濾材の洗い方

 


 濾過材の洗い方については、ゼオライト材に関する小ネタのところでも触れましたが、およそ水槽セットの中で使用するこうした濾材に関しては、新品であるかどうか、材質がどうであるか・・・という部分は一切関係なく、必ずきちんと洗い、ゴミや汚れ、破片などを必ず落とすことが大切です。というのも、劣悪な飼育状態によって死んでしまったザリガニを譲り受け、解剖して体内を確かめてみると、鰓に障害が起こってしまっている個体が多く見受けられるからです。ザリガニの場合、魚とは体内を通過する水の流れが逆になっていることも、もしかしたら何らかの理由があるのかも知れませんが、いずれにしても、よけいな無機物的微細不純物が多量に含まれた水というのは、ザリガニにとってプラスになるはずがありません。
 今回、グラス系濾材と麦飯石(いずれも新品)を濾材に用いるということで、それぞれの「1洗目」の様子を撮ってみました。シポラックスの方はそれほど濁っていませんが、麦飯石の方は大変な濁り具合です。これは、砕石や輸送などの段階で発生した石の細かい粉化破片ですので、何度もすすぎながら、キッチリと除去しましょう。麦石飯については、たまに「細かい破片は麦飯石溶液と同じ効能があるから、洗うなんて邪道だ」という声を聞くこともありますが、同じ「粉化」でも、意図的に微細なレベルまで粉化させたものと、擦れたり割れたりしてできてしまったものとでは、元の粒の大きさに違いがあり過ぎますので、この説が少々乱暴なものであることは申すまでもありません。
 ただ、これら2つの濾材のうち、洗い漏れがあったと仮定する、どちらがザリガニにとって危険かといえば、それは間違いなく、グラス系濾材であろうと思います。それは、こうしたグラス系濾材が、発泡ガラスという素材でできているからです。発泡ガラスは、ガラスと様々な物質を1000度近くの高温で溶解し、発泡させた素材であり、軽量で多孔質な特性から、濾過のみならず、吸音や断熱などといった様々な用途に活用されている素材です。顕微鏡で覗いてみると、本当に細かい穴がビッシリと開いており、これが濾過バクテリアにとって極めて有効な住処となるワケです。ただ、材質の特性上、非常に脆い部分もあり、粗雑に扱うことで目に見えないレベルの微細な、そして鋭利な破片が発生してしまうことになりかねません。もちろん、これでもって私たちが手を切ったり怪我をしたりすることはありませんが、もし、ザリガニの鰓に対して万全の態勢で行こうと考えるのであれば、むしろ、粒の小さいこうした不要物ほど、しっかり除去した方がよいでしょう。
 ちょっと力を入れて洗っただけでも、右の写真のように欠けてしまうこともありますから、ゴシゴシ洗う大磯砂や麦飯石などと比べて、グラス系濾材は「レディーを扱うがごとく、優しく優しく」洗ってあげないといけないのかも知れませんね(笑)。

 あと、最近はグラス系濾材にも様々なものが発売されており、中には、かなり安価なものも出回っていますが、もし、使うのであれば、少々高くてもキチンとした商品を選ぶことをオススメします。正直、これにもいろいろな話があるのですが、それはまた、稿を改める・・・ということで。