(餌用)水草




佐倉ザリガニ研究所の独断と偏見による  この餌の評価
評価項目
評価値(オレンジが多いほど高評価になります)
キーパー支持レベル
    
投餌時の反応レベル
    
入手の簡単さレベル
    
ローテ組み込み比率
    






  この餌(?)ほど評価の分かれる素材はないだろう。ローテーションに組み入れ、かなり頻繁に使うキーパーから、餌どころか「禁忌すべき毒物」として意図的に使用を避けるキーパーまで様々である。一般的に、経験を積んだキーパーほど使用を避ける傾向があるようだが、これは「大量投入直後の突然死」という有名な事例があるためで、実際、この事例はかなり数多く聞かれている。
原因としては1.「水草の呼吸による水中の酸素欠乏」2.「養殖水草における使用薬剤の残留」3.「水草自体が発する有毒物質障害」などが挙げられている。2.については「国内産、またはワイルド採取ものなので大丈夫」という説明がされる場合もあるが、そうした水草でも突然死事例は複数出ているので「2.の原因をクリアしたから即安心」・・・ということにはならないであろう(これは、2.以外の原因が確実に存在していることを意味する)。安価で、しかも非常に入手しやすく、稚ザリなどの場合はシェルター代わりとしても使える便利な素材ではあるが、それだけの危険を包含していることだけは間違いなく、多くのベテランキーパーがそうしているように、植物質の供給だけが目的であるなら、植物質系配合飼料やキュウリ・ニンジンなどを与えるか、メダカや餌金などを用いたカプセル投餌の方をお薦めしたいのが偽らざるところだ。







  稚ザリの場合、自分の身体より遥かに大きい水草をかじり取るだけの力を持ってはいないので、餌用として考えるのであれば、必然的に亜成体以上が対象になろう。投入する場合、あくまでも最低限度の量に抑え、個体が食べやすいように小さくまとめてやるようにしたい。個体によっては、葉部分よりも茎部分を好むケースも見受けられるので、そういう個体の場合は、思い切って葉部分をすべて取り去ってから与えるのも一考である。一般的な熱帯魚飼育と異なり、レイアウト用として投入するものではないので、茎の中心から切って束ねたり、根元と先端とを丸めて円状にしてから沈める・・・など、個体の反応や食べ方などを見極めながら、状況に応じた投入方法を考えるとよい。ウィローモスなどには非常に高い反応を示す個体も多いようだが、アヌビアス・ナナやアマゾン・ソードなど、いわゆる「熱帯魚水槽用水草」の中には、全く反応を示さなかったり、あるいは「引きちぎるだけ」のものも少なくないので、「高い水草であればよい」というわけではないことは間違いなかろう。







  水草投入による突然死に関しては、現在でも様々な状況から、様々な説が主張されているが、各々の説の細かい正当性はともかく、水草の投入という動作が引き金になって発生することは間違いない。どうしても「生の植物餌」を・・・ということで、ウィローモスを活着させた流木を投入しているという熱心なキーパーの話も聞くが、実際、それだけの手間を掛ければ突然死を100%防げるか?・・・というと、そうである保証はどこにもなく、その方の場合、別の熱帯魚飼育水槽でウィローモスを育成させる環境がある・・・という点で、すべてのキーパーが応用できるかどうかは大いに疑問が残る。水草に代わる飼料はいくらでも存在することを考えると、やはり「無理して投入する必要のある餌ではない」という見解に落ち着くのではなかろうか? 
突然死事例以外でも、喰い散らかした葉部分がストレーナーに詰まって濾過能力が落ちたり、腐敗によって急激に水質が悪化したりというように、意外とトラブルの多い素材なので、こうした部分には充分な注意が必要である。特に、濾過槽へ掛かる負担は、我々が考えているよりも遥かに大きいようだ。





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