JCC・平成14年度総会&大消毒会

〜後 編〜





コンクリート剥きだしの殺風景な壁に、各展示水槽から伸びる配管が張り巡らされています。そう、ここはまさに「水族館の裏側」! 芦刈さん始め、鳥羽水族館の皆様方の御厚意により、これから、JCCメンバーのための「バックヤード・ツアー」が始まろうとしているのです。
それにしても、中央に写るMorbid師範の後ろ姿、コ、コワイ・・・。後に続く青ザリ蒼龍先生と一緒に見ると、まさに「これからリングに向かうレスラーとセコンド」なのでございまして、さすが「戦うシステムエンジニア」と称されるだけあるド迫力なのでございます(苦笑)。もちろん、お二方とも、実際にはとっても優しい好青年なんですぜ!



  

まずは、今回の特別展のために、それこそ「特別」に作られた「ザリガニ専用のバックヤード」へ・・・。展示水槽と違って、非常に身近に見ることができるだけでなく、実際に通常の飼育で使う機材と同じものが用いられていたりするので、芦刈さんからの説明をおうかがいしながらも、各メンバーの鋭い視線が、設備や個体へと注がれます。生物飼育のプロと、精鋭アマチュア・キーパーとの質疑応答は、これまたスゴい! 自らの飼育データと照らし合わせながら、1つ1つの共通点や相違点などを洗って行きます。ホント、ここでの会話をまとめるだけで、1冊の本ができちゃうくらい・・・。



これが、ヤビーの飼育水槽に取り付けられた「鍵」。もちろん「個体が盗まれないようにするため」ではなく「万が一にでも外に逃げられないようにするため」です。芦刈さんは、単に交渉だけをしてきたのではなく、こうした部分についても丁寧に、誠意を持って対応して下さったからこそ、今回の特別展におけるオーストラリア産ヤビー展示にゴーサインが下りたのだと思います。そういう意味で、この鍵こそが、芦刈さんの「誠意と努力の象徴」であるように思えてなりません。
ちなみに、この鍵や外回りの板組みだけでなく、各ストック水槽の水槽台から水槽設置、そして個体の導入から日々の管理に至るまで、大半の作業は芦刈さん御自身の手で行われています。これは凄いことですよね! 「水族館の飼育係」といいますと、とかく華やかなシーンばかりにスポットライトが当たるためか、多くの子どもたちが何も知らずに憧れるものですが、その裏には、それこそ血のにじむような努力と苦労が隠されているのです。終始にこやかに私たちを案内して下さった芦刈さんですが、ホント、頭が下がりますよねぇ・・・。



一方、こちらは別の魚のバックヤードです。外から眺めただけで、中には入りませんでしたが、非常に整然と、そして丁寧に管理されているのがわかります。確かに、ここがどういう状況であれ、お客さんの目に触れる部分だけ綺麗であれば問題ないような気もするのですが、実際には逆でして、こういう部分をしっかりと管理してこそ、お客さんの目に見える部分も素晴らしくなるんだと思います。目に見えないところは、ついつい手抜きしてしまう自分が、情けなくもあり、恥ずかしくもあり・・・(苦笑)。



次の見学ポイントへ移動するために通ったのが、展示大水槽のちょうど真裏・・・。眼下を泳いでいるのは、な、なんと1メートル近いピラルクですぜ! すげぇ迫力! ピラルク自体は比較的目にすることがあっても、メーター級の個体を、上から間近に眺めたなんて、生まれて初めてのことです。マジで潜水艦みたい(笑)。こういう位置から水槽を覗けるのも、バックヤード・ツアーの醍醐味ですよね!
立ち止まって感動しながら眺めていたら、外から同じ水槽を眺めていたお客さんと目が合ってしまいました。ヤバい! 俺は今、「展示」されてるんだ・・・。慌ててその場を立ち去ります。「熱帯だから、ゴリラかな? オランウータンかな?」とは、私の野人顔を見ながら笑った某メンバーの弁・・・。確かに、ゴリラかもしれんなぁ(苦笑)。



