濾過槽を立ち上げよう(3)

 濾過という要素については「ちょちょいと簡単に済むだろう」と考えられていらっしゃった方も多いと思いますが、何とパート3へと突入です。実際、バケツやタライなどでもそこそこ飼育できてしまうアメリカザリガニ程度であれば、濾過にここまで気を遣わなくても大丈夫でしょうし、「ディスカスじゃあるまいし、大げさにそこまでやらなくたって」と感じる方もお見えになることだろうと思いますが、ここはあくまで「1から始める」がコンセプト・・・。たとえ遠回りでも「ザリガニならではの飼育水槽」という点を突き詰めて行きたいと思います。様々なザリガニ、様々な状況でキッチリと飼育しきれる技量を得ておくためにも、どうぞ気長にお付き合い下さいね。



 ここで、もう1つの濾材を準備します。それは、以前のステップで比較解説のために準備した円筒形のセラミック濾材です。これも、きちんと洗いましょう。

 ちなみに、ここで準備している濾材ですが「セラミック濾材でないといけない」ということはまったくありません。また、濾過槽が今回のように大きなものでなければ、そもそも用意する必要がないものでもあります。ただ「もし、セットするする水槽がこういう状況であるなら、今、やっておくべきこと」なのです。ザリガニ水槽なのにゼオライトを用意して濾過槽に突っ込んでみたり、次から次へと様々な種類の濾材を登場させたり・・・と、まったくワケのわからない状況になっているかも知れませんが、立ち上げが進んで行く段階で、必ずそれらの意味や理由を詳らかにして参りますので、どうぞご安心を!



 ひと通り準備が終われば、濾材をコンテナにセットして行きましょう。ここでは、シポラックスをまず最初にセットします。
 生物濾過は、濾過でいえば最終段階にあたるものですから、濾過の方法を問わず通過する飼育水が水槽に戻される寸前のエリアに設置することが大切です。濾過槽に入ってきた水が、最初の段階で充分に処理され、ある程度まで「綺麗になった」状態で、初めてこのエリアに入ってくるように工夫しましょう。これは、ザリガニに限らず、すべての観賞魚飼育に当てはまる、濾過槽セッティングの基本です。



 シポラックスを敷いたら、その他の濾材をセットしましょう。ここでは、麦飯石とセラミック濾材を上にセットしてみました。順番に関しては、特に「こうでなければならない」という決まりはありませんので、好みで決めてよいと思います。ただ、セット後のメンテナンスを考えますと、特に、複数種の濾材を使用する場合、ネットなどで分けた上でセットする方が楽です。前のステップでも触れてある通り、たとえば麦飯石とグラス系濾材などの場合、換水時の洗い方も異なってきますので、あらかじめ袋などで小分けしておくことで、メンテナンス時の作業が簡便になるからです。





 コンテナが仕上がったら、さっそく濾過槽内にセットします。ただし、この段階でも、2つ目のコンテナに入っているゼオライトは取り出しません。ゼオライトとしての使命は、確かにほぼ完了している状態であるはずですが、ここはもう少し置いておき、これから投入する3つ目のコンテナが機能的に落ち着くのを待つことにしましょう。



 すべてのコンテナに濾材が入り、見た目はカンペキな状態になりました。これで1週間くらい、水を回してあげましょう。ただ、ザリガニ飼育経験の長い方で、たとえば以前、マロンやマダガスカル系などといった「水ウルサイ系」のザリを飼われていた方などの中には、「これで完成? アンタ、ふざけてんの?」と思いながらご覧になっている方も多い・・・はず(苦笑)。もちろん、これはまだ未完成な状態なのですが、最後の仕上げは、3つ目のコンテナが機能し始めてから行なった方がよいワケですから、少なくともこの段階では、これでよいのです。もし、そうした経験をお持ちでない方の場合、この段階のシステムの何が問題であるのか(何が余計で、何が不足しているのか?)を考えてみることも、飼育技術を上げるためには意味あることだと思います。