです。昨年までは、観光協会とのコラボ・イベントである「裏磐梯ウチダザリガニ祭り」一日だけのお手伝いでしたが、参加者の方に少しでも裏磐梯に接していただき、何よりウチダザリガニをより深く、細かく知っていただくために、今年から、地元で活動されていらっしゃる裏磐梯エコツーリズム協会さんがイベントを立ち上げて下さり、2日間でのお手伝いをさせていただけることなりました。
 「よく学び、よく遊ぶ」・・・。2日間のイベントそれぞれに独自の性格を持たせ、様々な視点や方向性からウチダと向き合えることは、本当に意義深いものです。そして、3年目を迎える中で、地元の方々のありがたいご理解とバックアップをいただけるようになったことも、本当にありがたいことですよね!




 第一日目。まずは、裏磐梯エコツーリズム協会主催のイベント「ウチダザリガニを知ろう!」のスタートです。このイベントの主催は、地域の自然環境や歴史文化を学び、体験しながら、それぞれの地域の自然や文化の保全に責任を持つ観光の在り方を推進する「エコツーリズム」を提唱する、裏磐梯エコツーリズム協会。心ならずもこの地に定着してしまったウチダザリガニについての様々な知見を広め、情報を発信して行きたい・・・という想いで企画されたイベントで、ただ「楽しい」「おもしろい」というだけではなく、本当に生き物を愛する立場として、きちんと向き合い、考えて行こうという大きな願いが込められたイベントなのです。
 私たちが本当に愛する「ザリガニ」という生き物が、これ以上嫌われ者や邪魔者にならないために、そして、将来的に第二、第三の裏磐梯を絶対に作らないようにするために、私たちのような立場の人間こそ、こういうイベントにはきちんとお手伝いしなければならないはずなのです。



 ただ、過度なイベント性や娯楽色を抑え、あくまで「学ぶ」「考える」という硬派な内容で中身を煮詰めた分、果たして何人の方が参加して下さるのか・・・と少々不安でもありましたが、当日には、なんと30名を越える方々が集まって下さり、マジでビックリ! 直前になって参加者の椅子を慌てて追加するなど、嬉しい悲鳴・・・といったところでした。自由研究の1テーマとして活用するために参加してくれた子どもたちと保護者の方もいて、嬉しいやらありがたいやら・・・。
 まずは、エコツー協会副会長の真野さんからご挨拶と説明があって後、不肖砂川、講師役としてウチダザリガニに関する様々なお話はもちろんのこと、甲殻類の分類や生態系保全の基本と必要性などをお話させていただきました。




「大した知識もないくせに、エラそーに先生ぶっている砂川が、実は一番楽しんじゃっていたんじゃないの?」・・・とは、参加した友人の弁(苦笑)。確かに、その通りかも知れませんね! ただ、そんな「ポンコツ先生」の講義を、多くの子どもたちや保護者の方々が真剣に耳を傾けて下さったことは、ホントありがたいことです。こうした機会に、少しでも甲殻類のことを知っていただこうと、比較材料として佐倉から持参したサワガニやテナガエビ、そしてアメザリなどの個体も、実際に参加者お一人お一人のお手元にてご覧いただき、講師のポンコツぶりをカバーできたのは、ホントよかった・・・(苦笑)。





 また、今回こうしたイベントを開催する・・・という話をしたところ、「それならば、ぜひこの冊子を役立てて下さい!」ということで、北海道で活動されている「ザリガニと身近な水辺を考える会」さんが、こんな冊子を送って下さり、自前で用意した資料に加えて、参加者全員に配布することができました。これは、北海道のザリガニについて、子ども向けにわかりやすくまとめた冊子で、ニホンザリガニだけでなく、ウチダやアメザリ、そして、こうした在来種と外来種との問題などについても触れられており、特に、自由研究のために参加されている子どもたちにとっては、本当に役立つものとなりました。何かを行なう時に、快くお力をお貸しいただけることは、本当に嬉しく、ありがたいことです。改めて「人の繋がりの大切さ」を感じた次第!





