家賃ゼロの「稚ザリ用天然餌&シェルター」だぞぉ! 
〜水槽導入用クヌギ葉を用意する〜


その3  漬け込み状況のチェック



さて、漬け込みから1ヶ月程度経ちました。ここらで1度、水換えをしてみることにしましょう。この「1ヶ月」という期間ですが、これは「必ず、1ヶ月でなければならない」というわけでもありませんし、佐倉でもキッチリ1ヶ月で換えているわけでもありませんから、そう厳密に捉える必要もないと思います。そのまま、ノンストップで3ヶ月くらい漬け込んでしまうのも悪くありませんし、1週間から半月程度、早ければ2〜3日で水上げしてしまうというやり方もあるようです(特に、販売されているものには、そういう傾向が高いとか・・・)。ただ、短すぎた場合、アクが充分抜けなかったり、完全な枯れ葉でない場合、思わぬ成分が残存していて、水草投与時と同じようなショック状態が起こってしまった・・・などの事例があるため、あえて慌てず、じっくり作ろう・・・というワケです。また、漬け込んだまま放置する時間が長すぎると、もし、中で一部の葉が腐敗してしまった場合、中の枯れ葉全体がダメになってしまうという危険性もあるものです。ですから、適当な節目節目で、簡単なチェックを兼ねた水換えをしよう・・・というふうに考えておけばよいでしょう。




水の色をご覧下さい。完全な「茶色」に変色しているのがおわかりいただけますね。原理としては、流木のアク抜きと同じですが、1片1片が薄く、表面積が大きい上に、木片と違って内部の物質が外に溶出しやすい状態になっていますから、まるで上質のウーロン茶でもあるかのような色に変わります。




始めの部分でも触れてある通り、この段階での作業の目的は、単に水を換えることだけではありませんから、水を抜く前に中の葉の様子をひと通りチェックしてみましょう。傷みがひどくなっていたり、葉肉部が溶けて穴などが大きく開いてしまっているものは、残念ながらここで取り出してしまいます。ただ、あんまり厳格に選り分けようとすると「合格」の葉がほとんどなくなってしまいます(苦笑)。傷みがひどかったり腐ったりしているものは別ですが、少々の穴あき適度であれば「合格」にしちゃっていいのでは・・・? なお、取り出した「不合格」の葉についてですが、この段階で餌として与えても特に問題はありません。ホンの数日間、水にさらしただけの枯れ葉が販売されている昨今ですから、これだけ漬け込めば、それなりに使うことは可能です。もちろん、今回は、その上を行く「餌」を目指しますので、ここで妥協はせず、さらに先を目指すことになります・・・が。




元々の葉質や採取時の状態、漬け込みの状態などにもよりますが、長期間漬け込むことで、中には、表面がベトついたり、薄い藻のようなものが付着してしまう葉も出てくる場合があります。これをそのまま放置すると、経験上、大半の葉が腐敗してしまうので、簡単でよいですから、このように一度擦り洗いをしてしまいましょう。何も新しい水で洗わなくてもよいですし、あまり強く擦ると葉自体がダメになってしまいますから、軽くすすいで、流し落とすような感じで行います。




こうしたチェックやすすぎ洗いなどが全部終わったら、水は捨ててしまいましょう。先ほどフタを開けた時よりも、さらにまっ茶に変色した泥混じりの水が、ゴミや葉片などと一緒に流れ出ていきます。こういう作業を考えると、やっぱり、屋内で漬け込み作業をするのは現実的でありませんわな・・・(苦笑)。




水を抜き終わった状態がコレ! 漬け込み前と比較して、葉の色自体がかなり濃くなってきているのがわかりますね! もちろん、この段階でも餌として与えられなくはありませんし、数日間さらしただけの餌や、何が含まれているかわからない腐葉土などよりも、はるかに安全な餌であることは違いないでしょう。ただ、葉脈や茎部が充分に軟らかくなっていない場合もあってか、この程度では、まだまだかなりの喰い散らかし、喰い残しが出てしまいます。別に焦る必要もないですし、どうせならいい餌を作りたいので、ここではあえて使わずに、もう1段階、2段階と手間を掛けてやることにしましょう。




この段階では、キーパーによって多少見解(というか工程)に違いがあるようです。「よいものを作るためには、水抜き後、最低でも1〜2日間は陰干しさせて、それから再度漬け込んだ方がよい」・・・という完璧主義のキーパーさんもいらっしゃいますが、佐倉の場合は、どちらかというとかなりいい加減なクチですので、水換えがちょうど連休に合わさり、しかも両日とも好天で無風・・・みたいな状況にでもならない限り、そうした陰干しまでは行っていません。ま、やった方がいいにはいいですけど・・・ね(笑)。軽く何度か流水すすぎをした後、再び水を注いで行きましょう。水を注ぎ終えたら、いよいよ「漬け込み」第2ラウンドのスタートです。ここでも、やはりピッタリとフタをした方がよいですね。あとは、1〜2ヶ月程度を1つのサイクルに、同じような作業を繰り返して行きます。どのみち、長い時間を必要とする性質のものですので、変に気合いを入れると嫌気がさしてしまいます。あまり真剣になりすぎず「水槽の換水のついで」程度でよいのではないでしょうか? あれこれ手を加えても、品質が劇的に向上するものでもありません。焦らず、慌てず、のんびりと時間の流れに任せるのが一番です。