飼育教材系人工飼料



写真はキョーリン発売の「ザリガニ・ヤドカリ・カニのエサ」

佐倉ザリガニ研究所の独断と偏見による  この餌の評価
評価項目
評価値(オレンジが多いほど高評価になります)
キーパー支持レベル
    
投餌時の反応レベル
    
入手の簡単さレベル
    
ローテ組み込み比率
    






  古くから、子どもたちの遊び相手として親しまれているだけでなく、小学校教育(生活科)の題材としても扱われているアメリカザリガニは、そのパイの広さゆえの多彩なラインナップがなされている。カメやメダカなどともに、いわゆる「飼育教材」といわれているグループに含まれ、そのための餌も各社から発売されている。開発に向けた研究や製法、使用素材の吟味など、熱帯魚などで一般的に呼ばれている「専用餌」と同列に考えるには少々心許ないが、キーパー側からすれば、何をおいても値段の手頃さがありがたく、様々な場面で、意外と多くのキーパーが使っているようだ。以前は、発売されている餌の大半が「浮上性」のものであったので、実質的な本格飼育には向かなかったが、ザリガニ飼育というジャンルが少しずつ進歩してくる中、各社ともそうした情報を反映させ、現在ではほとんどのメーカーが餌質を「沈下性」へとシフトさせてきている。栄養、性質、反応と、どの要素を取っても「平均値」であることから、脱皮準備や越冬前後及び特定期の栄養供給など、専用餌としての機能は、そうした特徴を持った製品または素材などに任せるようにし、あくまでも「一般餌」として使用するようにすれば、本格的なザリガニ飼育の現場でも、決して使えない餌ではない。
汎用性が高いという点で、ペットショップはもちろんのこと、下手をすれば普通のスーパーマーケットでも陳列されていることもあり、入手のしやすさという点では、三本指に入る餌だといえよう。メーカーによって、素材や形状、粒の大きさなどに違いが見られるが、根本的な部分では、どの餌も「心持ちカルシウム分に配慮した観賞魚系飼料」という構成になっており、基本的にはどの餌も数百円で購入することができる。







  発売しているメーカーにより、クランブル状の餌からタブレット状の餌まで様々であるため、一般的には、その餌の形状に合った与え方をするのが一般的であろう。対象種や大きさなど、特に限定されるものはないが、事例を総合する限り、アメザリやヤビーなどの一般種で、しかも脱皮や繁殖などのない平常期に用いられるケースが圧倒的なようだ。最近、各社とも次々にハードタイプへと変更しているため、バラケによる問題はだいぶ少なくなったが、与えっぱなしで数日も放置できるほど保持率も高くないので、各々の餌とも、最初に与える時には、充分な観察が不可欠だといえる。







  (発売価格帯の違いで考えれば一目瞭然のことだが)実際にこの餌を発売している某大手メーカーの担当者に直接詳しいお話を伺ったところ、発売している側も、あくまで「教材」というラインナップで開発・生産・販売している商品であり、いわゆる「専用餌」とは違うコンセプトで考えている・・・と明言していたことが印象深い。つい、必要以上の期待をしてしまいがちだが、この部分は、私たちキーパーも、充分に踏まえておかねばならないことであろう。餌の名前からも考えられるように、いい意味でも悪い意味でも「最大公約数をカバーする」的な性質を持っており、この餌を使用することによる「何か」を期待するには、少々厳しい部分があるかも知れない。キーパーとしては「汎用餌よりは、多少甲殻類寄りの配合をした餌」・・・という程度の認識で臨む方が無難で、いわゆる「専用餌」としての役割をこれらの餌に担わせるのは、少々酷であるともいえる。一般的なアメザリやヤビーなどのキーパーを除くと、ローテーションに組み込んでいる事例が極端に減ってしまうという事実も、こうした状況を如実に物語っているかも知れない。
なお、スーパーや雑貨店など、ペットショップ以外のお店では、ごくまれに、製造からかなり年月が経過した商品が陳列されていることもある。元々売れセンの商品ではなく、生鮮食料品として扱われることもないため、ある意味、仕方ない部分もあるが、1匹数百円の個体に与えるのではない場合もあるので、購入時には注意が必要だ。つまらない部分でケチったがゆえに予想外のトラブルが起こり、肝心な個体に万が一のことが起こるようでは、それこそ本末転倒である。




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