巨大ザリガニの魅力





 まずは、上の写真をご覧下さい。この個体は、平成11(1999)年7月、神奈川県内某水系で捕獲した1匹です。ある生物の棲息調査の手伝いで網入れをしていた際、偶然に入ってきたもので、TLが約16センチある、それこそ「ブッたまげて腰が抜けるようなデカいザリ」でありました。スケールと一緒に写したものがありませんので、信じて下さらない方もいるかとは思いますが、ある程度の数以上個体をご覧になっている方であれば、第1触角の太さや第2・3胸脚のハサミの大きさからご覧いただければ、少なくとも、この個体の大きさが決して尋常でないということを充分ご理解いただけると思います。コンクリートの石粒と比較しても、一目瞭然でしょう。ハサミの長さまで含めれば、軽く30センチに届くであろうこの個体・・・。LLサイズのバットを斜めにしないと収まらない体躯に、レッドクロウ並みの迫力ある第2触角、そして、マロンよりも鋭く湾曲し、大きさや太さ以上に長さが強調されているようなハサミ、「赤」というよりも「黒」と表現した方がよいとさえ思える第1胸脚のハサミ・・・・。アメリカザリガニに「迫力」という言葉を使うのであれば、こういう姿形を指すのではないか・・・と思えてなりません。10センチを越えると、もう立派な「マッカチン」ですが、ここからの2センチは、本当に大変です。  当時、あくまでもパラスタシダエ科だけを追い求めていた私にとって、いくら大きいザリであっても、所詮はアメザリ・・・。これよりも大きな個体を師匠の家でみていたことや、マロンの大型個体を見慣れていることもあってか「こりゃあデカいなぁ。アメザリもここまで大きくなることがあるんだ」程度の感慨しか湧かず、結局、写真だけ撮って近くの子どもにあげてしまいましたが、後にも先にも、これを越える個体を捕獲できていないことを考えると、もう少し丹念に記録しおけばよかったという後悔の念が残ります。
 日ごろ、みなさんから数多く寄せられるご意見やご希望、ご質問などの中でも、アメリカザリガニに関する「大きさ」は、決して少なくありません。また「大きい」ということは、それだけで充分以上の魅力であり、アメザリを触れるのであれば、やはり避けて通れない内容でありましょう。このコーナーを立ち上げるにあたって、ちょっとした大型個体を捕獲して写真でも撮ってやろうと、ブラッと出掛けて網入れをしてみましたが、丸一日網入れをして、上がってきた最高が12.5センチでは、とてもではありませんがお話になりません。「それなら、本気で探してやろうじゃないの!」沸き上がる少年時代の熱き狩人の血・・・。子どものころのように、ただ闇雲に釣り、網を入れるのではなく、アメザリの特性を知り、環境を考え、様々な方法から「巨大ザリ伝説」にアプローチしてみたいと思います。


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