 座学後は、参加者全員で曽原湖畔へ移動し、いよいよ実地調査のスタートです。開始に先立ち、まずはこの湖の特徴や選定の理由、そして裏磐梯における各湖の違いなどを、状況と環境の2つから説明しました。見た目は同じでも、ちょっとした環境や条件の違いから、棲息密度や勢力分布には大きな差が出ることなどに触れましたが、そんな小難しい内容の話にも真剣に耳を傾けて下さったことが多かったのは、ホントにビックリです。





 続いて、真野副会長から「調査道具と調査方法」に関する説明が始まりました。ウチダザリガニを防除するためには、環境省による特別採捕許可が必要です。裏磐梯エコツーリズム協会は、こうした採捕許可をきちんと申請し、正式な採捕許可団体としての許可を得ており、捕獲器具にも、すべてそうしたタグが付けられていました。これも、長年に渡ってしっかりと活動をされている何よりの表れでしょう。




 真野さんが説明をしている傍らで、前日に仕掛けておいた調査用のカゴを引き揚げ、片付けている伊藤会長。棲息調査の現場では、それぞれのスタッフがその場の状況に合わせて作業を分担し、テキパキと進めて行くことが大切です。阿吽の呼吸でこうした作業が進んで行くのも、日ごろからきちんと活動されている証拠であるはずです。





 個体が揚がってきました。子どもたちの視線がグーッと注がれる瞬間・・・ですね。曽原湖は、底質環境が小野川湖や秋元湖などと異なり、また、裏磐梯での発見報告が出た当初は全く揚がって来なかったことから、地理的な観点からも、過去には「この湖には定着しないのではないか?」という考え方があったことも事実です。ただ、密度こそ低いものの、こうした形で揚がってきていることを考えると、ウチダ自体の環境適応能力が極めて高いものであることを改めて痛感させられます。再会できて本当に嬉しいけれど、やっぱり、どこか複雑な想いにあふれる瞬間・・・。





 揚げた個体を手に、さっそく特徴や調査方法のレクチャーへ・・・。送っていただいた写真を見るまで全く気づかなかったのですが、多くの子どもたちが、こんなに大勢、身を乗り出して聞いてくれていたんですね。思わず、感動・・・(笑)。人相といい言動といい、日ごろ、どちらかといえば「嫌われ者」傾向が高いこの私も、ザリガニの魅力や好奇心のおかげで、こんな状態になれていたなんで、ホント、幸せ者ですね。
 自然を取り巻く様々な意識や、そうした分野での将来を明るくして行くためにも、まず大切なのは、こうした「チビッコ科学者」の数をもっともっと増やして行くことであるはずです。今年だけでなく、来年も再来年も、裏磐梯の地にこうした「子どもたちのキラキラした目」が輝くように、私たちも頑張って行かねばなりません。




 実際に子どもたちが調査に参加し、記録などの作業を体験したところで、今回のイベントは無事に終了! 最後に、湖畔で伊藤さんと真野さんからお話があり、お開きとなりました。
 当初の予想を大きく上回る参加者に、最初は戸惑いもあったものの、本格的な調査活動を実際に体験したり、ウチダの現状や知識についてキッチリと学べたりする機会は非常に貴重でもあります。今年の経験を糧に、さらに様々な工夫や趣向を煮詰めながら、来年以降、もっともっと大きく花咲かせて行きたい第一日目のイベントでした。



 さてさて、その日の夜は日本淡水開発チームも合流して、恒例の「前夜祭」がスタートです!
 この夜は、我らに加えて、明日のイベントに向けて前乗りしたボランティアチーム、裏磐梯ウチダザリガニアンバサダーの村上幸平さん、さらには観光協会事務局のみなさんも加わり、例年通りの大宴会! 裏磐梯の「山の幸」に舌鼓を打ちながら、ザリ談義や裏磐梯談義に大盛り上がりするのも、毎年の「お約束」なワケで・・・。ちなみに今年は、ひょんな話のネタから「恐怖のキャサリン・プロジェクト」なる、決してここじゃ書けない極秘のプロジェクト・プランがブチ上げられました。さぁ、果たして実現なるか・・・来年を乞うご期待(笑)。ちなみに、酒好きの猛者たちは、その後、カラオケへと繰り出したようですが、ジジイである砂川は、明日に備えてそそくさと退散。もう、無理の利かないトシだしねぇ(苦笑)。




 明けて18日、いよいよ「裏磐梯ウチダザリガニ祭り」開催の日・・・。まだ朝もやに覆われた早朝の棲息地に、独り足を運ぶ砂川(苦笑)。いざイベントが始まってしまうと、自分の調査研究や個体チェックなどをする時間は一切ありませんので、この「夜明けのひと時」こそ貴重な時間であり、フルに活用しなければならないのです。
 ひっそりと静まり返った山奥の水場を歩くこの時間こそ、ザリ馬鹿にとっては至福の瞬間・・・。予定しておいた調査ポイントをひと通りチェックして歩いた後、いったんペンションに戻って朝食と朝風呂をそそくさと済ませ、いよいよ出陣!





