タニシ




佐倉ザリガニ研究所の独断と偏見による  この餌の評価
評価項目
評価値(オレンジが多いほど高評価になります)
キーパー支持レベル
    
投餌時の反応レベル
    
入手の簡単さレベル
    
ローテ組み込み比率
    






  タニシを日ごろから与えているキーパーは、毎回、何の躊躇もなく使い、しかもそれなりの成果も上げているが、その反面、これを「餌」とは全く考えてもいないキーパーも相当多く存在している・・・という不思議な面もある餌だ。近所に用水路などがあれば簡単に、しかも年間を通じて採取できるので、コスト面では非常に有効な餌だが、反面、ショップで売られることは非常に少ないので、都市部のキーパーにとっては、かえって入手しづらい場合もあろう。

   
アメリカザリガニによって外殻を喰い破られ、中身を食べられたタニシ(と、その破壊面)


魚やカワムシ、ミミズなどのように派手な動きは見せないが、固形飼料よりも遥かに個体の食欲を誘発させやすい部分もある。個体によっては、餌だと認識させるまでに苦労するものもいるが、一度でも味を覚えさせられれば、たいていの個体は好んで食べるようになり、この写真のように、殻をバリバリ喰い破って、殻ごと食べて行く個体も多い(殻は、食べる個体と食べない個体がいるが、流木や鶏卵と同様「餌」として認識し、そのまま与えてよい)。錦鯉などでは「精のつく餌」として、繁殖期前になると意識的に与えて行くことがあるようだが、ザリガニでも、脱皮前や冬眠前など、バッチリ栄養をつけたい時期に与えると効果的であろう。







  貝の固さや全体の大きさを考えれば、そのまま与えることができるのは最低でも10cmクラス以上の個体、アメザリやウチダでも充分な成体サイズ・・・になろう。それ以下のサイズの個体に与える場合は、投入前の段階で完全に砕いておかなければならない。ハンマーなどで数回叩いてつぶし、そのまま投入するようにする。ローテーションに組み込んで定期的に与える・・・というよりは「季節ごと」または「食欲回復」などといった時に与えるケースの方が多いようだ。長期外出時の「留守番餌」として使われることもなくはないが、水槽が小さい時などの場合、残餌で水が一気に痛むことがあるので、こういう与え方は控えたい(水に掛かる負担を考えれば、基本的に「換水直前メニュー」と考えるべきであろう)。







  この餌における最大の問題点は「ザリガニの中には、これを餌だと認識しない個体がいる」ということである。投入直後から襲いかかってバリバリ殻を喰い破り始める個体がいたかと思うと、全く反応を示さない個体もおり、そうなるとタニシは、いつの間にか「水槽ガラス面のコケ取り役」として平和的共存を始めてしまう。反応が鈍い個体に対しては、まず「餌」として充分な認識をさせるために、最初のうちはローテーションを2〜3回飛ばして空腹状態にさせたり、砕いて与えたりといった工夫は必要である。数回ほど砕いて与え、味を覚えさせてやれば、少しずつ馴れてくるはずだ。
次に気をつけたいのが「水の汚れ」と「病原菌の持ち込み」に関してである。稚貝などであればともかく、マルタニシなどの大型種の場合、ザリガニ1匹で食べ切るには少々量が多いのも事実で、前項でも触れている通り、残餌などによって一気に水を傷めることも多く、この点には充分な配慮が必要だ。また、タニシが生活している水域は、それなりに汚れていることも多く、水に対して若干センシティブなヨーロッパやオセアニア系の諸種については、間接的な病気感染の可能性が100%否定できない。薬浴などをさせると、今度はタニシの方が死んでしまい、餌として使えなくなるので、感染などを避けたいセンシティブな種には、むしろ使わない方がよいであろう(キーパーの中には、こういう部分を考慮し、パラスタシダエ諸種に対しては、他の水草水槽で増えた貝やアップルスネール・イシマキガイなどを代用して人も多い)。そういう意味で、タニシ自体の使い方は、アメザリやウチダなどといった種の「強精飼料」に限定される部分もある。




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