家賃ゼロの「稚ザリ用天然餌&シェルター」だぞぉ! 
〜水槽導入用クヌギ葉を用意する〜


その2  集めた材料の下ごしらえ



針葉樹や虫喰い葉、腐り葉などを取り除きましたら、葉を傷めないように洗浄します。この際、採取してきたその日に洗浄作業までするのではなく、しばらく陰干しした方がいいでしょう。佐倉でも、採取してきた当日は分別作業までしか行いません(単に「疲れるから」というのもあるケド・・・苦笑)。分別後の葉を広げて陰干ししておき、次の休日に洗浄〜漬け込み作業をするのが例年の動きです。別に消毒するわけでもないし、そのまま水に漬け込んでしまってもいいのですが、何せ漬け込み時間が長期に渡りますから、こういう作業で手を抜くと、葉が漬け込み終わる前に腐ってしまうわけなんです。前項で「湿った葉や発酵や腐敗の進んだ葉も出てきますが、ここでは、そうした「美味しそうな葉」をあえて選ばず、表層の乾いた葉を持ち帰る方がよい」としたのも、こういう余計な腐敗を避けるためだったんですね。今でこそ「コツ」がつかめましたんで、そんな悲惨な思いもしなくなりましたが、最初の数年は、桶の中で腐敗を通り越して「発酵」してしまい、せっかくの枯れ葉が、強烈な異臭とともにドロドロの「汚泥」へと変わり果ててしまった経験があります。流木と違って、1枚1枚が薄いですから、こういうところもしっかりと気をつかってあげましょう。こういうところが、まさに「経験の蓄積」といったところです。




「お米をとぐ要領」といったら少しオーバーかも知れませんが、新鮮な水で数回洗い、汚れや泥などを落として行きます。枝などの場合も、手を抜かずにしっかり洗います。佐倉では、ザリ飼育関係の水は全部井戸水を使っているので、それほど冷たく感じないのですが、水道水なんかだとメチャメチャ冷たいはず・・・。でも、ここは我慢! しっかり汚れを落として下さい。




すすぎ終わった葉は、一旦取り出します。この際、もう一度チェックできればベストですね。これから漬け込む葉のうち、最も後になるものは、与えるのが1年近く後になるわけです。その間の漬け込みや乾燥・保存に耐えるためには、1枚1枚がしっかりした葉でなければなりません。面白いもので、こうした作業をしてると、丸まっていた葉のうち何枚かは、写真のようにピンと伸びてしまうものがあります。枯れている葉なのに、それでも水をもらうと嬉しいのかなぁ・・・と、こっちまで豊かな気分になってしまいますね。




洗い終わった葉は、漬け込み用の桶に入れます。桶といっても、木桶である必要はありません。要は「じっくり漬け込めれば何でもいい」わけです。ただ、光の入る水槽や衣裳ケースなどの場合、ちょっとした光で藻が生えてしまい、一気にグリーンウォーター化して、葉がダメになってしまうことがあります。もちろん、それはそれでいい餌なのですが、長期間持たない(だいたい1〜2ヶ月で腐ってしまいます)上に、水槽へ緑藻を持ち込む結果になってしまい、水槽自体の管理が恐ろしく大変になります。佐倉のように「藻もレイアウトのうち」・・・などと開き直れる状態ならいいのですが、屋内で観賞用に飼育する水槽の場合、やはり避けたいところですね。・・・というわけで、漬け込みは光の入らない容器を選ぶようにしましょう。佐倉では大きめの発泡スチロール・ケースが「定番」です。魚屋さんとかに行けば、タダで手に入りますし・・・ね(笑)。その他、毎年、実際に作っている人に話を伺うと、漬け物用のプラスチック樽や、ベランダストッカーなどを使われている方が多いようです。なお、中に入れる葉ですが「押し込む」のではなく、自然に入る容量だけを入れるようにして下さい。ちょうど「フカフカになる感じ」でしょうか・・・。




葉を入れ終えたら、水を注ぎます。ここは「優しく優しく」・・・ね! 水を満たしてから葉を入れるよりも、葉を入れてから水を注いだ方がよいでしょう。この段階では、まだ葉自体が水に浮きますので、逆にすると充分な量を漬け込めないからです。




水を注ぎ終わった状態がコレ! 大半の葉が水面上に浮いているのがわかりますよね! ホント「枯れ葉の色!」って感じです。これを、最初のページにあるような「ほぼ真っ黒な状態」へと仕立てて行くわけですから、時間と根気と、愛情が必要な作業なわけですなぁ・・・。




水を注ぎ終えたら、いよいよここから長い「漬け込み」のスタートです。ピッタリとフタをしてしまいましょう。別に「密封」する必要はないですけど、外気にさらしたり、光に当てたりする必要はありません。桶は、屋内に置いておく必要はないと思います。凍って割れたりしないよう注意しなければなりませんが、基本的には軒下とかガレージとか、そんなところでいいのではないでしょうか? ちなみに、基本的にこの作業、夏場には向きません。腐って異臭を放つようになるばかりでなく、気がつくとボウフラがいっぱい! あっという間に「蚊の養殖場」になってしまいますから(苦笑)。やっぱり枯れ葉は「寒仕込み」に限るねぇ!