 裏磐梯観光協会・日本淡水開発・佐倉ザリガニ研究所がコラボしたプレミアムイベントである「裏磐梯ウチダザリガニ祭り」も、今年で3回目を迎えました。元々は、震災によって大変な苦労をしている福島に、ザリ好きがたちが集まって笑顔の花を咲かせよう・・・という想いで企画されたものですが、地元の方々を始め、多くの方々のご理解とご協力をいただき、規模や内容も少しずつグレードアップしながら回を重ね、裏磐梯の夏を飾るイベントの1つに育ってきたことは、本当に嬉しいことでもあります。

 なお、昨年の「前夜祭」にて、ウチダザリガニ祭りの開催日は、今年から「お盆の連休が終わった後の、最初の日曜日」ということで決まっていました。来年、参加を考えていらっしゃるみなさん、覚えておいてね!


 会場では、スタート時刻の2時間近く前からスタッフが集合し、準備がスタート! まずは料理準備チームと設営チームに分かれて、手際良く作業が進められて行きます。調理場では、今回のメインでもある「ザリガニカレー」のための出汁とりが始まっていました。参加スタッフの中には、本職が板前さんである方もいらっしゃり、素人技ではない、本格的な「ザリガニの出汁」が作られて行きます。日本広しといえども、ここまで本格的な「ザリガニ料理」が食べられる機会は、そうそう多くはないのではないでしょうか? せっかく全国から集まって下さるのだから、作る方も気合いが入ります。また、こうした準備作業も3年目とあってチームワークも抜群! ただ、できればもう少し人手が欲しい・・・(苦笑)。





 一応、料理作りのお手伝いをしてみる砂川・・・。ただ、こうやってみると、ほとんど戦力になっていないどころか、むしろ足手まといに近い状態であることは、この写真の様子からも丸わかり・・・ってところですね。我ながら、ホント使えねぇ男だよなぁ(苦笑)。





 そんなら、設営の手伝いに行こう・・・と思って会場に行ってみたら、ホラ、この通り! バッチリ準備ができあがっていました。さすが3年目のチームワーク・・・っていうか、どこに行っても「戦力外」の砂川なのであります(苦笑)。
 ちなみに、今回の参加予定人数は50名ジャスト! これで全員が腰掛けて楽しめるはず・・・なのですが、これがまた、開式直前に予想外の展開を見せてくるとは、この時、誰も予想していなかったのでありました。




 調理場に戻ってみると、ザリガニの塩茹でができあがっていました。手前のプレートがアメザリ、奥のプレート2枚がウチダの塩茹でです。こうやって2種類のザリガニを食べ比べして楽しめるのも、ウチダザリガニ祭りならでは・・・ですね。ホント、美味しそう。カレーについても「せっかくなら、食べ比べてもらおう」・・・ということで、ザリガニ出汁のカレーと普通のカレーの2種類が煮込まれておりました。





 会場に戻ってみると、すでに受付では、参加者のエントリーが始まっていました。聞けば、かなり遠くからこのイベントのために駆けつけていらっしゃった方もおり、ホント、感謝の思いでいっぱいですね。
 ただ、開式時刻が近づくに連れて、あれ? ちょっと人の数が多いんじゃ・・・? 結局、参加者の数は70名を越え、会場準備その他で大わらわ(苦笑)。スタートが10分ほど押してしまったのはご愛嬌・・・ということで(笑)。



 椅子を大幅に追加したにも関わらず、残念ながら両側に立ち見が出てしまいましたが、まずはイベントのスタート! 裏磐梯観光協会の竹中副会長の挨拶が始まります。さぁ、今年も始まるぞぉ! ホント、素晴らしい天気でよかった・・・と、胸を撫で下ろす瞬間。




 日本淡水開発の下釜社長や不肖砂川の挨拶が終わった後、いよいよ「裏磐梯ウチダザリガニアンバサダー」として第1回の開催から欠かさず駆けつけて下さっている、俳優の村上幸平さんの挨拶! これまた毎度のことながら、どうしてこうもスタイルがいいんだろうねぇ・・・と思う砂川(笑)。今年も、参加者の中には村上幸平ファンの方々が数多くいらっしゃっていました。




 ん? 突然、大きな盾を手に取って説明と宣言を始めたぞ!