  

そして、鳥羽水族館が世界に誇るジュゴン、マナティのバックヤードへ・・・。両種とも、絶滅が心配されていますが、ここでの丁寧な飼育と研究によって、少しでも明るい未来が開ければいいなぁ・・・と、願うばかりでありました。それにしても、ホント可愛いですよね! ジュゴンの保護運動にも積極的に参加しているJCC新潟チームのちー姉ちゃんは、ハタで見ていてもハッキリわかるくらいの大感動! 少女漫画のようなウルウルの目をして、ジュゴンを見つめておりました(そのすぐ横では、別の水槽に入れられた超デカいカメ某種を目ざとく発見し、「これ、飼いたいッスよね!」と、これまた少女漫画のような目をしている某総帥の姿があったりして・・・笑)。日ごろ、愛情を持って接している芦刈さんの姿を見て、ジュゴンやマナティたちが寄ってきます。ちー姉ちゃん、またまた大感動!



  


バックヤード・ツアーを終えたメンバーは、再び館内の各展示施設を見学した後、場所を移して、恒例の「大消毒会」へ! 代表自ら「これがなくしてJCC総会ではない!」と断言する(・・・っていうより、少なくとも代表2名は、ここで飲むために来ている・・・という説もある)この懇親会も、今回は、芦刈さんの御配慮により、水族館職員御用達の素晴らしいお店を紹介していただきました。本当に美味しい新鮮な海の幸に舌鼓を打ちながら、「日本で一番、ザリガニ話密度の濃い時間」がスタートします。盛り上がってくれば、古参メンバーも新人会員も、ベテランも初心者も一切関係ナシ! 最初の自己紹介では整然と座っていたはずなのに、いつ間にかいくつもの輪ができて、それぞれに熱いトーク・バトルが繰り広げられます。数時間は、それこそあっという間・・・。



  

宴もそろそろお開き・・・というその時、「なんでも伝言板」でもおなじみの小川さんより、

「それでは、宿舎に戻りましたら、機関誌の発送作業を手伝っていただきます。今回、参加できなかった全国のメンバーのみなさんに、一日でも早く機関誌をお届けしたいので、お泊まりの方はぜひともお手伝いを!」
という指令が・・・。

てなわけで、今度はホテルの1室に場所を移し、機関誌の折り作業と大封入・封緘大会のスタート(苦笑)。ひたすら機関誌を折るチームに、封筒詰めをするチーム、そして、住所の確認と発送漏れの確認をするチームと、それぞれに分かれて作業は続きます。ザリ話(と、それ以外にもネタはありましたが・・・)で盛り上がりながら、これまた楽しく、時間は過ぎて行きました。全部完了したのは、夜も遅くなってから・・・。代表2名のオッサンたちは、そろそろ「ただの酔っ払い」になり始める中、新潟チームは「0泊2日の強行軍」ということで、夜中の伊勢路を出発して行きました(新潟に着いたのは翌朝だったらしい!)。翌朝、東の代表が目を覚ましたのは、チェックアウト10分前・・・。ホント、困ったモンです(大苦笑)。



JCC結成10年目を飾る総会も、多くのみなさんの御協力によって、このように大成功で終わることができました。長いようで短く、短いようで長い10年の道のりでしたが、「JCCに参加させていただいて、何がありがたかったか?」と問われれば、それはやはり「素晴らしい仲間に出会い、そして楽しくお付き合いさせていただけたこと」だろうと思います。私みたいなアホがザリガニと向かい合って行けるのも、JCCの素晴らしい仲間がいたからであることは絶対に間違いありません。ザリガニという縁で出会ったことには違いないですが、それ以上に「まず、明るい人間たちの輪でありたい」という願いは、結成10年が経った今も、何ら変わることなく脈々と流れています。さぁ、来年はどこで、どんな話で盛り上がれるのか?(ついでに、どんな酒が飲めるのか?・・・苦笑) 今から、本当に楽しみで仕方ありません。メンバーはもちろん、そうでない方も、次回は是非、御一緒しようではありませんか!


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