近鉄バファローズ・中日ドラゴンズ
ファン観戦用帽子




販売期間 昭和50年代ごろ

展示No. BU03.D09
中央帽子製 球団承認タグ付き帽子

 昭和50年代に入り、いわゆる「刺繍帽」が作られるようになると、帽子屋さんで扱われる野球帽は、少しずつ「レギュラー・デザイン」のものへと収斂して行きました。もちろん、この時期以降も、今に至るまで、様々な球団から、様々なデザインの帽子が売られ続けていることには違いありませんが、こういう帽子を扱うのは、基本的にファンクラブや球場売店・球団グッズショップなどに絞られていったのです。昭和60年代に入るころには、在庫品などを除くと、基本的に「帽子屋さんではレギュラー・デザインのみ」という状況となって行きました。今では、メジャーリーグの様々なデザインを施した帽子が幅を利かす反面、プロ野球はレギュラー・デザインすら置いていないお店も多く、少々寂しい気がしてしまいますが・・・。
 さて、そのような状況の中、全く別の土地にある帽子屋さんと帽子問屋さんの在庫棚から見つけたのが、この2点です。いずれも中央帽子製で素材はレギュラーのものと同じ、エンブレムは刺繍です。帽子屋さんルートで出てくる刺繍のイレギュラー・デザインのものは非常に珍しいので、思わず唸ってしまいました。中日の龍マークは昭和40年代の水色帽子の脇によく使われていたものですが、反対に近鉄の方の猛牛マークは、3色アーチ帽に入ってから採用されたものです。色こそ全然違いますが、パッと見てわかる通り、基本デザインは同一なので、昭和50年代のいずれかの時期に、これら2球団を含めたいくつかの球団用に、同じような工程で作ったものではないか・・・と思われます。
 確固たる技術を持った帽子メーカーが作れば、こんな素晴らしいものが作れるのだ・・・と思うと、その技術が今の野球帽に活かされづらい「メジャーリーグ帽全盛」時代が、もっと寂しく、そして恨めしく感じられてしまいます。帽子屋さんの店先に、レギュラーデザインはもちろんのこと、12球団それぞれのこうした帽子が華やかにディスプレイされ、その先には、そうした帽子を羨ましそうに眺める子どもたちの姿がある・・・なんて時代は、もう2度とやってこないのでしょうか・・・?



お 願 い
これらの帽子につきましては、発見時に在庫ダンボール箱の但し書きや伝票などが残っておらず、こうした部分からの時期特定・検証作業ができなかったので、現段階では、製造時期などに関する詳細な特定ができておりません。御来館の皆様で、もしこの帽子に関して何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、恐れ入りますが下記のアドレズまで御一報いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。


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