 え? 世界大会? 世界チャンピオン・・・?

 そうなんです! 実は今年から「裏磐梯ウチダザリガニ祭り」の中で開催される釣り大会は、な、なんと「世界選手権」・・・なんです! 名称はデッカく「Zari-1 GrandPrix 世界ザリガニ釣り選手権」! つまり、ここで優勝したチームこそが「地球上で最もスゴ腕のザリガニ釣り名人」ってことになるワケです! 突然の発表に、会場は大ウケ&大盛り上がり!


 発表は突然でしたが、実はこの話、昨年の前夜祭で盛り上がった話の中から企画を練り上げ、実現させたもので「せっかく楽しむなら、大ボラだろうが何だろうが、思いっきり大風呂敷広げて、みんなで盛り上がって楽しんじゃおう!」ということに・・・。でもって、どうせやるのなら「裏磐梯一」でも「日本一」でもなく、「世界一」にしちゃえ・・・となった次第! ま、こういうのは「最初に言ったモン勝ち」みたいなところもあるしねぇ(笑)。
 最初はこんな、冗談半分みたいなノリで出てきた話だったのですが、この話を聞いた日本屈指の釣り餌メーカーであるマルキユーさんが、なんと! こんな素晴らしい優勝プレートを作って下さったのです。しかも、当日わざわざ役員の方と担当の方が現地までお越し下さり、賞品用「ザリゲッチュ」やグッズ類と一緒に直接お届け下さったのには、マジで大感動! 本当にありがたいことです。



 開会式が終わると、全員で釣り大会の会場へ・・・。観光協会のスタッフから、バケツや竿、そして網などが配られ、釣りのルールや方法などが説明されます。参加者は気合い充分! まさに「スタートが待ちきれない!」・・・って感じですね。




 それじゃあ、始めまーす! ヨーイ、スタートッ!

 スタッフの合図と同時に、参加者のみなさんが一斉に釣りを始めます。足場のよい池の周りには、早くも竿の列が・・・。
 それにしても、爽やかな景色ですよね。毎年、こんな気持ちのよい場所で大会が開かれているのです。楽しそうでしょ?




 釣り大会のエリア内には、足場のよい池だけでなく、このような山すその細流もあって、みなさん、思い思いに「好ポイント」を見つけて陣取っています。高原の緑に包まれて、本当はとっても清々しい場所なのですが、そんなことなど一切構わず、ただひたすらウチダと格闘する選手たち・・・。これも毎年の光景です。




 最初は落ち着いて糸を垂れていても、時間が経つに連れてドンドン気合いが入ってくるのも「人情」というもの・・・。かがんだり腹這いになったりと、大人も子どもも必死のチャレンジが続きます。



 おーっと! ここにも超気合いで糸を垂れている大人が・・・。よく見ると、村上さんじゃありませんか! ご本人曰く「申し訳ないけど、本気出しますよ! ザリガニ釣り世界一の座は、自分が渡して、自分が受け取りますっ!」・・・凄過ぎる!



 場所を変えて歩いていると、こちらでは、な、なんと写真家の佐々木さんまでもがザリガニと格闘中! さっきまでカメラ構えて取材されていたのに・・・(笑)。いやいや、これは特別なことでも何でもない、この大会では「日常」の光景なんです。最初は子どもたちのために参加してくれたお父さんお母さんが、いつの間にやら「戦士」に変わっていまっているという・・・。ザリガニ釣りには、こうした素晴らしい魅力があるんですよね! 「ザリガニは、大人を子どもにし、子どもを大人にする」・・・まさに言い得て妙だなぁ。




 そんなこんなで1時間が経過し、試合終了! さっそく集合して、計数が始まります。結果は如何に・・・。それは、食事後のお楽しみ・・・ということで。



 釣り会場から戻ってくると、いよいよお楽しみの「ザリ料理」タイム! ザリガニで出汁を取った「ザリガニカレー」に、アメザリとウチダ2種の塩茹でが今年の料理です。健闘を讃え合いつつ、さっそく舌鼓・・・!




