チェラックス属の性判別方法
アメザリと比較すると、外産種のメインであるパラスタシダエ科(ミナミザリガニ科)のオスとメスは、アメザリなどのキャンバリダエ科や、タンカイ・ウチダなどのアスタシダエ科諸種と比較して、その性判別が難しいといわれています。なるほど、このグループだけは、オスの「おちんちん」(大型化した第1・2腹肢)が存在しませんので、「あっちこっちのショップを見て回ったんですが、どこを見てもメスばかりしかいませんでした・・・」という誤解も、往々にして発生しやすいといえましょう。ただ、一度その判別法を覚えてしまえば、さほど難しいものではありませんので、繁殖講座に入る前に、まず、この部分について触れておきたいと思います。
上の2枚の写真をご覧下さい。右側がオス、左側がメスの腹側を写したものです。第3胸脚の付け根を見るとわかる通り、オスはスベスベであるのに対し、メスにはレンズ状の産卵口(左写真矢印)が見られるので、これを目安にするとよいでしょう。
一方、オスには、第5胸脚の付け根に突起(右写真矢印)が見られます。アスタシダエ科やキャンバリダエ科のザリと比較すると目立たないのですが、一応、「おちんちん」がここにあたります。もちろん、写真を見るとわかる通り、メスの第5胸脚付け根には、そうした突起がありません。
他の項目でも触れていますが、極めてまれなケースとして「雌雄同体」というものがあります。第3胸脚の付け根に産卵口を持ち、第5胸脚の付け根に生殖突起がある・・・というものです。このような個体の場合、基本的にはオスの生殖システムだけが機能するようです。非常に興味深い個体ですが、本来の環境では(当然ながら)発生しないのが普通です。
なお、メスの産卵口やオスの生殖突起は、稚ザリのうちですと完全にはできあがっていません。ある程度育てて行くことで、初めてわかる場合もあるものですので、この点では注意が必要です。詳しくは、講座の中で触れます。
性判別は、繁殖をする上で、どうしても知っておかねばならない「基本」ですので、充分に確認し、ミスのないようにしておきましょう。