エラの飛び出し


この怪我は・・・

 何らかの理由により、頭胸甲下部からエラが飛び出してしまっているもので、右の写真のように、一瞬「カビの付いた脚が1本増えたのか?」と思うような感じになります。写真のように1本だけが飛び出るケースが大多数ですが、中には頭胸甲の欠損などにより、複数本がまとめて飛び出してしまい、胸脚の上でユサユサしている・・・というような重篤なケースも見られます。通常、エラは頭胸甲内に収容されているものですから、ノーマルの状態で頭胸甲の外に出ることはありません。

原因と症状

 喧嘩などで頭胸甲が欠損してしまい、その影響でエラが飛び出すケースもあるのですが、そこまでの怪我を負った場合、その個体自体が死んでしまう可能性の方が高いため、基本的には、脱皮などの段階で何らかのトラブル(外敵の襲撃を受けることなど)が発生し、エラを新しい頭胸甲内に納められなかったり、飛び出してしまったり・・・などのケースが最も多いものと思われます。
 エラが赤変して溶け落ちたり、藻が生えてしまって変色したりするなどの症状が見られなければ、生きて行く上で大きな影響は及ぼしませんし、よほど多くのエラがいっぺんに飛び出すなどの状況にならない限り、このことが原因で死んでしまうことはありません。ただし、水質の悪化などには脆い部分もあり、また、同居個体からの攻撃によって状況がさらに悪化してしまうケースもあります。エラが「外に飛び出る」状況だけで留めておければ問題はありませんが、そのエラがダメになってくると、個体のコンディションは一気に落ちるので注意が必要です。
 なお、飛び出したエラが何もしないのに元に戻る(頭胸甲の中へ自然に収まる)ということは、原則として考えられません。キーパー側とすれば、次の脱皮を待つしかないといえましょう。次の脱皮の段階でも外に飛び出してしまったままであれば、さらにその次の脱皮に期待する・・・ということになります。

伝染する?

 病気ではないので伝染しません。

予防・対処方法

 予防という観点でいえば、最大要因である脱皮時のトラブルを避けることに尽きます。過密飼育を避けるとともに、脱皮などの時期には、(できれば単独飼育に切り替えるなどのことも含め)より静かな環境を用意するようにしましょう。ただ「単独で静かな環境を用意すれば、こうしたことは100%防げる」か・・・といえば、必ずしもそうではありません。確率論的な部分で、できるだけこうした状況が起こらないようにすることを心掛けるようにします。
 運悪く発生させてしまった、あるいはそうした個体を入手してしまった・・・というような場合には、飛び出したエラにできるだけ負担を掛けないよう注意しながら、できるだけ早めに次の脱皮を促すようにしましょう。物理的には「ただ、外に飛び出しているだけ」なのですが、底砂や流木、さらには他個体などに接することでエラにダメージを受けやすかったりしますし、水質の悪化にも非常に敏感であるケースが少なくないようです。できることなら単独飼育で、水質の悪化に気をつけながら充分に栄養を与えることがベストですが、それが難しい場合には、右の写真のように導入の段階だけでも隔離し、その水槽の水に充分馴らしてから導入するようにします。
 ただ、他個体からの干渉を避けたいからという理由だけで、永続的にこのような”プラケ隔離”を行なうことは、新たな脱皮を促進させる・・・という点であまり望ましくありません。やはり、あくまでも単独飼育によって次の脱皮を待つというやり方を採るのがベストではないかと思います。