 料理の前には、またたく間に長い行列ができました。やっぱり「ザリガニカレー」は大人気のようで、あっという間に終了! 確かに、カレー料理は数々あれど、こういう出汁でカレーを作る・・・なんて、なかなかありませんものね。塩茹でも大人気で、珍しそうに写真を撮られている方もたくさんいらっしゃいました。


 ザリガニ料理初体験の方のために、毎回「茹でザリガニの食べ方」について、とりあえず説明させていただくのですが、ほとんど誰も聞いていなかったり・・・(苦笑)。毎年参加していて「剥き方も食べ方もお手のもの」という猛者もたくさんいらっしゃいますし、それでなくても料理に夢中ですから、当たり前かも知れません。




 会場の脇では、今年から「即売ブース」が登場! 「少しでも裏磐梯のウチダザリガニと、裏磐梯の方々に貢献できれば」・・・ということで、なんと佐々木さんご本人が、ご自身でお撮りになったザリガニの写真や、裏磐梯で潜水し撮影したブラックバスなどの写真を額装してお持ち下さっていたのです。価格はすべて「お気持ちで!」ということで、机の端にカンパの箱を設け、思い思いの金額を入れていただくことになりました。「それぞれが、それぞれの得意技を持ち寄って、自分たちも楽しみながら裏磐梯に笑顔の花を咲かせたい!」・・・という想いが、こういう形でも結実しつつあるのです。カンパ箱に入った売り上げ金は、そのまま全額を観光協会事務局に寄託し、来年以降のウチダザリガニ祭り開催準備費用に活用していただくこととなりました。佐々木さん、本当にありがとうございました。



 佐々木さんの写真即売ブースの横では、これまた村上さんの即席サイン会場が登場! ザリガニの写真だけでなく、着ているTシャツやバッグなどにもサインを求めたり、一緒に写真を撮ってもらう人の行列が・・・。そういや、「大人のザリガニ飼育ガイド」にサインをしてもらっていた人が何人もいたのですが、なぜか砂川のところには1人も来ませんでしたねぇ(苦笑)。当たり前だよなぁ・・・このルックスと性格じゃ(大苦笑)。もっとも、サインを求められても筆書き以外やったことないんで、どうしようもないんですけど・・・ね。


 楽しい時間もあっという間に過ぎ、いよいよ表彰式&閉会式です。まずは、裏磐梯観光協会の森井会長からご挨拶。



 そして、各賞の表彰が始まりました。

 今回、栄えある「初代・世界王者」に輝いたのは、チーム藤崎家! なんと51匹も釣り上げたというのですから驚きです! 「このプレート、ザリ王の名誉にかけて絶対自分で持って帰る!」と豪語していた村上さんですが、今回ばかりは、にこやかに「プレゼンター役」に徹しておりました。


 連れた匹数ではなく、最も大きい個体を釣り上げたチームに送られる「村上賞」は、チームUPO(ユーポー)に決定! こちらも村上さんから、佐々木さん撮影の巨大ウチダ写真額がプレゼントされます。こちらも、王者の貫禄!

 そして最後に、全員で記念撮影をし、にこやかに終了・解散となりました。あ! そうそう! 会場となった休暇村裏磐梯のみなさんから、今回の参加者のために「休暇村温泉無料入浴券」をいただきました。後片付けをした後、みんなであったかい温泉に浸かって疲れを癒してから家路に就いたことは申し上げるまでもありません。本当にありがとうございました。




 思い返せば第1回、定員30名でスタートした「ウチダザリガニ祭り」も、参加者は60名強、スタッフの人数まで加えれば76名にも及ぶ大きなイベントにまで育つことができました。これもひとえに、1人1人のみなさんの「裏磐梯への熱い想い」と、地元の方々のあたたかい励ましとご協力によるものであることは間違いありません。また、マルキユーさんや佐々木浩之さんを始めとした皆様のバックアップや、機材や技術を持ち寄って下さった方々、そして、多くのボランティアスタッフのみなさんによって、ここまで楽しいイベントになったのだろうと思います。さらに、今年から始まった裏磐梯エコツーリズム協会のイベントも加え、来年、再来年とさらに盛り上がって行くのではないかと思います。
 ウチダザリガニという生き物が、不本意ながらも裏磐梯の地に棲み着いてしまったというご縁と、忌まわしき大震災という出来事から始まったこのプロジェクトも、これからは未来志向で大きく花開いて行くことでしょう。そう!目指すは「自由研究の聖地・裏磐梯」なのです!

 さぁ! あなたも来夏、裏磐梯で「ザリガニ釣り世界王者」の座を狙ってみませんか? そして、一緒にウチダザリガニのことを知り、触れ合い、自然や生態系のことについて考えてみませんか? 自然を愛し、裏磐梯を愛する心優しきザリガニ野郎たちが、みなさんのご家族を大歓迎いたします!