ティムノセファイダの寄生
この病気は・・・
病気ではありませんが、ティムノセファイダという寄生虫が個体の甲殻に寄生(付着)するというもので、主としてオーストラリア東岸に棲息する種で多く見られるものです。この寄生虫自体、ザリガニが食べる餌の「おこぼれ」を餌として生きていますから、寄宿主であるザリガニに対して悪さをすることはなく、従って生育上の問題も発生しません。
原因と症状
この寄生虫自体、現地野生個体の多くに寄生していますから、捕獲などの段階からの自分の水槽に届く手順が少なければ少ないほど、持ち込まれる可能性は高くなります。日本での発見例が少ないのは、輸入までの段階で、相当数の換水と輸送とを経験するからで、当然のことながら、直輸入個体の方が、その確率は上がりましょう。キーパー間ですと、これは「ユーアスタクス属諸種特有の寄生虫」という見方がされがちで、事実、ユーアスタクス属のザリには数多く見られますが、チェラックス属のザリでも寄生することは間違いなく、現地の養殖場では、この寄生によって商品価値が下がることから、予防と駆除に躍起となっているのが実状です。前項の通り、生育については、寄生によるマイナスはありません。
伝染する?
同居個体の中に寄生されているものがいれば、ジワジワと他個体にも寄生して行くものと思われます。
予防・対処方法
細かいことは気にしないキーパーであれば、放っておいて構いません。「現地の水に近い」からこそティムノセファイダも生き延びることができるわけですから、「歓迎する」という見方にも一理ありましょう。ただ、見るからに「寄生虫」っぽい姿は、気に入らない人からすると、たまらなく嫌なものであることも事実。そこで、現地養殖場で行っている「駆除法」を付け加えておきます。
これは「塩水浴駆除」というもので、「多少キツめの海水混和水に短時間浸けては淡水に戻す」という作業を、数回連続で繰り返す・・・という方法です。当然、海水混和量は高い方が効果的で、連続回数も多い方がよいということになりますが、いずれの要素も、それが強くなるほど、ザリ自体には大きなダメージとなります。養殖場の場合、食品としての出荷という観点から、最終的には個体が死んでしまっても問題ないので、見栄えを追求するためにこれを派手に繰り返しても問題はないのですが、飼育・・・となると、多少考えねばなりません。無理な駆除をお薦めしないのは、こういった理由によります。
なお、ティムノセファイダは、胸脚は腹節裏、尾扇などに卵を産むことが知られていますが、現時点では、現地養殖場においても、的確な駆除方法がわかっていないのが現状です。