クレイドル「バム・ルピン」




クレイドル社様の御厚意により、クレイドル社撮影の公式商品写真をご提供いただきました。

佐倉ザリガニ研究所の独断と偏見による  この餌の評価
評価項目
評価値(オレンジが多いほど高評価になります)
キーパー支持レベル
    
投餌時の反応レベル
    
入手の簡単さレベル
    
ローテ組み込み比率
    






  ザリガニをビジネスとして成功させるべく広島で設立された「クレイドル」社が、最初の商品として世に送ったのが本品である。商品名からもわかる通り、現地で重用されているというルピナス(ハウチワマメ類)に着目し、「ザリガニを飼う人間として、一度は現地養殖場で使われている餌を使ってもらいたい」という確固たる信念の下、現地輸出業者と連携を取りながら高蛋白・低蛋白という形で2種類の製品をチョイスされたそうである。ザリガニ専用飼料としては日本淡水開発の「CF Star」シリーズと競合し、複数種の餌でトータルな栄養供給を提案する販売戦略についても非常によく似たスタンスを取っているが、素材構成や餌形状・製造方法、そして重視すべきポイントなどから考えると、両社の餌ラインナップは全く異なるタイプどころか、全く正反対の性質を持つものだと捉えてよいだろう。ショップの方のお話によれば、蛋白質比率や表面上の謳い文句だけで、双方を同じ性格の餌だと考えてしまうキーパーもいるとのことであったが、実際、そういう部分をキッチリ見抜いているキーパーの中には、状況や性質に合わせて両社の各シリーズを上手に使い分けている方もいるようだ。







  説明書ベースで見た場合、ハイプロテイン・タイプを幼体(稚ザリ)、亜成体、繁殖前後期向けとし、ロウプロテイン・タイプを成体及びマロン向けとしているが、メインで使用しているキーパーの多くは、種別や段階で区分するというよりも、双方で交互のローテーションを組み、生餌やアクセント的な餌を織り込むパターンで使っているケースが多いようである。ローテーション順位については、本来、どの位置においても問題ないはずであり、餌質的に考えるとロウプロテイン・タイプを前半に、ハイプロテイン・タイプを後半に置くのが常道であろうと思われるが、他の餌も含め、5〜6種程度でローテーションを組んでいるキーパーの方々の多くが、ローテーションの頭ないしは前半、さらには飛ばし明けに双方の餌を組み込んでいるのが興味深い。これは、栄養上の要素というよりも、ソフトタイプで迅速な摂餌が要求されるという餌質上の要素に起因しているものと思われる。こうした部分に全く影響が出なければ、組み込み順は一般的な認識に沿った形でいいであろう。







  今回発売した2商品が意図的にソフトタイプを採用した以上、粉化率の高さやバラけやすさは「宿命」のようなものであり、継続使用しないキーパーの多くが、この点を問題点として指摘している。メーカー側もこの点はすでにしっかりと掌握されており、すでに同種ハードタイプの餌もセッティングされているそうだ。今後の動向によっては、これらがラインナップ化されてくることもあるだろうから、大いに期待したい。また、餌や栄養・素材問題に詳しいキーパーが一様に指摘する一部原料の使用については、確かに推奨こそされていないものの、それによって深刻な被害が出ているわけではなく、現地でも投与事例があるとのことなので、さほど過敏にならなくてもよいだろうと思われる。こうした素材が構成の中心になっていることについて、メーカー側にお尋ねしたところ「本品を生産している現地生産ラインが家畜主体であるためであろう」とのことであった。パースで行われたIAAの総会に出られた川井先生もメーカー側と同じ内容の見解を述べられていたが、実際、ザリに限らず、現地の淡水養魚・養殖業は全体的に非常に厳しい経営状態の中で奮闘されている場合が多く、我々のように採算コストなどを気にせず、理想的な要素だけを追求しながら餌を作ったり選んだりできないという厳しい現実があるのも確かであろう。




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