西武 ライオンズ
札幌ドーム開幕記念配布帽子



 

配布日 平成14年3月30日

展示No. L08
ヴォウクス製 球団承認タグなし帽子

 昭和63年の「東京ドーム」開設から15年弱・・・。新しい世紀の訪れとともにデビューした新世代のドーム球場「札幌ドーム」に、まず目を付けたのは、球界の中でも、こういう流れに対して常に鋭敏なオーナーを持つ西武ライオンズでありました。北海道のイメージ「白」を前面に押し出したセカンド・ホームユニフォームの導入や、地方開催にしては驚きの試合数・・・。全国的に見ても巨人熱の高い北海道で、敢然とファンを開拓して行こうという積極的な姿勢は、多くのファンを驚かせました。前代未聞の開幕開催と合わせて「準フランチャイズ」という表現が、多くのメディアで取り上げられました。
 しかし、皮肉なもので、理想は得てして、現実と結びつかないものです。ライオンズという強豪球団を迎えて、巨人とともに札幌の野球文化を盛り上げようという気運が高まる反面、多いとはいえ20試合程度の開催で、経営的にドームを維持するのは実に困難でありました。「準」ではなく、「真」のフランチャイズ球団がどうしても必要だったのです。所沢にしっかりした設備を持つライオンズに、そこまでのことを望むことはできません。理想と現実との狭間で苦しみながら、札幌が下した結論は、ライオンズではなくファイターズを迎えることでした。「真」のフランチャイズ球団として、年間60試合以上を札幌で戦ってくれる魅力は、経済的にも非常に大きいものがあったのです。ライオンズ側も当初は大きく困惑し、記者会見を開いて反対声明を発表するなど紆余曲折があったのですが、結局、オーナー級のトップ会談を経て、ファイターズの移転を了承し、ライオンズの「札幌準フランチャイズ化」は幻となったのです。
 そんな幻の「札幌ライオンズ帽子」ですが、全体の素材こそ配布品にありがちな100%ポリエステルなのですが、前のエンブレムに後ろのスポンサーロゴ(札幌ドームらしく、サッポロビールが提供になってします寝!)が、通常の市販帽子と変わらないほどのしっかりとした直刺繍で入れられているのです。ですから、実際に手に取ってみない限りは、かなり本格的な印象がします。この不思議さは、一体どう表現すべきなのでしょうか? 安物の配布品でありながら、貼りエンブレムではない。高級品に見えそうで、でも本格的ではない・・・。この帽子は、皮肉にも、西武球団の札幌奪取失敗を暗示しているように思えてならないのです。



もどる