〜改訂新版〜


Step-3

ローテーションの重要性



 さて、餌に対する基本的な考え方を踏まえたところで、いよいよ実際の「餌選び」に入って行くのですが、各々の餌について個別に考えて行く前に、大まかなグループ分けと、与え方の基本について触れておきましょう。
 当たり前の話になりますが、餌には生餌(生き餌)・冷凍餌・乾燥餌があり、それぞれナチュラル(そのままの形状)・ペースト・キューブ・タブレット・フレーク・ペレット・クランブル・パウダーという形状的区分があります(配合飼料の世界では、これらの他に「マッシュ」という形状もありますが、基本的には鳥類、哺乳類等向けに用いられる形状ですので、ここでは省略します)。また、純質餌か配合餌であるかという、栄養・原料構成面での区分方法もあります。キーパーそれぞれが、どういった餌をどうチョイスし、使って行くかは、それぞれの「経験則」によるところが大きいと思いますが、ザリガニを長期間にわたって飼育している方々の多くが、その使い方として基本的に一致しているのは
「栄養の偏りを避けるため、単一種類の餌を供給するのではなく、複数種の餌を順繰りに与える」こと・・・。これを「ローテーション投餌」といいます。
 「栄養の偏りを防ぐ」・・・といいますと、一般的には「人工配合飼料」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 確かに、最近は、こういう部分を分析し、研究した魚種別専用配合飼料も様々なメーカーから発売されていますし、「これだけ与えておけば大丈夫」という謳い文句の餌も時折目にします。しかし、ザリガニの場合、「専用」とは謳っていても、残念ながらすべてがそうした意味合いの餌であるとはいえません。
100〜200円で各メーカーから発売されている「ザリガニの餌」は、あくまで学校教材用としての位置づけであり、我々のようなキーパー向けに研究・開発された「専用餌」ではないのです。だいたい、そこまで丹念に研究・開発し、生産されていたとしたら、とてもではありませんが200円程度では売り出せるはずがないですものね!
 植物質派か動物質派かで、多少その内容は変わって来るでしょうし、飼育個体の好き嫌いなど、嗜好性の違いによっても変わって来ましょうが、基本的に
「単一供給は避ける」という点で、間違いはないと思ます。つまり「1種類の万能な餌ですべての栄養を賄う」という考え方ではなく「様々な性質の餌を組み合わせることで、満遍なく栄養を供給する」という考え方です。ローテーション投餌の特性や選別、組み合わせの方法などについては、別項「ザリでもわかるローテーション講座」で、詳しく説明されていますので、ぜひ、そちらをご覧下さい。