個体群型と突然変異型


 アメリカザリガニの体色変異個体に首を突っ込んでいると、そこかしこで耳にするのが、この「個体群型」と「突然変異型」という、何かの区分を示すような言葉ではないかと思います。
 元々、これらの言葉は昭和60年代の白ザリブームが起こっていたころ、採り子(採取業者)さんやブリーダーさん、そして、こうした個体を仕入れるショップなどの間で、その個体の情報を共有する目的で、半ば便宜的に使われるようになった言葉ですが、現在では、アメリカザリガニの体色改良に取り組んでいる多くの方々が、まるで当たり前の用語のように使っているので、ショップだけでなく、一般のキーパーでさえも、何の疑問もなく普通に使っているようです。

 しかし、中には「この個体は、色は同じでも個体群型じゃなくて当然変異型の個体なんだから稀少価値もあるし、販売価格だって高いのは当然なんだよ」・・・というように、あたかも、その個体の「価値」を示すかのような意味合いで使われたり、その体色の個体群や、それに含まれる個体の絶対的特徴を示す条件基準を表す言葉として語られたりする残念なケースも少なからず見受けるようになってきているのも実情ではないでしょうか? 実際、言葉としては日常的に使われていても、これらの違いについて本質的意味から説明されているケースはほとんど見当たらないのが実情です。だからこそ、ある種の「価値判断基準」を示す言葉のようになってきてしまうのは、本当に残念なことでもあるわけです。

 ある程度の経験を積まれている方や、そうしたことをお仕事にされているプロの方と日常的にお付き合いしている方にとっては、別に今さら・・・という感じもするかとは思いますが、せっかくの機会ですので、今回、改めて、これらの言葉の本質的意味や違いなどについて、具体的な事例を挙げながら詳しく考えてみることにしましょう。




  

 まず、上の2枚の写真をご覧下さい。言わずもがな、いずれも白ザリのオス個体ですね! このうち1匹が突然変異型の個体、もう1匹が個体群型の個体です。いきなりクイズみたいな内容になってしまって本当に申し訳ないのですが、この差や違いなどを踏まえた上で言葉の本質に迫ることは、本当に大切なことです。まずはじっくりと2枚の写真をご覧いただき、どちらが突然変異型で、どちらが個体群型かをご検討されましたら、次のページにお進み下さい。

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